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FAQ(回答)


1.セルフォース補強土壁工法について
補強土壁工法とは?
土は土木材料として、一般的に鉄やコンクリートと比較して引張り抵抗力やせん断力が小さいものです。そこで、盛土の際に土中に補強材を入れてこの欠点を補ったものが補強土壁工法です。(下図)
 締固めによる密度増加や地盤安定処理が土自体の強度に起因する強度定数(C、φなど)を増加させるのに対して、補強土壁工法は、補強材のせん断・引張りにより見かけの土の強度を上げることで盛土全体の安定を確保する工法です。
図
セルフォース®とは商品名ですか?
セルフォース®は、タキロン株式会社の登録商標です。
旭化成アドバンス株式会社は、国内総販売元として、営業活動、技術指導等を行っております。
総称をジオグリッドとも呼ばれております。
法面勾配は何分まで可能か?(急勾配)
実績としては法面勾配が3〜5分が多数を占めます。また法面勾配は1分までとしています。直壁は理論上は可能ですが、鋼製法枠式、土のう巻き込み式では施工管理が困難のため、おすすめしておりません。鋼製壁面材は、条件により各種勾配の対応が可能です。
材料価格は公表されているか?
「建設物価」「積算資料」に掲載されております
施工歩掛かりの根拠は?
“国交省 土木工事積算基準 第三章4-4 補強土壁工”によります
工法の普及や技術向上のため、公的な組織があるのですか?
(財)土木研究センターにおいて「ジオテキスタイル補強土工法普及委員会」が組織されております。
セルフォース®に於いては 製造元のタキロン株式会社が「委員」として参加しています。
2.設計計画について
セルフォース®補強土壁工法の設計検討に必要な資料は?
一般的に下記の条件があれば可能です。
・ 図 面・・・縦断図、平面図 
・ 盛土材料・・・内部摩擦角(φ)、単位体積重量(γ)、粘着力(C)
・基礎地盤・・・地盤条件、
・上載荷重・・・荷重の種類と大きさ 
・・・・詳しくは 別途ご相談下さい
セルフォース®補強土壁の安定計算の手法とその根拠は?
セルフォース®補強土壁の安定計算は「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」(財団法人 土木研究センター)に準じた設計計算となっております。
マニュアルは旧建設省が中心となって考案した手法であり、国内では唯一公的な設計法です。
3.構造について
水中での使用は可能か?
ダム湖堰堤のように、貯留水位面の急速な水位低下が起こる場合(残留水圧の考慮)、現在のGEO-Wでは機能上対応出来ません。
それ以外の場合箇所には対応使用可能ですが、浸水部には浸食・洗掘防止対策が必要です。
浸食・洗掘対策例としては以下のものがあります。
  1. 盛土材に透水性の良い砕石を使用
  2. 壁面の前面にフトンカゴの設置
  3. 根入れを大きくとる
道路に勾配がある場合の対応策は?
補強土壁の天端計画面が、縦断(道路の延長方向)勾配を有する場合の処理には次のようないくつかの方法が考えられます。
  1. 擁壁天端を縦断勾配に合わせる場合は壁面材を縦断勾配に合わせて切断し天端部品で処理を行うか、植生土のうで処理を行います。
  2. 壁面材を切断せずに上載盛土の高さを変化させるなどの方法があります。
壁面の中にボックスカルバートやヒューム管が設置されても大丈夫か?
ボックスカルバートやヒューム管の大きさ、位置を考慮し設計することもできます。
平面線形が曲線の時、曲線半径は何mまで可能か?
壁面材を少しずつずらしてセットし対応します。
2m幅壁面のみ使用・・・R25m程度
1m壁面(現場カット加工)併用・・・R10m程度
・・・を目安とします。
ジオメタフレーム®をクリッパー等で現場切断加工調整を行います。
セルフォース®の敷設長は何を基準に決まっていますか?
設置条件、場所、壁高、使用する盛土材等の各条件に基づいて、
  1. 円弧すべりを抑止し、引き抜けないだけの長さ。
  2. 補強領域を疑似擁壁と見なした、転倒、滑動、支持力を満足する底面長
を検討し双方を満足する敷設長に設定しています。
セルフォース®の最小敷設長はいくつですか?
セルフォース®の最小長さは、マニュアルでは次の様に定められています。
“ジオテキスタイルの必要定着長の確保、締固め度の確保、施工時の作業性などの観点から、設計・施工上に支障のない幅(3.0m程度以上あるいは0.4H以上)”
天端にガードレールや防音壁を設置したいが?
補強土壁上部に緩勾配盛土を設けその上部に設置することが望まれます。
但し、補強土壁上部に直接設置する場合は、法肩から適切な距離を設けて設置することが必要です。
土中式の場合、法肩からの距離は、土かぶりを考慮し決定しますが、50cm以上とすることが多い様です。
根入れは必要か?
壁面工前面が洗掘や掘返しまたは将来悪化するおそれがない、岩盤などに基礎を設ける場合を除き、基礎の根入れ深さは50cm以上とすることが望ましいです。
盛土の上にセルフォース補強土壁の構築は可能か?
可能です。
ただし、その盛土を十分調査、検討をし、セルフォース補強土壁が構築されても十分安定することを確認する必要があります。(滑りや沈下など)
重力式擁壁の上にセルフォース補強土壁は構築可能か?
可能です。
谷部などで斜面が急峻な箇所などで地山や岩盤の掘削量を低減させたり、ダム付近に設置される補強土壁で、壁下部を場所打ちとして水の浸透をなくす為に用いられる一般的な方法です。この場合、補強土壁の自重を上載荷重として負載させて、下部工の検討をすることが必要です
4.材料について
セルフォース®、ジオメタフレーム®の耐用年数は?
セルフォース®は土中では半永久的に、ジオメタフレーム®は郊外地帯で86年と考えています。
JIS H8641の溶融亜鉛めっき解説によれば、郊外地帯でめっき付着量500g/m2の場合の亜鉛メッキの推定耐用年数は、86年となっています。
補強された土塊は長期的に“地山状態”にあるものと考えられています。
環境に悪影響を及ぼす物質(環境ホルモン)の含有は?
セルフォース®は、環境ホルモン戦略計画speed98にてあげられた環境ホルモン(内分泌撹乱作用を有する)と疑われる化学物質は一切・添加しておりません
セルフォース®、ジオメタフレーム®の材質は?
セルフォース®  材質は芯材に高強度の超延伸ポリプロピレンテープを使用し、耐衝撃性の優れたEVA樹脂で被覆しています。
ジオメタフレーム® 溶融亜鉛メッキ鉄線です。
5.下部地盤について
軟弱地盤だが施工可能か?
補強土壁工法は、コンクリート擁壁と比較するとかなり軽量な構造物といえます。したがって剛な構造物と比べ、原地盤の沈下や変形に対して、はるかに大きな追随性を有しています。
しかし、どのような軟弱地盤(又は錐崖地帯)でも適応可能という訳ではなく、補強土壁の規模と原地盤の軟弱さの程度によって施工できるか否かの判断をすることになります。
水処理はどうするのか?
充分な対策が必要です
セルフォース®補強土壁は、施工時および施工後も長期にわたって流入水による支障を来すことのないよう排水対策を十分に講じておく必要があります。
  1. セルフォース®補強土壁の基底部には盛土内の間隙水圧を防ぐため排水層を設ける。
  2. 地山に接して片盛となる場合などでは、地山掘削面に沿って排水工を設ける。
  3. 水の流入が予め予想される場合には、盛土内水平排水工(パブリックドレーン®)、長繊維不織布(ポシブル®)等の対策を講じておくことが重要です。
支持層、岩盤が出てこなかったらどうするのか?
セルフォース®補強土壁は、その規模(上載盛土を含んだ壁高さ)にもよりますが、コンクリート擁壁のように岩着や同程度の地盤上に構築するのは必要条件ではありません。セルフォース®補強土壁を構築しても全体の安定が保たれる地盤であればよいのですが、支持地盤が補強土壁を支持するのに十分な地盤がでてこない場合は
  1. 地盤を良質土、礫等で置き換える。
  2. 地盤を化学的改良する。(深層混合処理工等)
  3. 計画そのものを再検討して根入れを深くする。
  4. マットレス工法(ジオエース®)を併用する
・・・等、現地の状況にあわせて対処します
6.盛土について
使用できる盛土材料は?
盛土材料は下図に示す範囲のものが適用されています。
なお、最大粒径75mmを超える大粒径のものは、締固め不足の原因となる可能性がありますので、注意が必要です
また、上載盛土や補強領域よりさらに奥にある部分の盛土材料については、通常の土工事における場合と同様の材料とします。
出典 「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」 (財団法人土木研究センター)
盛土材の調査、試験はやってくれるのか?
専門の土質調査会社による試験をお勧めします。
盛土材の調査、試験は発注者が事前に計画、施工、維持管理に必要な資料を得るために行うのが原則です。
盛土材の試験データーで最低必要な項目は?
「含水比試験」、「粒土試験」、「突き固め試験」、「三軸圧縮試験」は最低必要な試験項目です。
粘性土を盛土に使用できないか?
粘性土をの盛土材に使用する場合は、事前に土質データーを十分に検討し、セルフォース強度・敷設長を決定する必要があります。
また、盛土内水平排水工(パブリックドレーン®)、長繊維不織布(ポシブル®)等の対策を講じておくことが重要です。
7.施工について
施工に重機は必要か?
セルフォースの®敷設、ジオメタフレーム®の組立は人力で行いますので不要です。
ただし土工事、盛土の敷き均しにはバックホウが、締め固めには、転圧機械(振動ローラー、タイヤローラー、ランマー等)が必要です。
特殊な施工技術は必要か?
セルフォース®補強土壁工法は他の擁壁工のように鉄筋工が必要になったり特殊な作業はありません。組立は人力で行いますので重機を必要としません。
雨の中の施工は可能か?
できません。
施工中に雨が降り出したときには撒き出し、敷き均した状態で土を締固めせずに放置することは絶対に避けなければなりません。又、締固めの後は、防水シートで養生することが望ましい対策です。
また、盛土材も含水比が上がらない様に管理してください。
冬期の施工は可能か?
雪の中での施工は避けてください。
盛土材は凍上する可能性がないものや、凍土の混入していないものを使用することが条件です。
施工指導はしてくれますか?
ご希望に応じ、施工指導をさせていただきます。
工事を中断してもよいか?
施工の中断は可能ですが、この場合施工面は必ず養生をしてください。
転圧時の注意事項は?
壁面直近1.0m程度はタイヤローラ等の大型重機が走行することは絶対に避け、ランマー等の小型の転圧機械で転圧します。それより奥は、タイヤローラーや振動ローラー等の大型重機で施工が可能です。
セルフォースの端部は何かで固定しなくてもよいか?
セルフォース®補強土壁では、セルフォース®の敷設時の緩みが補強土壁全体の変形や安定に与える影響が大くなります。このため敷設時における緊張は確実に行う必要があります。与えた緊張を保持するには、アンカーピン等の固定杭でセルフォース®端部を仮止めしておくことが必要です。
掘削時背面の山から水が出たらどうするのか?
掘削時に湧水が発生した場合は、排水路で一時的に処理し、発注者と協議の上対策を講じて下さい。
湧水箇所および水量にあわせて本排水路を設置したり、排水ブランケット工、水平排水材(パブリックドレーン®)などを設置します。
施工上の安全に対しては?
作業自体は、同じ事の繰り返しになります。
しかし、次第に高所作業となりますので転落には充分に注意を払ってください。
転落防止柵の設置、危険箇所周知対策などを行ってください。
8.その他
セルフォース®の詳しい話を聞きたいのですが?
よろこんでお伺いいたします!!

《参考文献》
 ※1 「ジオテキスタイルを用いた設計・施工マニュアル 改訂版」(財・土木研究センター)