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ハビトゥス研究所

 

 

Habitus EYE  VOL.24 2012/2/09
くらしの変化とマーケティング・トピックス

ハビトゥス(Habitus)とはラテン語で、習慣、行動様式、ものの見方、 感じ方などを意味しています。

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今月は、Narrativesをご紹介します。Narrative(ナラティヴ)とは、日本語で「物語」などを意味します。このコーナーでは、毎回、個人が語る「物語」をもとに、くらしのなかの新たな変化やこれからの生活を読み解いていきます。

 

 

《今月のコンテンツ》
■Narratives
 File.3 「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」 を開発したコクヨS&Tの岸田裕子さん

 

■Narratives
困りごとの解決から生まれたヒット商品 「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」


 「エンディングノート」をご存知でしょうか。一般的な「エンディングノート」とは、病気や事故などによって、自分の意思が伝えられなくなるような万が一の時に備えて、延命治療、介護、葬儀などの希望、財産や交友関係など、家族や周囲の人に伝えておきたい情報を健康なうちに書き留めておくものです。遺言書のように法的な拘束力はありませんが、東日本大震災を機に高齢者層だけでなく若年層など、幅広い年代に注目されつつあります。
 今回ご紹介するのは、ユニークな「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」を開発された、コクヨS&T コンシューマーマーケティング事業部の岸田裕子さんです。「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」は、2010年秋販売以降、出荷数は、計21万冊を超えています。岸田さんに商品企画から販売に至るまでの経緯、購入者の反響、開発時のご苦労などを伺いしました。


商品企画の原点は、学生時代の法律相談

―― 「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」の開発のきっかけをお聞かせ下さい。
2007年に社内で、お客様の困りごとを解決する商品を開発しようというコンペがありました。その際に思い出したのが、学生時代にボランティアで関わっていた法律相談会に、遺言書作成の相談に来られた方々のことでした。高齢者だけではなく、若い世代の方でも遺言書に関心を持っている方はいると考え、「遺言書キット」の企画を提出しました。その後、約100人の方にインタビューをしたところ、遺言書を書きたいという気持ちは若い人にもあるということ、ただ、いきなり専門家に依頼したり、公証役場に行くというのは、心理的なハードルが高く、考えただけで終わってしまう人が多いということがわかりました。
そこで、2009年に「遺言書キット」(注1) を発売したところ、現在まで計8万セットを出荷しています。「もしもの時に役立つノート」は、「遺言書キット」の購入者アンケートの声や追加で実施したWEB調査などから思いつきました。
(注1)「遺言書キット」
筆記用具と印鑑さえあれば、簡単に法的に有効な自筆証書遺言の作成ができる、書き方の手引書、用紙、封筒などのセット。
価格:2,415円(税込)

 

―― 具体的にはどのような声があったのでしょうか。
皆さんからは、主に3つのご意見がありました。1つは、遺言書を書くには情報を整理しないと書けないので、整理するノートが欲しいという声、2つめは、遺言書に関心もあるし、いざという時のために準備もしたいが、遺言書よりも気軽に書けるものが欲しいという声、3つめは、生きている今でさえ、自分の情報を整理できずに困っている、という声でした。
一般的にエンディングノートは、自分の思いを「誰かのため」に伝えておきたくて書くといった意味合いが強いのですが、もう少し「自分のため」という側面で考えられないかと。自分のためでもあり、誰かのためでもある。普段も役立ち、死んだときも役立つというような。それで、備忘録的な要素を強めようと考えました。
岸田裕子さん
    コクヨS&T株式会社
    コンシューマーマーケティング事業部
    岸田裕子さん

購入者の約6割は女性。年代別ではリタイア世代と現役世代が半々。家族、親類、友人などへのプレゼントにも

―― 商品企画の際、ターゲットにしたのは、どのような層なのでしょうか。
30〜40代の比較的若い層をターゲットに考えました。自分の人生を振り返るというような高齢者向けのエンディングノートはすでに各種販売されていましたが、「若い人でも気軽に書けるものが欲しい」、「生きている自分のために情報を整理するノートだったら欲しい」という声があったので、若い世代にも気軽に書いてもらえるエンディングノートにしようと思いました。

今の若い世代の方たちは、想像以上に社会的な問題への関心が高く、家族思いの人が多いです。親を通じて介護や相続などの苦労も見ています。また、将来や自分のことに不安を感じている人も多いです。地方から出てきて独り暮らししている方や、いわゆるおひとり様の方も多くて、もし自分が倒れたら、銀行や保険のことや、交友関係など、離れて暮らしている親には全くわからないと思うので不安、といった声がありました。

―― 実際の購入者層は、どうだったのでしょうか。
購入者は、やや女性の方が多く、全体の約6割は女性でした。若い世代では特に、女性の方が男性よりも現在と将来の不安について目をそらさず考える人が多いようです。男性は、備えの意識が高い方もいるのですが、奥さんに任せてしまっているという方も多かったです。年齢別では、60代以上と50代以下の現役世代が半々です。20代から30代だけでも約3割を占めています。

プレゼントに贈るケースも多いです。特に子から親へが多く、20代から40代の親へや、40代から70代の親へなど、幅広い世代に見られる傾向です。逆に親から娘へプレゼントしたというケースも聞いています。親戚全員に配ったり、なかには、姪とか甥が、独り暮らしの叔父や叔母を心配してプレゼントするという例もありました。友人同士でのプレゼントも多く、同窓会やゴルフコンペで、またご近所さんやサークル仲間などにプレゼントしている例もありました。

 

 

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