研究開発戦略 | 研究・開発 | 旭化成株式会社

人財理念

旭化成グループでは、2006年3月に制定した「人財理念」において、「人財」たる従業員一人ひとりが共有すべき価値観や行動の指針をまとめています。従業員がこの理念に沿った行動を積み重ねることを通じ、企業風土として定着させ、従業員一人ひとりの成長と当社グループの発展を実現することを目指しています。

  • 会社が約束すること 旭化成グループの人財が、働きがいを感じ、いきいきと活躍できる場を提供し、グループの成長と発展を目指す 社員に求めること 挑戦し、変化し続ける 誠実に、責任感を持って行動する 多様性を尊重する リーダーに求めること 活力ある組織をつくり、成果をあげる 既成の枠組みを超えて発想し、行動する メンバーの成長に責任を持つ

旭化成グループの人財戦略

当社は1922年に創業し、2022年に100周年を迎えましたが、この間、時代とともに変化する社会課題解決に挑戦し、事業ポートフォリオを絶えず変革することで成長を実現してきました。そのような中、今後も、持続可能な社会に向けてさらなる変革が必要であるとの認識のもと、2021年度に社長をプロジェクト長とした人財戦略プロジェクトを立ち上げ、2022年度から始動した「中期経営計画2024 ~Be a Trailblazer~」に連動した人財戦略を策定しました。

多様な「個」の終身成長と共創力を2本柱とする人財戦略

現中計では、従業員に求める⼼構えとして「A-Spirit」という⾔葉を掲げています。旭化成の「A」と、アニマルスピリットの「A」をかけたもので、具体的には、野⼼的な意欲、健全な危機感、迅速果断、進取の気風、という4つのことを強く意識し、チャレンジングな人財であってほしいと伝えています。
これらは、当社グループが100年かけて培った「誠実・挑戦・創造」というグループバリュー、人や技術の多様性、⾃由闊達な風土などの無形資産をさらに磨き、活かしきるということと考えており、今後大胆に事業ポートフォリオを転換していくためには、改めてA-Spiritsを呼び起こし、積極果敢に変化し挑戦し続ける人財・組織が必要であると考えています。そのために現中計では、「終身成長」と「共創力」を人財戦略の柱としています。

「終身成長」に関しては、一人ひとりが自らのキャリアを描き、成長に向けた学び・挑戦を常に続けること、そして、リーダーが個とチームの力を最大限引き出し成果に結び付けるマネジメント力の向上の2点に注力し、強化していきます。
また、「共創力」を高めるには、多様性を“拡げる”という視点と多様性を“つなげる”という視点を重視し、当社グループの多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値を発揮していきます。

旭化成グループの人財戦略

  • 「人は財産、すべては「人」から」多様な個の終身成長+共創力で未来を切り拓く 挑戦・成長を促す 終身成長 自律的キャリア形成と成長の実現 個とチームの力を引き出すマネジメント力向上 多様性を活かす 共創力 多様性を「拡げる」:多様な専門性、個性、働き方 多様性を「つなげる」:知の結合・融合 従業員のWell-beingと働きがい向上 旭化成グループの競争力向上 主なKPI 高度専門職任命者数 2024年度:360名 2021年度:359名 2022年度:294名  成長行動指標 モニタリングと維持改善の取り組み エンゲージメント調査(5段階)2020年:3.65 2021年:3.69 2022年3.71 多様な人財活躍指標 ラインポスト+高度専門職における女性比率 2030年度:10%(2018年度:2.2% 2021年度:3.4%) 執行役員における女性+外国人比率30年度:10%(18年度:2.2% 21年度:3.4%) 2018年度:8% 2022年度:22%

「終身成長」に関する具体的な施策は「人財の育成・活躍」のページで、「共創力」については「DE&I」のページで詳しく紹介しています。

方針

旭化成グループは、「人は財産、すべては『人』から」という基本的な考えのもと、人財育成において、挑戦・成長を促す「終身成長」という方針を掲げています。当方針に関して、一人ひとりが自律的にキャリアを描き、成長に向けた学びや挑戦を続けること、また、個とチームの力を最大限引き出せるようマネジメント力を強化することの2点に注力していきます。

人財育成体系

当社グループでは、階層別研修や目的別研修などを組み合わせて、従業員の能力開発や業務遂行の支援を行い、仕事を進める上での基礎力向上に加え、ラインマネジメントの支援、次世代経営リーダーの育成、グローバルに活躍する人財の育成を図っています。

2022年度人財育成体系図

  • 〈組織開発〉 【職階:理事 部長 課長 係長 担当】KSA※1を活用した組織開発 現場実践者養成講座 【職階:部長 課長 係長 担当】体験学習(キャリア入社)※休止中 〈階層別研修〉【職階:役員】役員フォーラム 新任役員セミナー 【職階:理事】リーダーフォーラム 【職階:部長】開発会社新任取締役eラーニング 新任部長マネジメント強化(コーチングプログラム) 新任部長eラーニング(内部統制/人財マネジメント) 【職階:部長 課長】財務会計実践研修 【職階:課長】新L2マネジメント研修(MBO-S、360°FBあり) 経営管理職転研修(L転) 【職階:係長】経営管理職候補者育成トレーニング(Lトレ) E転基礎知識研修 【職階:担当】問題解決実践研修 2年目フォローアップ研修 新入社員研修 〈目的別研修〉[マネジメント支援策]【職階:部長 課長】1on1トレーニング 【職階:課長 係長】問題解決支援研修 考課者研修* [次世代経営リーダー育成制度]【職階:部長 課長 係長】FLY※2(Future Leader of Young and next generation) 【職階:部長 課長】BAC(Business Advanced Course) 経営リーダー向け教育(eラーニング・社外研修) [グローバル]【職階:部長 課長 係長 担当】異文化コミュニケーション研修 グローバルビジネススキル研修 【職階:部長 課長 係長】グローバルマネジメント研修 【職階:課長 係長 担当】短期派遣* 【職階:係長 担当】指名留学・実務研修・公募留学* 【職階:理事 部長 課長】キャリア研修(50代)*※40代休止中 【職階:課長 係長 担当】キャリア入社者懇談会 休止中 〈制度〉【職階:理事 部長 課長 係長 担当〉自己研鑽支援制度* 【職階:部長 課長 係長 担当】公募人事制度* 〈他〉【職階:部長 課長 係長)ローカルスタッフ(経営人財育成)* 「*」付きは人財・組織開発以外が主催の研修です。
  • ※1「KSA」…「活力と成長アセスメント」の略。当社エンゲージメントサーベイの名称。
  • ※2「FLY」…「Future Leader of Young and next generation」の略。次世代リーダー育成を目的とした選抜型プログラム。

参考:当社グループの従業員一人あたりの教育投資(実績)

2020年度 2021年度 2022年度
教育投資額(総計) 2,129,282(千円) 2,806,147(千円) 3,471,596(千円)
教育投資額(一人あたり) 126(千円) 166(千円) 198(千円)
教育投資時間(一人あたり) 21.5(時間) 22.3(時間) 25.7(時間)

自律的なキャリア形成を支える施策

リスキリング支援策「CLAP」の導入

CLAPとはCo-Learning Adventure Placeの頭文字をとったもので、1万以上のラーニングコンテンツから、従業員が自分に必要な学習を無料で自由に学べる当社独自の仕組みです。この仕組みにより、各職場で必要なスキルの習得、環境変化や事業転換に伴うリスキリングを支援しています。CLAPの展開にあたっては、一人ひとりが業務やキャリア実現のために学びを続けることに加え、「みんなで学ぶ」というコンセプトも取り入れています。共に学ぶ、楽しみながら学ぶ、ということができるよう、人の魅力・つながりを活かした支援策も講じています。

  • お勉強じゃない。冒険だ。ようこそ、CLAPへ。
  • つながる。ひろがる。CLAP

定年延長によるシニア活躍推進

変化の激しい時代の中で、多様な人財の知恵や経験を必要とする課題が増加しており、また、年齢構成の状況も踏まえ着実な技術伝承の必要性が高まっています。そこで、すべての従業員に60歳を超えても専門性を磨き続け、活躍し続けてもらいたいと考え、2023年度より定年年齢を満65歳へ延長しました。併せて、専門性を磨き周囲からも必要とされる役割を担うことで、持てる力をより一層発揮して充実した人生を歩めるよう、従来の再雇用制度から処遇制度も見直しました。

公募人事制度

当社は、公募人事制度を2003年度から実施しており、毎年数十名の人財が、自らの意思で部署を異動し、新たな環境に挑戦しています。近年は同制度による異動件数が増加傾向にあり、2020年度25名、2021年度53名、2022年度67名と推移しています。今後も人財戦略の柱である「終身成長」「自律的なキャリア形成」を体現する仕組みとして、所属部署以外の業務を一定期間経験できる社内兼業タイプを拡大するなど、より活性化を図っていきます。

自己研鑽の支援

当社では、2003年10月から職務遂行能力や専門知識・技術を高める努力を支援する制度として、「自己研鑽支援制度」を設け、能力開発に要した経費の一部を支援金(受講料などの補助)として支給しています。2022年度は延べ1,260名が利用しています。

個とチームの力を引き出すマネジメント力向上を支える施策

当社グループでは、「個人と組織の活力向上と成長」が実現できる組織づくりを目指しています。

エンゲージメント向上施策 KSA(活力と成長アセスメント)

当社グループでは、2020年度に従来の従業員意識調査の内容を見直し、新たにワーク・エンゲージメントや成長につながる行動についても確認できるサーベイとしてKSA(活力と成長アセスメント)を導入しました。国内の全従業員を対象に1年に1回調査を行い、自組織の現状を捉える際の参考情報としてラインマネジャーへレポートを提供するとともに、メンバーとの対話を通して「より良い職場づくり」を目指す活動にも力を入れています。

同時にストレスチェックを行うことで健康リスクの確認も行い、従業員一人ひとりが心身共に健康で「持続可能な成長」を実現できる環境を整備していきます。

  • KSAは、「活力と成長循環モデル」(阪大・開本教授「組織行動論」)に基づき、個人と組織の状態を3つの指標(①上司部下関係、職場環境 ②活力 ③成長につながる行動)で捉えています。 3つの指標とそれらの影響度合いを確認することで、・これまでの取り組み(打ち手)の成果を「見える化」する・現在の組織の状態について知り、次の打ち手に役立てることにつなげます。 KSA(活力と成長アセスメント)の仕組み ①上司部下関係、職場環境→②活力→③成長につながる行動→個人と組織の成長→①上司部下関係、職場環境/②活力 |KSA(活力と成長アセスメント)によって測定できる項目 ①上司部下関係、職場環境(組織の資源) ・上司の働きかけ・仕事を支える人間関係・創意工夫の奨励・多様性の尊重・率直に発言できる職場(心理的安全性) ②活力(エンゲージメント) ・前向きさを維持する力(個人の資源)-自信、自己効力感-逆境を乗り越える力-目標への道筋を立てる力-楽観性・仕事への高い意欲(ワーク・エンゲージメント) ③成長につながる行動 ・経験学習行動・組織貢献行動・問題解決・改善行動・ジョブ・クラフティング
  • KSA 3指標の推移 上司部下関係・職場環境:2020年度3.77 2021年度3.81 2022年度3.83 活力(エンゲージメント:2020年度3.52 2021年度3.54 2022年度3.54 成長につながる行動:2020年度3.65 2021年度3.69 2022年度3.71 ※1~5の5段階から回答
    ※ 1~5の5段階から回答

マネジメント力の向上、経営人財の育成

組織マネジメントのキーとなる部長層に対する研修プログラムを充実させています。プログラムには、マネジメントに関する集合研修およびe-ラーニング、360度フィードバック、1on1講座、KSA(上述)活用講座のほか、2020年度からは部長一人ひとりにコーチを付けて、ラインマネジャー自身が自ら考え解決していくことへの支援も含めています。2023年2月時点で部長層約680名中、すでに200名がプログラム受講済みです。
また経営幹部の育成・獲得にも力を入れており、次世代リーダー候補者にコーチング等を通じて自らの成長を促すとともに、リーダーシップやチームワークを強化するためのプログラムを通じた育成を行っています。毎年数名がこのプログラムを経てグループ役員に昇格しています。2023年4月時点でグループ役員が36名に対し部長・事業部長層における候補プール人財は76名となっており、今後も質・量共に同等以上のプール人財を維持していきたいと考えています。

  • 執行役員の中から当社グループ全体の企業価値向上に責任と権限を有する者として、当社の取締役会決議に基づきグループ役員を任命しており、具体的には当社の上席執行役員以上およびそれに相応する事業会社の執行役員がこれにあたります。

DX推進のためのデジタル人財育成

当社グループでは、成長戦略の柱にDX展開を掲げ、2021年に「DX Vision 2030」を策定しました。デジタルの力を最大限に活用して、サステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいきます。
DX推進において最も重要なのはデジタル人財です。層別のDX教育を強化するとともに、高度なデジタル化を推進するデジタルプロフェッショナル人財を2024年度末までに対21年度比10倍に拡充することを目指しています。全従業員向けのDX教育として、2021年4月より、社内で「Open Badge制度」の運用を開始し、デジタルの基礎知識習得を推進しているほか、事業責任者向けDX研修プログラムを展開しています。

  • オープンバッジ Level1: Knowledge 基本を理解している、Level2: Skill 業務で活用するスキル・知識を保有している、Leve;3: Experience 業務改善などに実際に活用することができる、Level4: Expert 事業の競争優位力を強化することができる、Level5: Thought Leader 組織・事業の変革をけん引することができる
  • 全従業員デジタル人財化計画施策→Level3 デジタルプロフェッショナル候補人財→Level4&5 デジタルプロフェッショナル人財

人事部門の機能強化

人的資本経営を実践していくためには、実働部隊である人事部門の組織能力の向上も重要です。当社では人事部門に今後必要となる能力について改めて定義づけを行い、中でもデータ利活用スキルとキャリアコンサルティング能力向上に注力しています。データ利活用スキルについては大阪大学開本教授監修のもと独自のプログラムを内製し、データの収集や分析に関するノウハウを人事メンバー全員が習得するように取り組んでいます(2022年度末時点で77名が受講済み)。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得も奨励しており、2023年4月時点で27名が取得しています。2022年度には従業員のキャリア形成を支援するためにキャリア開発室を設置し、シニア層および若手・中堅層に対してキャリア施策の充実に努めています。

方針

旭化成グループでは、個人の基本的人権と多様性を尊重し、あらゆる事業活動において国籍・人種・出自・民族・宗教・性別・思想・年齢・身体的特徴・性的指向や性自認・雇用形態・契約形態その他を理由とする差別を行わず、また容認しないという会社方針を「旭化成グループ行動規範」に明記しています。すべての従業員が差別を受けることなく、機会均等が保証され、生き生きと能力を発揮するための環境整備を進めるとともに、従業員が差別やハラスメントを行わないよう、新入社員、新任係長クラス、新任課長クラス等の階層別、その他各事業会社、地区において実施する企業倫理研修などを通じて、継続的に会社方針の浸透を図っています。

また、当社グループでは、現中計の人財戦略の柱の一つに「共創力」を掲げています。急速に変化する事業環境に対応し継続的に新たな価値を生み出していくためには、人財の多様性を活かし共にビジネスを創り出していく「共創力」を高めることが不可欠であると考え、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を経営戦略の一つとして位置づけています。「共創力」を発揮してくためには、多様性を“拡げる”“つなげる”という2つの視点が重要であり、多様な技術・事業・人財を有機的につなげることで、当社ならではの価値が発揮できると考えています。

マネジメント体制

当社グループでは、今後も多様な価値観を有する人財が活躍する人的組織へ発展することが、事業の持続的な成長には不可欠であるとの考えから、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)に関して、専任部署であるダイバーシティ推進室を中心にグループ横断的な活動を進めています。また、DE&Iの進捗状況を確認し取り組みを加速するために、経営陣および各事業部門長が主体となる委員会を設置するなど推進体制のさらなる強化を図っています。

高度専門職制度による多様なプロフェッショナル人財の育成

当社グループでは、新事業創出、事業強化へ積極的に関与し、貢献することが期待できる人財を「高度専門職」として任命、育成、処遇することで、社内外に通用する専門性の高い人財の層を厚くする「高度専門職制度」を実施しています。本制度では高度専門職を5つの区分に定義しており、それぞれの役割を明確にするとともに処遇を向上させ、人財の成長を促すと同時に優秀な外部人財を獲得するための仕組みとしています。
また、各領域における高度専門職の後継者育成計画(サクセッションプラン)を策定し、事業の強化と人財育成をリンクさせ、競争力の強化につなげます。

高度専門職の区分と役割

  • [区分] エグゼクティブフェロー(執行役員相当処遇):新しい技術領域を創出した、あるいは技術領域を著しく拡大した実績を持つ者 プリンシパルエキスパート(理事もしくは上席理事相当処遇):各技術領域におけるトップ技術者 シニアフェロー(理事~執行役員相当処遇):定年到達後の任期満了に伴いエグゼクティブフェロー、プリンシパルエキスパートを退任した後も引き続き右記役割を担うと期待される者 [役割] ①トップ専門職として技術や専門性を深耕・発展させて新事業創出や事業強化に積極的に参画・貢献する ②当該領域の人財育成を行う [区分] リードエキスパート:プリンシパルエキスパートに次ぐ専門職(プリンシパルエキスパートの候補者) エキスパート:リードエキスパートに次ぐ専門職(リードエキスパートの候補者) [役割] 技術や専門性を深耕・発展させて新事業創出や事業強化に積極的に参画・貢献する 専門性・処遇

対象となる領域

  •  [コアプラットフォーム領域]デジタルイノベーション [スタッフ]・法務 ・会計・税務 ・通商・関税 ・M&A ・IT・機関・株式 ・年金資産運用管理・保険/リスクマネジメント ・内部監査 ・人財・組織開発 ・マーケティング・購買物流 [品質保証]・品質保証 ・信頼性保証 ・化学品管理 [環境安全]・労働安全 ・環境保全 ・保安防災 ・機械安全 [研究開発]・知的財産 ・臨床研究 ・研究開発 ・CVC [コア技術領域]・繊維・ポリマー(設計・重合・加工・アプリケーション)・膜/セパレーション ・電気化学(電気分解・電池) ・触媒/化学プロセス/無機合成 ・化合物半導体 ・解析技術/CS ・バイオ・ケミカル プロセス技術・ポリマー加工技術・CAE技術・計測/制御/機械システム・設計・建設技術・設備技術  [事業部門固有領域][住宅]・無機建築材料技術 ・住宅技術開発 ・商品化住宅開発 ・不動産・開発 ・不動産金融 ・建築・土木技術・住宅購買 [マテリアル]・研究開発 ・テクニカル・サービス ・プロセス開発 ・品質保証 [ヘルスケア]・研究開発 ・創薬研究 ・薬事・信頼性保証 ・MA/学術 ・医薬ライセンシング ・医薬事業開発 ・プロジェクトマネジメント ・中国医薬事業 ・医薬マーケティング ・メディカル技術 ・薬事 ・信頼性保証

2023年度 高度専門職技術領域の変更

コア技術領域

生産技術分野において、現在の3領域を見直し以下の6領域に再編

  • ケミカルプロセス技術領域
  • ポリマー加工技術領域
  • CAE技術領域
  • 計測・制御、機械システム技術領域
  • 設計・建設技術領域
  • 設備技術領域

コアプラットフォーム領域

スタッフ系において、以下の任命要件を見直し

  • 購買物流領域
  • 保険・リスクマネジメント領域
  • 機関・株式領域

事業部門固有領域

住宅事業では、以下の領域を新設

  • ホームズ購買領域

高度専門職制度を通して目的の「新事業創出・事業拡大」を実現するため、事業方針に合わせて毎年技術領域の見直し・充実を実施しています。
2023年度は、以下の領域新設や任命要件の見直しをしました。

  • 生産技術分野において、事業環境の変化により重要な技術が大きく変化していることを踏まえ、領域のくくりを実態に合わせて最適な形にすることで、技術の高度化の追求および技術に精通した人財の育成に取り組みやすい環境を整備するとともに、他部門との連携を強め、当社グループの事業に貢献できるよう領域設定を再編しました。
  • 購買物流業務の高度化への対応から専門性の高い人財がしっかりと領域をリードし、メンバーの育成を図っていくことで組織の専門性を高めていく必要があることから、購買物流領域を新設し任命要件を整備しました。また、旭化成ホームズにおいても住宅事業固有の専門性の必要性もあることから、事業個別領域としてホームズ購買領域を設定し、任命要件を整備しました。
  • 定量的・定性的に可視化されたリスクに対し適切なリスクファイナンス手段を設定し、併せてリスク回避・低減手段を提供することの重要性が高まっていることから、新たに保険・リスクマネジメント領域を設定し、任命要件を整備しました。
  • 投資家が求める企業経営への要請が高度化しており、当社グループの事業への理解に基づくコーポレート・ガバナンスの向上が必要となっていることから、機関・株式領域を新設し、任命要件を整備しました。

高度専門職の人数推移と目標

2022年からの中期経営計画では、当社グループにおける高度専門職数を、2024年度に合計300名とすることをKPIとして掲げておりましたが、2022年にほぼ到達する水準となったため、KPIを360名に見直しました。

  • エキスパート、リードエキスパート、プリンシパルエキスパート、エグゼクティブフェロー、シニアフェロー、名誉フェロー 合計 90名 2018年1月 124名 2018年10月 180名 2019年10月 229名 2020年10月 250名 2021年10月 2022年10月時点 295名
    高度専門職(人数推移)

女性の活躍推進

当社グループでは、女性の活躍推進は、DE&I推進の重要な要素の一つであり、この取り組みを進めることが、性別などの属性や年齢等に関係なく多様な人財が活躍する環境を実現することにつながるという考えから、1993年に専任組織(現・ダイバーシティ推進室)を設置し、女性の職域拡大や両立支援施策の拡充による女性が働き続けられる環境の整備を進めてきました。2010年代以降、新卒女性従業員の育成に関する参考情報を記載したハンドブックの担当上司への配布、女性が出産・育児等のライフイベントを経て活躍することを支援する産育休前セミナー・育児休業復職セミナーの実施、女性管理職のその後のキャリア形成を支援するメンタープログラムなど、キャリア形成に対する支援についても取り組みを行ってきた結果、1994年に3名だった女性管理職は、現在309名に増加しています(2023年6月1日現在)。また、経営層においても、現在女性の執行役員は2名、取締役は2名、監査役は1名となっています。
2022年4月に発表した中期経営計画では、多様な人財の活躍状況を測る指標として、管理職の中でも特に指導的役割を果たすポジション(ラインポスト+高度専門職)就任における女性比率に着目していくことを公表しました(2030年目標:10%)。また、その比率を役員報酬にも連動させています。なお、これを受け、女性活躍推進法に基づく行動計画も以下の通り改定しています。

  • ‘18 193名、‘19 212名、‘20 231名、‘21 257名 ‘22 277名 ‘23 309名
    女性管理職の推移
旭化成グループ行動計画 当社グループにおいて、さまざまな価値観やバックグラウンドを有する多様な人財が共に活躍し事業と組織の成長に貢献できる環境を実現するための取り組みの一環として、今まで以上に女性の活躍を促進するため次のように行動計画を策定する。
計画期間 2022~2025年度
内容
目標1
指導的役割を担う上級管理職の候補になりうる人財層を拡充する:
女性の管理職数を2021年3月31日時点の人数から40%増加させる
直近の状況:36%増加(2023年6月1日時点)
目標2
女性が指導的役割を果たすポジションで活躍している状況を目指す:
課長以上のラインポストおよび高度専門職就任者の女性比率を2030年度末までに、10%以上とすることを目指し、計画期間中に以下の事項を実施する
① 事業組織ごとの女性活躍推進の実行計画の策定と実行
② 女性活躍推進を含むダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの重要性についての理解の浸透を図る
直近の状況:3.9%(2023年6月1日時点)
  • 旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル

働き方改革への取り組み

当社グループでは、すべての従業員の能力を最大限に発揮できるよう、社会動向も踏まえ、働き方改革を進めています。
コロナ禍への対応として、2019年度に導入した在宅勤務制度等を臨時措置として一時的に拡大運用していましたが、2022年7月より臨時措置を恒久的な制度に移行し、併せて在宅勤務補助を導入しました。具体的には以下の通りです。

在宅勤務制度 利用回数制限の撤廃
新入社員等制度適用対象の拡大
在宅勤務補助の導入
コアタイムなしフレックスタイム制度 制度化および対象者に勤務間インターバルの考えの導入

ワーク・ライフ・バランスの推進

当社グループでは、ワーク・ライフ・バランスの向上を進めるため、長時間労働の撲滅・削減に向け関連法規を遵守するとともに、さまざまな事情を抱える従業員が安心して生き生きと働けるよう各種両立支援制度を設けています。同時に、イントラネット等による制度周知や上司向けのマネジメント支援を通じて、それらの制度を利用できる職場風土の醸成も進めています。一部内容が異なりますが、両立支援制度は非正規従業員にも適用され、利用されています。

育児休業制度

当社グループ(国内)の「育児休業制度」は、子の年齢が満3歳到達後の4月1日まで取得可能です。
2022年度の育児休業制度の利用者は844名で、そのうち538名が男性、306名が女性であり、子が生まれた男性の育児休業取得率は77.5%となっています。
男性従業員の育児休業取得を支援する取り組みとして、2021年4月よりパパ&プレパパセミナーを開始しています。育児休業制度をはじめとした仕事と育児の両立を支援する制度の説明や育児休業取得経験者の事例共有等を行い、2022年度は延べ110名が参加しました。

  • 旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル、および国内の主要関係会社の正規従業員を対象とする。

女性 ’18年度236名、’19年度251名、’20年度265名、’21年度287名 ’22年度113名 男性 ’18年度392名、’19年度417名、’20年度433名、’21年度420名、’22年度479名 ※各年度に育児休業を利用した人数育児休業取得者の推移

仕事と育児の両立のための短時間勤務制度

当社グループ(国内)は、子の小学校就学時まで短縮勤務が可能な育児短時間勤務制度(1日最長2時間)に加えて、キッズサポート短時間勤務制度を2007年9月に導入し、子が小学校3年生を終了するまでの短時間勤務を可能にしました。フレックスタイム制度が適用されている職場では、フレックスタイムとの併用などにより同制度を利用しやすいように配慮しています。
2022年度の育児短時間勤務・キッズサポート短時間勤務の利用者は462名で、そのうち男性の利用者は1名でした。なお、2020年4月に契約社員の育児短時間勤務の適用期間の拡大(小学校就業前まで)およびキッズサポート制度適用を開始しました。

  • 旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル

育児短時間勤務制度(女性)’18年度356名、’19年度350名、’20年度366名、’21年度322名、’22年度307名 育児短時間勤務制度(男性)’18年度3名、’19年度3名、’20年度4名、’21年度2名、’22年度1名 キッズサポート(女性)’18年度92名、’19年度141名、’20年度123名、’21年度135名、’22年度154名 キッズサポート(男性)’18年度1名、’19年度2名、’20年度0名、’21年度0名、’22年度0名育児短時間勤務制度・キッズサポート短時間勤務制度の取得者の推移

次世代認定マーク「プラチナくるみん」取得

旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ファーマ、旭化成メディカルの4社は、次世代育成支援に積極的な企業のうち特に取り組みが優秀なものとして、2016年に厚生労働省より「プラチナくるみん」を取得しました。

プラチナくるみん 子育てサポートしています

仕事と介護の両立のための制度

当社グループ(国内)では、法の定めを超える介護支援制度を設け、仕事と介護の両立を支援しています。

  • 介護休業:

    家族を介護することを理由とする場合、要介護者1人、1疾病につき通算245日の休業を取得可能

  • 介護短時間勤務:

    要介護者1人につき通算1,225日取得可能

  • 介護支援勤務制度:

    コアタイムの短いフレックスタイム勤務 など

当社グループでは、仕事と介護の両立のためのセミナーを2011年より全国各拠点で開催しており、2020年からはオンライン開催により全国の当社グループ社員を対象に実施しています。2018~2020年は「介護と仕事を両立する部下を持つ上司向けセミナー」、2021年は「仕事と介護の両立セミナー基礎知識編」、2022年は「仕事と介護の両立セミナー遠距離介護編」というように、多様なニーズに対応できるように取り組んでいます。
2019年4月から開始した無料介護電話相談サービス(当社グループの全従業員とその家族が365日・24時間利用可能)では、1年間で18件を超える利用がありました。また、2020年4月には、在宅介護者が増大した場合への対策として、介護短時間勤務制度の拡充を行いました。

同時に、制度を利用できる職場環境づくりを進めるため、イントラネットを通じた仕事と介護の両立に関する情報や制度情報の発信、仕事と介護の両立に役立つ情報をまとめたハンドブックの配布(2013年1月~)を実施しています。

  • 旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成メディカル

家族の介護をするときに仕事と介護の両立を支援するハンドブック

  • 妊娠 出産 育児 1歳 2歳 3歳 小学校入学 小学校3年生終了 介護、休暇・休業 その他、つわり休暇 産前産後休暇 42日 56日 プラス産前または産後に14日 女性のみ 3歳到達後の4月1日まで 育児休業、介護休業(疾病ごと245日) 介護休暇 サポート休暇(失効年休の積み立て制度)、保有限度40日 家族看護休暇 育児短時間勤務制度 キッズサポート短時間勤務制度 介護短時間勤務制度(要介護者1人に1,225日) 介護支援勤務制度 ベビーシッター利用補助、ヘルパー利用補助
    主な仕事と育児・介護の両立支援制度

事業領域を超えた人事異動

当社グループでは以前より事業領域を超えた人事異動を積極的に行っており、2022年度は約300名が事業領域を超えて異動しました(組織改正による影響を含む)。この取り組みによる事業拡大の例として、当社の住宅事業は近年海外に進出しましたが、この事業展開にあたってグループ全体の人財・ノウハウなどの経営基盤を活用することで、スピーディーに展開することができました。海外事業の拡大によって住宅事業の業績も伸び、キャッシュ創出力も高まっています。このようなグループ全体での人財活用による事業拡大は、まさに「事業や技術の多様性」という当社の無形資産を活用した取り組みで、今後もより一層強化したいと考えています。

タレントマネジメントシステム「CaMP」の導入

2022年度から、タレントマネジメントシステムを導入し、人財の可視化を進めています。当社ではタレントマネジメントシステムのことをCareer Management Placeの頭文字をとって通称CaMPと呼んでいます。CaMPにて各人のキャリアについての考えや専門性、経験値などの人財情報を一元管理し、最適な成長支援(人財開発、人事配置など)を行うことで、より一層「共創」を進めたいと考えています。

グローバル人財の育成

「中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer~」で掲げるグローバルな事業展開を人事面で推進すべく、施策を展開しています。まず、若手従業員が自ら海外経験獲得を志向して挑戦する「海外公募留学制度」「海外短期派遣制度」、海外現地法人マネジャー へのステップとする指名制の「海外実務研修制度」、グローバル事業創出に向けた「海外指名留学制度」を運用しています。さらに、共創力強化に向け海外現地法人の人財育成施策にも取り組んでいます。
ローカル従業員の海外間転勤、理念浸透施策、異文化コミュニケーション研修、マネジメント研修等を状況に合わせて実施、運用しています。
例えば中国では、旭化成(中国)投資有限公司が、旭化成中国全現地法人に対して「公開講座」や「層別職能別の人財育成プログラム」を提供しています。
海外事業展開を支える海外拠点におけるキーポジションへの外国人および現地採用人財の登用を拡大していくほか、その中から優秀な人財については各事業にとどめず、グループ全体に貢献する人財に育成していくための取り組みを推進しています。一例として、2022年からの中期経営計画検討において、米国・欧州・中国・日本の次世代リーダークラスで2030年の当社グループのあるべき姿について議論を実施し、その中でなされた提言が、中期経営計画のコンセプトである“Be a Trailblazer”のもとになっています。
また、海外M&Aにより当社グループの一員になった優秀な人財も積極的に登用し、執行役員レベルでグループ経営への参画を行っています。
なお、2023年度、旭化成株式会社の外国人執行役員は7人となっています。

障がい者雇用の促進

当社グループは、障がいの有無にかかわらず、すべての従業員がそれぞれの能力を発揮し気持ちよく働けるようにサポートしています。
当社グループは、障がい者雇用促進のための特例子会社「旭化成アビリティ」を1985年に設立しました。データ入力、書類の電子化(PDF化)、ホームページ作成などのOA業務、名刺作成、印刷・製本、サンプル発送代行、クリーニング、筆耕、花壇の管理など、当社グループからさまざまな業務を請け負っています。
2022年度の障がい者の法定雇用率は2.3%ですが、当社グループの年間を通じての雇用率は2.40%であり、直近の2023年3月末現在でも2.38%(657名)と、法定雇用率を上回っています。

  • 雇用率・雇用数は特例子会社グループ適用会社全体の各年度平均の数字です。2023年3月末日の算定基礎人員は23社合計27,607名(障害者雇用促進法に基づいて計算した人員数)

アビリティ ‘18 379名、‘19 418名、‘20 438名、‘21 453名、‘22 464名 その他 ‘18 195名、‘19 191名、‘20 185名、‘21 190名、‘22 188名 雇用率の実績 ‘18 2.23%、‘19 2.31%、‘20 2.38%、‘21 2.42%、‘22 2.37% 法定雇用率 ‘18 2.2%、‘19 2.2%、‘20 2.3%、‘21 2.3%、‘22 2.3%障がい者雇用率・雇用数の推移

旭化成アビリティの取り組み

① 既存業務の拡大

  • (1)バナナペーパー名刺の作成

    これまで廃棄されるのみであった、オーガニックバナナの茎から採取したバナナ繊維を原料としているバナナペーパーを、名刺用途として使用しています。SDGsの観点から当社グループ内でも注目度が高く作成依頼が増えており、拡大基調にあります。

  • (2)窯業(手作り陶器)の拡大

    障がい特性に応じた職務開発を行っており、多岐にわたる作業工程の確保ができ、手指を使ったモノづくりの作業体験ができることから、農業、窯業やコーヒー加工の業務を継続的に行っています。箸置き、小皿等の需要増加に対応するため、2023年3月に新規に電気炉を購入、稼働しました。

  • 窯業の作業風景
  • 製作した箸置き

② アビリンピック(障がい者技能競技大会)
旭化成アビリティからはアビリンピック(障がい者技能競技大会)の各県大会に毎年多くの従業員が出場し入賞しています。2022年度の全国大会(千葉県開催)には9名の従業員が各都府県代表として出場し、2名がオフィスアシスタント競技で銀賞を獲得しました。また、2023年3月には、第10回国際アビリンピックが、フランスのメッス市にて開催され、旭化成アビリティから日本代表として1名が洋裁の部に出場し、国内外で日頃の業務で培った力を発揮しました。

  • 縫製部門の競技の様子
  • 出場者の皆さんと共に

すべての意欲ある人財の活躍を支援する制度

女性や障がい者の活躍推進のみならず、従業員の個々の事情に対応し、それぞれの人財が十分に能力を発揮し活躍できる環境づくりのための支援策を幅広く展開しています。

例えば、病気療養からの円滑な業務復帰を支援する仕組みとして、産業医の指示に従い段階的な業務再開等を行うためのリハビリ勤務制度を設けています。さらに2023年3月には、病気の治療と仕事を両立させるための「治療のための通院時間確保支援制度」を新設しました。本制度は病気の治療や不妊治療により通院が必要な従業員を支援する施策となっています。
また、社会のグローバル化の進展に伴い、配偶者が海外転勤となるケースが増えてきたことから、当社では2013年に配偶者海外転勤時同行休職制度を導入しました。2022年度の利用者は11名(うち男性0名)でした。
そして、LGBTQ活躍支援として、2021年1月より、同性パートナー関係を社内制度上は婚姻関係と同等に扱う運用を開始しています。本社ビルには性別および性自認を問わず誰でも利用できるジェンダーレストイレが設置されています。今後もLGBTQに関する従業員の理解促進や働きやすい環境整備に取り組んでいきます。

方針

旭化成グループは、当社グループで働くすべての人財は多様性と変革力による新たな価値を創造する源であると考えています。

当社グループは、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、グローバル・コンパクトの労働に関する原則を支持、尊重します。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」「子どもの権利とビジネスの原則」にも賛同し、これらの枠組みをもとに、事業における労働課題の把握と適切な対処に取り組んでいきます。
国連グローバル・コンパクトでは、以下の労働原則が規定されています。

  • 結社の自由と団体交渉の実効的な承認
  • あらゆる形態の強制労働の撤廃
  • 児童労働の実効的な廃止
  • 雇用と職業における差別の撤廃

さらに、「旭化成グループ行動規範」では、当社グループはもとより調達先においても、児童労働や強制労働など非人道的な行為を容認せず、雇用形態を含むあらゆる理由に基づく差別を禁止し、人権および多様性を尊重し、誠実で責任感ある業務遂行を実践していくことを明記しています。

上記の考え方に基づき、以下の労働問題について、国内外の労働関連法令の遵守はもちろんのこと、従業員が能力を十分に発揮でき、安全で安心して働ける職場環境づくりに努めます。

  • 児童労働および強制労働の防止
  • 過度の労働時間の削減
  • 労使の協議に基づく労働条件の策定

     旭化成株式会社の新卒採用者の初任給は、地域別最低賃金全国加重平均額の少なくとも115%以上となっています。
     地域で定められた最低賃金の遵守および適正な生活賃金の支払いを通じて従業員の生活水準を一定以上に保ちます。
     また、現地の法令で定められた最低賃金を遵守し、同一労働・同一賃金の考え方から同じ職位であれば性別等による差を設けない報酬体系を適用しています。

  • 結社の自由および団体交渉権の保障

     雇用する従業員については、結社の自由および団体交渉権を保障しています。

当社グループの労働条件は、労使の協議、合意に基づき策定、運用します。

マネジメント体制

当社グループの人事・労務管理に関する取り組みは、旭化成(株)の総務部および人事部が所管しています。グループ各社はそれぞれにおいて人事制度を運営し、人財開発に取り組んでいますが、法令違反や不適切な状況が発生していないか、定期的な監査によりグループ全体の状況を確認し、取締役会にて適宜報告しています。

労働基準遵守への取り組み

労働基準に関する労使の協議

法令遵守をグループ全体で徹底するため、労働関連法の改正やトピックスについてグループ各社へも情報共有を行うなど、法令遵守の徹底に取り組んでいます。
また、当社グループでは2017年度より働き方改革に関して労働組合と会社で検討を行う専門委員会を設け、在宅勤務制度等の施策を具体的に実施しています。
さらに、労働時間を短縮すべく、年次有給休暇の取得促進のほか、過重労働を組織単位で防止する目的で労働時間が相対的に長い職場のモニタリング等に取り組んでいます。

2022年度、労働基準法違反の事例は3件でした。時間外労働休日労働が月間の上限時数(80時間)を超えたものでした。違反発生後、直ちに当該組織の上長にヒアリングし、発生原因および組織としての再発防止策を確認し、業務量の調整および職場サポート体制の見直しを実施しました。
全社レベルで労働時間管理についての意識を強化すべく、2022年度より勤怠管理のe-ラーニングを勤怠管理者全員を対象に実施しています。

労使のコミュニケーション

当社グループは、従業員の結社の自由と団体交渉の権利を支持し、健全な労使関係の維持・強化を重視しています。
旭化成労働組合との間では、グループ全体の経営についての協議会や事業部門、事業所ごとの経営協議会を定期的に開催しています。また、当社グループの各労働組合の連合体である旭化成グループ労働組合連合会とも定期的に経営懇談会を開催するなど、議論の場を持ち、労使の円滑なコミュニケーションを促進する取り組みを行っています。
なお、旭化成労働組合とはユニオンショップ協定(管理監督者を除くすべての従業員が組合に加入する協定)を締結しており、組合員数は9,713名(2023年6月1日時点)となっています。

地域雇用の創出

当社グループ事業の進出地域において、地域からの雇用や調達を通じて地域に貢献していきます。