研究開発戦略 | 研究・開発 | 旭化成株式会社

汚染防止と資源循環

方針

旭化成グループでは、地球環境対策に関する方針の中に「循環型社会の構築」を掲げ、ライフサイクル全体を通して効率的な資源・エネルギー利用と環境負荷低減を目指しています。産業廃棄物削減、化学物質の負荷低減、大気汚染・水質汚濁防止、資源の有効活用等の各取り組みを通じて、循環型社会の構築に向けて取り組んできました。
また、「中期経営計画 2024 ~Be a Trailblazer ~」(2022-2024年度)に掲げるCare for Earthにおいて、カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現に向けて、循環型経済社会の構築にも貢献していきます。

産業廃棄物の発生抑制と再資源化推進

当社グループでは、産業廃棄物の3R―抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)に加えてRenewableに取り組んでいます。
当社グループ(国内、海外)の2022年度の産業廃棄物発生量は600.9千トンで、うち特別管理産業廃棄物は18.6千トンでした。また、産業廃棄物の再資源化率※1は75.2%、非再資源化率※2は24.8%でした。今後も再資源化を推進していくために、廃棄物の分別、再資源化可能な処理先の模索等の取り組みを進めていきます。
当社グループではこれまで廃プラスチックの埋め立てをゼロにする目標に向けて取り組んできました。2022年度は混合廃棄物の分別を十分に行えなかったことや、一過性の廃棄物を再資源化することができなかったことから、廃プラスチック埋め立て量は1.5トンとなり、目標を達成できませんでした。引き続き再資源化への取り組みを進めていきます。
PCB※3廃棄物の管理と処分についても、ステンレス容器などに入れて倉庫で保管する等管理を徹底するとともに、低濃度PCB廃棄物も含めた処分も計画的に進めていきます。PCB含有電気工作物においては把握、更新を計画的に行い、処分を進めています。
また、産業廃棄物管理票(マニフェスト)による日常管理に関して、電子マニフェスト化を進め、管理の強化を行っています。さらに産業廃棄物収集・運搬業者および処理業者が適正な処分を行っているか、定期的に現地を訪問して、その処理状況を確認しています。

  • ※1再資源化率ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルの割合
  • ※2非再資源化率熱回収、減量化、埋立処分の割合
  • ※3PCB(ポリ塩化ビフェニル)“Polychlorinated Biphenyl”の略で、難分解性かつ、人の健康および生活環境に被害を及ぼすおそれがあるため、日本では製造・使用が実質的に禁止されています。
  • 廃棄物発生量(千t):国内555.7、海外45.2、合計600.9、割合100% 再資源化量(千t):国内43.0、海外0.3、合計43.3、割合7.2% 非再資源化量(千t):国内30.5、海外19.3、合計49.8、割合8.3% 外部排出量(千t):国内482.2、海外25.7、合計507.9、割合84.5% 再資源化量(千t):国内392.0、海外16.5、合計408.5、割合68.0% 非再資源化量(千t):国内90.3、海外9.2、合計99.5、割合16.6%
    廃棄物処理フロー(2022年度実績)
  • 産業廃棄物発生量 2019年度:国内617千t、海外37千t、合計654千t 2020年度:国内541千t、海外29千t、合計571千t 2021年度:国内530千t、海外47千t、合計577千t 2022年度:国内556千t、海外45千t、合計601千t
    産業廃棄物発生量の推移
  • 再資源化割合 2019年度:再資源化65%、非再資源化35% 2020年度:再資源化73%、非再資源化27% 2021年度:再資源化71%、非再資源化29% 2022年度:再資源化75%、非再資源化25%
    再資源化割合の推移
  • 廃プラスチック埋立量 2018年度146t、2019年度45t、2020年度0t、2021年度0.5t、2022年度1.5t
    廃プラスチック埋立量の推移

建材・住宅事業の産業廃棄物の削減

建材事業においては、旭化成建材の広域認定制度により販売したヘーベルパネルを回収し、自社工場や他社でリサイクルしています。また、旭化成ホームズでは、住宅建設現場の廃棄物の発生量の削減、廃棄物の分別回収に取り組んでおり、新築建設現場では、最終処分量ゼロを継続しています。

  • 建設現場→へーベル廃材→旭化成建材広域認定工場 穂積工場/岩国工場・境工場→へーベル、建設現場→へーベル廃材→委託工場(関東)外部委託→セメント原料・軽量人工土壌
    「ヘーベルパネル廃材」リサイクルの仕組み
  • 広域認定制度環境大臣が産業廃棄物の再資源化に資する広域的な処理を行う者を認定し、関係する地方公共団体ごとの許可を不要とする特例制度のこと。産業廃棄物の再資源化をより一層促進させるために創設されました。

化学物質の負荷低減

当社グループでは、PRTR※1法対象物質や自主的に定めた化学物質に関して、有害性の高いものや排出量の多いものから優先的に削減に取り組んでいます。下記のグラフに示すように、PRTR法対象物質の排出量およびVOC※2排出量は、2000年度対比それぞれ91%、89%削減しました。今後も運転管理、設備管理を強化し、不測の排出を削減していきます。
フロン類算定漏えい量の集計は2021年度から当社グループ全体で行っています。2022年度の当社グループのフロン類算定漏えい量は1,327t-CO2でした。

  • PRTR対象物質排出量(大気排出量+水域排出量) 2000年度4,890千t、2018年度570千t、2019年度350千t、2020年度300千t、2021年度290千t、2022年度440t ※土壌への排出は「0」です。 ※2010年度より法改正に伴うPRTR法対象物質の増減を反映しています。
    PRTR法対象物質排出量の推移
  • VOC排出量 2000年度10,400t、2017年度1,350t、2018年度1,400t、2019年度1,100t、2020年度920t、2021年度1,000t
    VOC排出量の推移
  • ※1PRTR制度 "Pollutant Release and Transfer Register"の略で、有害性のある化学物質を取り扱う工場や事業所が、化学物質ごとに環境への排出量や、廃棄物としての移動量を把握・報告(登録)し、その結果を国が公表する制度です。
  • ※2VOC "Volatile Organic Compounds"の略で、揮発性有機化学物質のことです。排出されたときに気体状の物質すべてを指します。ただし、メタンおよび一部フロン類は、オキシダントを形成しないことからVOC規制から外れています。

大気汚染防止

当社グループでは、大気、水域および土壌や地下水を汚染しないよう、排出管理、漏えい防止対策を実施しています。また、臭気対策としての排ガス吸収設備の導入や、排水処理施設の能力増強等、設備対応も実施しています。土壌汚染に対しては、土壌汚染対策法および関係条例に則り、調査・措置を実施しています。大気汚染防止法に関わる物質については、規制基準内に管理しました。

  • SOx排出量(延岡+水島+守山+富士+大仁+川崎+鈴鹿+その他)2018年度6,000千t、2019年度6,300千t、2020年度5,200千t、2021年度6,800千t、2022年度3,700千t
    SOx排出量の推移
  • NOx排出量(延岡+水島+守山+富士+大仁+川崎+鈴鹿+その他) 2018年度3,300t、2019年度3,400t、2020年度3,600t、2021年度3,500t、2022年度2,600t
    NOx排出量の推移
  • ばいじん排出量(延岡+水島+守山+富士+大仁+川崎+鈴鹿+その他)  2018年度140t、2019年度90t、2020年度110t、2021年度140t、2022年度90t
    ばいじん排出量の推移

資源の有効活用

2019年のG20で大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが示された通り、海洋プラスチックごみ問題は世界で力を合わせて取り組むべき課題です。そこで当社は海洋のマイクロプラスチックがどのように生成されるのか解明するため、九州大学と協働を進めているほか、プラスチックの正しい使用や処理についての業界団体での啓発活動に参画しています。使用済みのプラスチック、資源として有効活用することも大切であるため、3R(Reduce、Reuse、Recycle)の取り組みも進めています。

  • 当社の主な貢献機会 易リサイクル素材 長寿命化 中古品流通 業界/行政との協働 リサイクル技術 基礎化学品創出 デジタルインフラ 持続可能な資源利用 再生可能原材料→素材製造(従来の貢献)→最終製品化→使用→リユース→回収→分別→資源化
    サーキュラーエコノミーの考え方

サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組み

「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス)」プロジェクト

当社グループではSDGs(持続可能な開発目標)に象徴されるサステナビリティへの取り組みの一環として、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みをアカデミアや他社と協働して進めています。
当社はポリエチレン・マテリアルリサイクルへの取り組みとして日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)の技術支援を受けた「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス)」プロジェクトを発足させ、ブランドオーナーの立場からライオン株式会社、成形および最終製品化の各工程を専門とするメビウスパッケージング株式会社、リサイクルメーカーの立場から株式会社富山環境整備が協力することで、資源循環社会の実現に向けた取り組みを進めています。

  • 既存のバリューチェーン リサイクル技術 ポリスチレン(PS)ケミカルリサイクル ポリエチレン(PE)マテリアルリサイクル 原材料 リサイクル材の活用 バイオマス原料の活用 サーキュラーを促進するデジタルプラットフォーム BLUE Plastics
  • 回収分別 富山環境整備 →原料配合ペレット化 Asahi KASEI 〈アカデミア〉物性再生技術:福岡大学 機構解析:神戸大学 →成形加工 メビウスパッケージング株式会社 →最終製品化 LION →回収分別
  • 「BLUE Plastics」プロジェクトの概要
    「BLUE Plastics」プロジェクトは、資源の循環を促進させるデジタルプラットフォームの構築を目指して旭化成により発足しました。日本IBMはIBM Cloud上で稼働するブロックチェーン技術を活用することでデジタルプラットフォームの構築を支援します。ブロックチェーン技術は、すべての履歴を連続的に記録する「不可逆」なデータベース技術で、関係者全員がアクセス可能でありながらデータ改ざんが不可であるため、トレーサビリティ(追跡可能性)を担保します。日本IBMのブロックチェーン技術を土台に、回収、ペレット化、成形および最終製品化の各工程を専門とする株式会社富山環境整備、メビウスパッケージング株式会社、ライオン株式会社が協力することで、資源循環社会の実現を加速させます。