2003年4月7日

各 位
旭化成株式会社

工業化3階建て住宅に初めて制震構造を導入
 
 旭化成株式会社住宅カンパニー(カンパニー社長:岡本 利明)は、鉄骨軸組構造3階建て住宅に、工業化住宅として初めて制震構造を導入しました。従来に比較して少ない耐震要素数で、高い耐震性が実現されます。プランの自由度が一層高まり、ロングライフ住宅に求められる大空間の設計や間口の狭い建物での大きな開口部の設置を可能とするなど、柔軟なプラン対応と耐震強度の両立を実現できます。
今回の制震構造は従来の柱梁などの主要構造部材は変更せず、「高耐震フレーム」に替えて、地震時に応力が集中する部分に「極低降伏点鋼(ごくていこうふくてんこう)」による「制震デバイス」を組み込んだ「制震フレーム」を設置することで成り立っています。
「極低降伏点鋼」は、通常の鋼材に比べ極めて靭性(粘り強さ、変形能力)に富む素材であり、「制震フレーム」にセットすることで、地震などにより建物にもたらされるエネルギーを吸収することができ、建物の揺れを減少させます。これにより、工業化住宅として初めて制震構造による国土交通大臣認定を取得しました。
今回の制震構造については、本年4月10日から販売する鉄骨軸組構造3階建て商品全てに導入されます。

1. 開発の背景
    阪神淡路大震災以後、地震国日本では地震に対する建物の安全性に関心が高まり、近年次々と竣工する超高層ビルでは従来の耐震技術に替わり、制震構造・免震構造といった技術が次々と取り入れられています。戸建住宅の分野でも従来の耐震構造の考え方のみでなく、建物の損傷を抑え、家財や居住する人の安全を確保するために免震構造を取り入れる動きがあります。しかし、住宅としての仕上がりの完成度を考慮すると最終的なコストは比較的高価であり、採用される事例は少数に留まっています。
今回当社が導入した制震構造は、地震発生時に2階建に比較して大きな揺れのエネルギーを受ける3階建住宅に、工業化住宅として初めて導入されるものです。地震により加えられるエネルギーを「制震デバイス」が吸収し、躯体システムを構成する主要な構造部材への負担を軽減するので、現行の主要構造部材を変更することなく、耐震性能を向上させることが可能となります。
当社では、半世紀を超えて住まい手の満足を維持する「ロングライフ住宅の実現」を目標に、物理的・機能的・サービスの各面からロングライフ化を進めてきました。今回の技術の導入により、従来の「高耐震フレーム」に比較して少ない数の「制震フレーム」で同等の耐震性を実現できるため、耐震強度と大空間設計や大きな開口部の実現といった両立の難しい要素を解決し、機能的ロングライフにおける設計自由度の高さと将来への対応力を2階建ての建物と同等に確保することができます。
   
2. 制震構造について
   現在の耐震技術は、大きく分類して耐震構造・制震構造・免震構造に大別できる。それぞれの考え方の概要は次の通り。

  [耐震構造]
柱、梁、耐力要素などの構造部材自身の耐力により、建物の安全性を確保する。
[制震構造]
地震のエネルギーを吸収することで、建物の揺れを制御する制震装置と構造部材の耐力により、建物の安全性を確保する。
[免震構造]
地面の揺れを建物に伝わりにくくすることで、建物を揺れにくくする免震装置と構造部材の耐力により、建物の安全性を確保する。

・制震構造の定義
(1)主架構(骨組み)に制震デバイスが付加されていること。
(2)大地震時に主架構を弾性の範囲内にとどめること。(即ち損傷をさせずに被害を小さくすること)
(3)中地震時にも制震デバイスが働いて応答(建物の揺れ)を低減すること。
   
3. 極低降伏点鋼について
   極低降伏点鋼とは、従来の鋼材に比べて小さい力で変形し始め、優れた伸び特性を有しており、地震のエネルギーを効率よく吸収する鋼材。近年の高層ビルでは制震ブレースや制震壁、せん断パネルなどで制震部材として利用されています。
また、極低降伏点鋼を使用した制震装置では、振動エネルギーの吸収繰り返しによる疲労特性が重要となりますが、実験によれば既往のSS400等の鋼材と同等であることが報告されています。

  [高耐震フレームの鋼材と耐震デバイスの鋼材比較]
耐震要素 鋼材 規格 靭性(伸び)(%)
高耐震フレーム 普通鋼 SS400 JIS G3101 21以上
制震フレーム 極低降伏点鋼 SSHD50 50以上
「制震フレーム」等画像>>

以上




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