2004年3月9日

各 位
旭化成ファーマ株式会社

血管拡張剤 ファスジル経口剤の海外における臨床結果について

 旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:中岡 靖晶)は、このたび当社の持つファスジル経口剤に関して、導出先であるドイツのシエーリング社(Schering AG社)が米国で実施した臨床試験の結果発表について下記の通りお知らせ致します。

1. 背 景
   当社が開発した血管拡張剤「ファスジル」は、新しい作用機序(Rho-kinase 阻害作用)をもつ薬剤です。
 既に当社は国内において同剤を注射剤(商品名「エリル 注S」)として、“くも膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状の改善”の適応症で販売しており、同疾患の標準治療薬として使用されています(2002年度売上高 約14億円)。また、同注射剤について、“脳血栓症急性期”の適応症で効能追加を申請中です。ファスジル経口剤につきましては、狭心症を対象としたフェーズIIの臨床試験を、国内にて終了しております。
 海外においては、ファスジル経口剤を、2001年にシエーリング社に導出し、現在同社により欧米にて狭心症を対象とした臨床開発が進められています。ファスジル注射剤についても、2002年にシエーリング社に導出し、現在“くも膜下出血”の適応症で、同社により欧米にて臨床開発が進められています。
 このたび、米国における狭心症を対象としたファスジル経口剤を用いた用量探索臨床試験が終了し、その結果の概要が2004年3月8日に、シエーリング社より発表されました。また、試験結果の詳細はニューオリンズで行なわれている「53回 Scientific Annual Meeting of the American College of Cardiology」にて3月7日に発表されました。
   
2. 内 容
  ・  シエーリング社により、狭心症患者を対象として標準治療上乗せで実施された二重盲検用量探索試験で、ファスジル投与群は、運動負荷試験において運動時間及び心筋虚血発生までの時間を改善し、有効性が確認された。運動負荷時の心筋虚血発生までの時間は、プラセボ群で44秒延長したのに対し、ファスジル投与群では172秒の延長を認めた。
     
  シエーリング社の専門治療薬戦略ビジネスユニット部門長であるカップ(Kapp)氏は“この結果はファスジルの効果と安全性を示すものである。ファスジルは忍容性が良好で、また他の標準治療を受けている患者においても虚血症状を改善できる新規な作用メカニズムを有している。狭心症において通常とは異なる作用を示し、他の薬剤ではみられないユニークな特長があるファスジルについて大いに期待している。今後ファスジルのポテンシャルについて更に追求していくために試験を進めていきたい”とのコメントを出した。
     
    <Schering AG社の概要>
   
本   社 ドイツ ベルリン
代 表 者 Dr. Hubertus Erlen
売 上 高 4,828 million Euro(2003年)
事業内容 ホルモン治療薬、造影剤、皮膚治療薬、その他治療薬(中枢、癌、循環器)の製造・販売
   
 
1. 「エリルの概要
  [一般名]
    塩酸ファスジル水和物
(ファスジルは基本骨格部分の名称)
       
  [特 徴]
     新しい作用メカニズムをもつ血管拡張薬。
血管収縮機序の最終ポイントである Rho-Kinase 等の蛋白リン酸化酵素を阻害することにより血管の収縮を防ぐ。
     
  [日本での開発状況]
   
脳血栓症急性期 注射剤  申請中
狭心症  経口剤  フェーズU 
     
2. 語句の説明  
  (1) 脳血管攣縮:
     くも膜下出血を起こしても元気だった患者が、数日後、急に具合が悪くなり、手足のまひ、ろれつが回らないなどの言語障害が現れてくることがある。これは出血のために脳の血管が強く収縮し、脳に十分な血液が流れなくなっているためである。この脳の血管の収縮が脳血管攣縮である。(出典:家庭医学館)
     
  (2) 脳梗塞:
     脳血管の血流障害により、脳組織が壊死を起こすことをいう。
血流障害の原因として、脳血栓、脳塞栓によることが多いが、くも膜下出血に伴う血管攣縮、低血圧、低酸素血症などによっても起こる。(出典:南山堂「医学大辞典」)
     
  (3) 脳血栓症:
     脳の動脈の動脈硬化が進むと、動脈の内腔が狭くなり、その部位に血流のよどみができる。そのため、徐々に血栓(血液のかたまり)ができて、血栓が血管の内腔をつまらせてしまう(閉塞)のが、脳血栓である。(出典:家庭医学館)
     
  (4) 狭心症:
     心筋に流れる血液量が必要量に達しなくなると、心筋虚血という状態になる。心筋虚血は、血液の必要量と供給量のアンバランスによって生じるが、そのアンバランスの原因には、必要量が増加した場合と、供給量が低下した場合との2つがある。心筋虚血がおこると、“胸が痛い”・“胸が圧迫される”などの症状を感じる。この症状を狭心症という。(出典:家庭医学館)
     
  (5) 水和物:
     ゆるく結合した1つあるいはそれ以上の水分子を含む化合物(生理・生化学用語辞典)。
     
  (6) 用量探索臨床試験:
      薬剤の臨床推奨投与量を探索するため、投与量をいくつかに振り分けて患者に投与し、その臨床的効果、副作用を確認する試験。
     
  (7) プラセボ ( プラシーボ )
     薬効評価を行う際、薬物投与そのものによる心理的効果を除外するための対照薬として用いられる。治験薬と色や形は似ていながらも、通常、有効成分は含まない。プラセボの成分としては乳糖や生理的食塩水が用いられることが多い。(出典:南山堂「医学大辞典より引用、加筆」)
     
3. 用量探索臨床試験の結果概要(Schering社発表内容)  
   多施設無作為化二重盲検第二相臨床試験において、ファスジル( 41 例)、プラセボ( 43 例)が投与された。1つの抗狭心症薬、即効性硝酸薬並びに、アスピリン及びスタチンを含んだ通常の心臓血管系薬剤が併用可能とされた。ファスジルは 2 週間ごとに増量し、 8 週間投与された。患者の運動耐容時間はプラセボ群とファスジル群で改善され、ファスジル群においてより改善の傾向がみられた。 8 週目での運動時間はプラセボ群で 1.43 分、ファスジル群で 1.97 分延長した。 8 週目における心筋虚血発生までの時間はプラセボ群に対してファスジル群では 2.83 分( P=0.012 )の延長がみられた。

以上




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