2006年6月29日

各 位
旭化成ファーマ株式会社

ファスジル経口剤及び吸入剤のライセンス契約締結について

 旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:大江  啓)は、当社が開発した「ファスジル」について、このたび下記の通り米国のコセリックス社 (CoTherix, Inc.)と経口剤および吸入剤に関するライセンス契約を締結しましたので お知らせ致します。
 
1.背 景
 当社が開発した「ファスジル」は、新しい作用機序 (Rho-kinase 阻害作用)をもつ薬剤です。近年、Rho-kinaseの機能についての解明が進むにつれて、 多くの疾患に対してファスジルが効果を示すことが期待されております。
 既に当社はファスジルを注射剤(商品名「エリル 注S」)として、国内において 「くも膜下出血術後の脳血管攣縮(れんしゅく)及びこれに伴う脳虚血症状の改善」の適応症で販売しており、 同疾患において広く使用されています。また、注射剤については、国内で脳梗塞の治療薬としての 開発を進めております。
 経口剤については、米国での狭心症を対象とした用量探索臨床試験が終了し、 ファスジルの特徴が確認されております。また、その作用機序から肺高血圧症にも効果が期待されることもあり 、当該治療領域に米国で経験のあるコセリックス社に導出することとなりました。
 
2.内 容
  (1) 対 象 品: ファスジルの経口剤および吸入剤
  (2) 対 象 疾 患: 狭心症(経口剤)、肺高血圧症(経口剤、吸入剤)
  (3) ライセンス先: 米国 コセリックス社
  (4) ライセンスの地域: 北米及び欧州
  (5) ライセンス一時金: 契約締結時一時金として8.75百万米ドル、以降開発の ステージアップ等に応じて支払いを受ける。
   
≪ご参考≫
  CoTherix社の概要
  本 社: 米国 南サンフランシスコ市
  社 長: Donald J. Santel
  事業内容: 2000年に設立し、2004年にNASDAQに上場している。 肺高血圧症薬Ventavisを2005年から販売している。
 
以上
 
《ご参考》 語句のご説明
(1) Rho-kinase:
  Rho-kinaseは、細胞内情報伝達に関与するリン酸化酵素で 、血管平滑筋の収縮・弛緩をコントロールする生体機能分子として、近年、注目を集めている。
血管平滑筋に存在するRho-kinaseが異常に活性化されると、血管平滑筋の収縮が亢進され、 その結果生じる血流障害により組織の機能異常が起こる。Rho-kinase阻害剤であるファスジルは、 血管平滑筋の収縮を抑制するとともに、付随しておこる組織障害を効果的に改善することができる。
   
(2) 脳血管攣縮:
  くも膜下出血を起こしても元気だった患者が、 数日後、急に具合が悪くなり、手足のまひ、ろれつが回らないなどの言語障害が現れてくることがある。 これは出血のために脳の血管が強く収縮し、脳に十分な血液が流れなくなっているためである。 この脳の血管の収縮が脳血管攣縮である。(出典:小学館「家庭医学館」)
   
(3) 脳梗塞:
  脳血管の血流障害により、脳組織が壊死を起こすことを いう。
血流障害の原因として、脳血栓、脳塞栓によることが多いが、くも膜下出血に伴う血管攣縮、 低血圧、低酸素血症などによっても起こる。(出典:南山堂「医学大辞典」)
   
(4) 狭心症:
  心筋に流れる血液量が必要量に達しなくなると、 心筋虚血という状態になる。心筋虚血は、血液の必要量と供給量のアンバランスによって生じるが、 そのアンバランスの原因には、必要量が増加した場合と、供給量が低下した場合との2つがある。 心筋虚血がおこると、「胸が痛い」・「胸が圧迫される」などの症状を感じる。この症状を狭心症という。 (出典:小学館「家庭医学館」)
   
(5) 肺高血圧症:
  肺動脈圧の上昇を認める病態の総称であり、 肺動脈圧上昇の原因は様々である。肺高血圧症の自覚症状としては、労作時呼吸困難、易疲労感、 動悸、胸痛、失神などがみられる。いづれも軽度の肺高血圧では出現しにくく、症状が出現した時には、 既に高度の肺高血圧症が認められていることが多い。また、高度肺高血圧症には労作時の突然死の危険性 がある。(出典:「肺高血圧症治療ガイドライン」)
 
以上


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