2006年9月7日

各 位
旭化成ファーマ株式会社


ART-123の海外展開について

 旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:大江 啓)は、当社が開発しているART-123[一般名:トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)]の海外の権利をベンチャー・キャピタルの出資を得て米国に新たに設立したアルチザン・ファーマ社(Artisan Pharma, Inc.)にライセンスし、今後アルチザン・ファーマ社がART-123の海外での開発を行うことになりましたのでお知らせいたします。
   
1. 背景
 ART-123は新しい作用機序をもつ抗血液凝固剤で、当社が世界に先駆け開発している薬剤です。当社はART-123を国内では汎発性血管内血液凝固症(disseminated intravascular coagulation、以下「DIC」)の適応症で開発し、今般、製造販売承認申請を行いました。また、海外(米国・カナダ)においては、ART-123を深部静脈血栓症(deep vein thrombosis、以下「DVT」)の適応症で臨床試験を行い、フェーズIIaにおいて良好な結果を得ています。  今後ART-123の海外開発をさらに進めるために、当社はベンチャー・キャピタルと共にアルチザン・ファーマ社を設立し同社にART-123を導出いたしました。
 
2. アルチザン・ファーマ社の会社概要
 当社およびNGN Capital LLCによって設立された非上場バイオ・ベンチャー企業
  (1) 社名 Artisan Pharma, Inc アルチザン・ファーマ社
  (2) 事業内容 新薬の臨床試験、薬剤の販売
  (3) 所在地 米国マサチューセッツ州
  (4) 出資金 3,900万ドル(約45億円)
  (5) 幹事会社、株主 幹事会社:NGN Capital LLC(米国ニューヨーク州)
主な株主:旭化成ファーマ、JAFCO、New Leaf Venture Partners、Bio One Capital 、NovaQuest (Quintiles)
  (6) 社長 Jeffrey D. Wager
   
3. アルチザン・ファーマ社へのART-123のライセンスについて
 当社とアルチザン・ファーマ社とはART-123に関するライセンス契約を締結しました。この契約により、アルチザン・ファーマ社に日本・韓国・台湾・中国を除く全世界でART-123の開発・販売等の権利が付与されました。今後アルチザン・ファーマ社は、ART-123を「敗血症に伴うDIC」の適応症で欧米を中心に開発していきますが、その他すべての適応症についても権利が付与されています。
 
  以上
 
≪ご参考≫ 語句のご説明
  ベンチャー・キャピタル:成長の見込みのあるベンチャー・ビジネスに投資を行う企業やそのための資金(野村総合研究所「経営用語の基礎知識(第2版)」)
   
  ART-123:トロンボモジュリン(ヒト)を遺伝子組換え技術を用いて生産した蛋白質。天然型のトロンボモジュリンは血管内皮細胞上に存在する膜蛋白質で難溶性である。医薬品への応用では可溶性であることが好ましいことから、トロンボモジュリンの細胞外部分のみを可溶化型分子として遺伝子工学的に生産したものがART-123。トロンボモジュリンは、血液凝固の原因物質であるトロンビンの生成を抑えることにより抗凝固作用を発揮する。また、トロンボモジュリンは抗炎症作用ももつことが近年報告されている。
   
  汎発性血管内血液凝固症:播種性に全身の微小血管内に血栓形成が起こり、虚血などによる血管内皮細胞障害により臓器障害を呈するとともに、止血系因子の消費性低下および二次線溶亢進による著明な出血傾向を生ずる症候群で、悪性腫瘍、感染症や産婦人科疾患などに高頻度に合併して発症する。(以上、日本血栓止血学会ホームページ「用語集」より抜粋)。
「播種性血管内血液凝固症」、「播種性血管内血液凝固症候群」と呼ばれることもある。
   
  深部静脈血栓症:静脈に血栓が生ずる疾患。原因としては、脱水、感染、長期臥床、手術などがある。この血栓が血流に乗って肺へ流れ、肺動脈が詰まると、肺塞栓症となる。(「ウィキペディア」から抜粋)
 


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