|
1. |
背景 |
中国や東南アジアでは工業化の進展の一方で水不足が深刻化しており、公共用水の価格上昇や水質確保のための追加処理コストも増加の傾向にあります。現地に工場を有する企業にとって、良質な工業用水の安定確保は重要な課題になっています。
旭化成グループでは中期経営計画「Growth Action – 2010」において膜・水処理事業を高成長追求事業の中核分野と位置付け事業の強化を図っています。当社の中空糸ろ過膜「マイクローザ」は高い透水性能や耐久性が評価され、世界で500ヵ所以上の水処理施設に採用されており、多様な水処理ニーズに対応しています。当社では「Growth Action – 2010」の目標達成に向けさらなる事業拡大を目指し水処理事業の新展開を検討してまいりました。 |
|
2. |
廃水リサイクルサービスの事業展開について |
今回本格的に事業展開する廃水リサイクルサービス事業は、お客様企業の工業廃水の廃水二次処理水を膜で高度処理し工業用水としてリサイクルする事業です。お客さまに良質な工業用水を低コストで安定的に使っていただくため、従来までの膜モジュールの販売にとどまらず当社が水処理設備を設計、建設し、運転管理、メンテナンスまで設備運営全般を行います。優れた膜性能、実績、運転ノウハウなどこれまで蓄積された高い技術力から事業展開が可能となりました。お客様にとっては、常に最新技術が利用でき、工業廃水を効率よくリサイクルできるメリットがあります。
廃水リサイクルは個別企業レベルでの対応とともに、水不足に直面する大規模な工業開発区で、リサイクル水を工業開発区が一括して買い上げ立地企業に供給するなどインフラ整備事業としての展開も期待されます。環境政策への対応、用水確保の観点から水処理事業の新しいモデルとして今後水不足が心配されるアジア地域で成長が見込まれる事業です。 |
|
3. |
廃水リサイクルサービス第一号案件の概要 |
環境対応に力を入れている中国江蘇省蘇州市では、新設、増設する工場においては工場廃水のリサイクル利用率を50%以上とする方針がうちだされており、今回の契約は、蘇州市に立地する企業のなかでこの基準を達成する第一号となります。
当社の廃水リサイクルサービスは、ユーザーのニーズに応じ様々な契約が可能ですが、今回の案件は当社が廃水リサイクルプラントを所有運営し、ユーザーの工業廃水を膜を用いて良質な工業用水にリサイクルし、リサイクルサービス料を受け取る事業形態(BOO: Build Own Operate)です。 |
|
(1) |
場 所: |
中国江蘇省蘇州市新区 |
(2) |
利用者: |
「索尼凱美高電子(蘇州)有限公司」
(ソニーケミカル(蘇州)有限公司) |
(3) |
供給者: |
「旭化成分離膜装置(杭州)有限公司」 (旭化成ケミカルズ株式会社の中国現地法人) |
(4) |
廃水リサイクル
サービス能力: |
約1,700t/日 |
|
(5) |
稼動時期: |
2009年1月末(予定) |
|
|
「マイクローザ」は登録商標です。 |
|
<ご参考> |
旭化成分離膜装置(杭州)有限公司の概要 |
(1) |
社 名: |
旭化成分離膜装置(杭州)有限公司 |
(2) |
設立年月: |
2005年9月 |
(3) |
立 地: |
中国 浙江省 杭州市 杭州経済技術開発区 |
(4) |
董事長: |
加藤 一雄 |
(5) |
資本金: |
4億円 |
(6) |
株 主: |
旭化成ケミカルズ株式会社 100% |
(7) |
事業内容: |
中空糸ろ過膜「マイクローザ」の製造、販売および水処理事業 |
|
|
以上 |
|