2008年8月21日

各 位
旭化成ホームズ株式会社



高耐久型断熱・気密構造を新開発し、長期耐用住宅の進化を実現
次世代ロングライフ住宅「ファインヘーベルハウス」シリーズ新発売

 

 旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:波多野 信吾)は、住宅の長期耐用性の視点から高耐久型の断熱・気密構造を開発し、「ファインヘーベルハウス」シリーズとして陸屋根タイプの「ファインキュービック」と勾配屋根タイプの「新大地–f」を平成20年9月1日より発売します。
 当社は、平成10年に「ロングライフ住宅の実現」を宣言し、供給する住宅の長期耐用化に向けて、さまざまな技術やサービスの開発に努めてきました。半世紀を超える建物の長期使用を想定した場合、住まい手の交代などによる間取りの大幅変更や日進月歩で進化する新しい環境設備への設備更新など、さまざまな局面で建物の更新が必要となります。戸建住宅で一般的な次世代省エネ仕様では外周壁などに断熱材が充填されているため、新築時の断熱・気密層を維持したままリフォームなどの更新を行うことは困難でした。今回開発した高耐久型断熱・気密構造では、耐久性に優れた断熱材を使用した断熱・気密層を床・壁・屋根のヘーベル版と一体化し、内装壁や天井との分離・独立性を確保することでこの課題を解決し、新築時の断熱・気密性能を長期にわたり維持することが可能となりました。これにより、可変性に優れ長期にわたり高い資産価値を維持し続ける次世代ロングライフ住宅として一層の進化を実現しました。
 本体価格は3.3平米あたり72万円(消費税込み)から、初年度販売目標は3,000棟を予定しています。
 
  次世代省エネ基準の対象となるのは戸建住宅および賃貸併用住宅の自宅部分です。
 
1.背景
   当社は、急速に成熟化に向かう日本社会の状況を鑑み、今後の住宅供給者のあるべき姿を熟考した結論として、平成10年に「ロングライフ住宅の実現」を宣言しました。以来10年間にわたり「半世紀を超えてお客様の満足が持続する住まいづくり」を実現するために、供給する住宅の長期耐用化はもとより、長期点検制度の導入や自社の供給した既存建物を適正価格で流通させるストックヘーベルハウス事業の展開など様々な施策を業界に先駆けて取り組んできました。その結果、供給する住宅の性能については制震構造の標準化や30年周期のメンテナンスプログラムの実現などにより高い水準に到達することができました。
 しかしながら、断熱・気密性能については、一般的な工法に類似した次世代省エネルギー基準対応の仕様がありましたが、内装・設備更新時の施工の煩雑さや選択できる仕様に若干の制約があることなどから「ロングライフ住宅の実現」を目指す当社としては課題が多いと認識していました。ただ単純に断熱性能や気密性能を向上させるだけではなく、長い年月を経ても性能が劣化しないことや、将来的な内装・設備のリフォーム・メンテナンスの容易さなど、長期耐用住宅に必要な条件を備えた次世代省エネ躯体の開発・研究が必要であると考え、この課題に取り組みを続けてきました。
 
2.商品の特徴
  (1)「高耐久型断熱・気密構法」による次世代省エネルギー基準標準対応の新躯体システム
     ロングライフ住宅「ヘーベルハウス」は、建物の基本構造である外壁・床・屋根を全てALCコンクリート「ヘーベル」により構成しています。耐火性、断熱性、遮音性、調湿性、軽量性、高強度、耐久性、寸法安定性という8つの優れた特徴を備えた理想的な建材「ヘーベル」に包まれた躯体構造が、建物の優れた性能を実現しています。
 今回開発された新躯体システムでは、建物の外皮となる外壁・1階床・屋根のALCコンクリート「ヘーベル」に断熱性能の経時変化が極めて少ないネオマフォーム(※1)などの高性能断熱材を一体として使用することで、躯体構造自体で断熱・気密性能を確保することができました。これにより、内装壁との分離性が確保され、将来の内装・設備のメンテナンスやリフォームに際して、断熱・気密層を傷めることなく施工が可能となります。当社では、この断熱構法を「高耐久型断熱・気密構法」と呼びます。
   
(※1) ネオマフォームとは、旭化成グループの事業会社である旭化成建材株式会社が製造・販売する高性能断熱材(フェノールフォーム保温板)です。厚みあたりの断熱性能が高い、経年劣化や吸湿などによる断熱性能の劣化が少ない、炎をあてても表面が炭化するだけで燃えにくく燃焼時の発生ガスが少ないなどの特徴があります。同じく経年劣化が少なく耐久性に優れたヘーベル版との組み合わせは、当社が目指す「ロングライフ住宅(長期耐用住宅)の実現」には極めて適したものです。
   
1)外壁面の断熱
   外壁面については、外壁ヘーベル版の設置位置を従来の躯体システムよりも20.5ミリメートル外側に出し、鉄骨柱と外壁ヘーベル版との間にも20ミリメートルのネオマフォームを設置、鉄骨梁の内側にはネオマフォーム40ミリメートルを設置して、鉄骨周辺が熱橋となり熱を通しやすくなることを防いでいます。一般部の外壁ヘーベル版内側には25ミリメートルのネオマフォームを設置しています。
   
2)屋根(天井)断熱
   屋根や屋上・ベランダについては、従来のような天井裏に断熱材を設置する形ではなく、鉄骨梁の上に敷き詰められたヘーベル版の外側(上)にネオマフォーム65ミリメートル(勾配屋根の場合はスタイロフォーム120ミリメートル)を設置します。ヘーベル版も含め断熱層をインフィル部分の外側に設置して外断熱化したことにより、特に夏期における最上階部の暑さが従来以上に低減されます。また、Lハットやトップハットなどの斜線部分も鉄骨梁の外側に断熱層を設置することで断熱性能を強化しました。
   
3)1階床の断熱
   1階床については、階高を従来よりも20ミリメートル高くし、ヘーベル版の上にスタイロフォーム20ミリメートルを設置して断熱性能の向上を図るとともに、床仕上げ材の補修・更新や床暖房の設置を容易にしました。 スタイロフォームは、従来からフラット屋根や屋上・ベランダの断熱・水勾配形成のためにヘーベル版の上に敷き詰めて使用してきた断熱材です。加工がしやすく、経年劣化や性能劣化が少なく、圧縮強度に優れ丈夫なので、人が乗って歩行する床面への使用に適しています。
 なお、1階床には従来と同様に調湿性、高強度、耐久性、寸法安定性に優れたヘーベル版を敷き詰めます。床下部分は湿気が多い箇所であるために一般的には腐朽や断熱性能劣化が心配されますが、当社の場合は1階床の経年劣化がほとんどありません。
   
  (2)シンプルで上質感のある外観を実現する外装ディテール、開口部
   
1)新パラペットデザインによるスカイライン(フラット屋根タイプ)
  フラット屋根、Lハット、トップハットの外周やけらば部分に従来使用していた外樋を廃止し、パラペット上部に設置した金物による納まりに統一しました。また、ベランダや屋上の手摺についても、透明腰壁パネルのシースルーベランダなど、金物が目立ちにくいタイプを採用しています。これらにより、外装金物などによる線状のデザイン要素が格段に少なくなり、外壁ヘーベル版の持つ質感や美しさをより一層際立たせ、ヘーベルの量塊による建物全体のシルエットで直接スカイラインを描き出しているような印象となります。
   
2)隠し框、ディープセット窓、新腰壁デザインパネル
  幅の狭い窓が多い辷り出し窓やFIXタイプのサッシの枠・框を改良して外観の見付幅を小さくし、室内からサッシ縦枠が見えないように隠し框としました。これにより、従来と同じ幅の窓でもガラス面が広がり、室内側から見た空間の広がり感や外観上の洗練された印象が増しました。これに加えて、一部の種類の窓では外壁の厚みの中にサッシを埋め込んだディープセット窓を設定し、同様に、屋上やベランダの腰壁手摺部分に設置する腰壁デザインパネルの形状を一新しました。これらの外壁ヘーベル版を穿つディテールデザインによって、ヘーベル版の厚みや彫りの深さを印象付ける外観デザインとしました。
   
3)竪樋の減少(防水勾配仕様の変更、屋内雨水配管システム)
  基本躯体のリニューアルに伴いフラット屋根や屋上、ベランダなどの防水勾配の仕様を変更したことにより、建物外周に設置される雨水用竪樋の数が従来の3分の1程度に減少しました。また、外観デザイン的に竪樋を設置したくない場合にも、外側から見えないように配管を屋内に通すことができるサイフォン効果を利用した屋内雨水配管システム(※2)を導入しました。これらにより、外観デザインが更にシンプルになり、都市の住宅地の風景にさりげなく溶け込む上質な外観を形づくりやすくなりました。
   
(※2) 継ぎ目の無い防音材付架橋ポリエチレン管を使用し、サイフォン効果により排水勾配に関わりなく、小口径の配管で効率的な雨水排水を実現するシステム。縦樋が無くなることによる意匠性の向上、縦樋を利用した不審者の侵入抑制、配管経路に制約が少ないなどのメリットがあります。(特許出願中)
   
   
  (3)敷地対応力が高く、制震構造を標準仕様とするハイパーフレーム構造
    新躯体システムにおける耐震性能などの考え方は従来システムと変わらないため、Lハットやトップハット、斜線カットシステム、キャンティシステムなど多彩な創空間システムを従来同様に揃えています。個別設計においてこれらをうまく活用し提案することにより、制限の厳しい都市の住宅地における限られた敷地を最大限に有効活用することが可能となります。
   
  (4)ARIOSにCO2シミュレーション機能を追加
     従来の住環境シミュレーションシステムARIOSは、建築計画(図面)段階において日照、通風、日射、採光シミュレーションという4つの機能を持っていました。今回のファインヘーベルハウス発売にあたりARIOSのバージョンアップを図り、CO2シミュレーション機能を追加しました。個々の敷地条件や設計したプランとともに各部屋の使い方などを入力し、設備機器(冷暖房、給湯機など)を選択すれば、その種類に応じてイニシャルコストとランニングコスト、日射取得量を加味したCO2排出量を計算することができます。選択した開口部や設備による違いを踏まえて、予想されるCO2排出量や光熱費を顧客(施主)自身がよく理解・納得した上で、最適なプランや設備機器の組み合わせを選ぶことができるようになります。次世代省エネ躯体とともにARIOSの新機能を導入することは、住まい手自身の賢い選択により生活時に排出されるCO2の低減を促すものと言えます。
   
3.商品概要
 
(1) 構  造 ハイパーフレーム(鉄骨軸組制震フレーム)構造
(2) 本体価格 3.3平米あたり72万円〜(消費税込み)
(3) 販売地域 関東、東海、関西、山陽、九州北部
(4) 販売目標 (年間)3,000棟
(5) 発 売 日 平成20年9月1日(月)
(6) 展 示 場 つくば展示場(茨城県つくば市)
春日部展示場(埼玉県春日部市)
東名横浜展示場(神奈川県相模原市)
岐阜県庁前展示場(岐阜県岐阜市)
春日井展示場(愛知県春日井市)
大府展示場(愛知県大府市)
千里展示場(大阪府吹田市)
※いずれも9月オープン予定
   
4.今後の商品展開について
     当社は平成10年に「ロングライフ住宅の実現」を事業戦略ビジョンに掲げ、住まい手の高い満足をもって長期にわたり住み続けてもらえる住まいづくりを推進してきました。そのために、1)途中で建替えられることなく長期にわたって高いレベルの安全性や快適性が維持される建物と仕組みをつくること、2)自然の恵みを生かすことで環境負荷を減らしながら、心と体の健康を配慮した心地よい生活を享受できる建物と暮らし方を提案すること、3)住生活総合研究所による調査研究結果などを生かして家族や住まいのあり方などの社会的な変化を見越した先進的な住ソフト提案をすること、といった視点から商品を展開してきました。
 このうち“1)”の視点については、平成19年度までに長期耐用外壁吹付塗装「ロングライフコート」の導入などによりメンテナンスプログラムの30年周期化を実現し、今またファインヘーベルハウスを発売したことにより、建物の長期耐用化・基本性能の向上という面では当社の考える一定のレベルに到達できたと言える状況となりました。住まいの基本性能に関わるこの分野においても継続して一層の進化を目指すとともに、引き続き、“2)”の視点である「環境」のテーマと、“3)”の視点である「家族」のテーマに注力して商品開発を行う予定です。その第一弾として、今回のファインヘーベルハウス発売に合わせて、「自然の恵みを生かす」をキーワードとした環境をテーマとする「ヘーベルハウスそらから-f」と家族をテーマとした「ヘーベルハウス二世帯-f」という2商品を発売します。
 
以上
 
【ヘーベルハウス ファインキュービック】プロトタイプ外観
   
     
【ヘーベルハウス 新大地–f】プロトタイプ外観
   
     

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