高難燃性と高耐熱性を兼ね備えた変性PPE発泡ビーズの開発について
〜発泡ビーズとしては世界初となる「UL94規格V-0」を達成〜

2011年4月15日
旭化成ケミカルズ株式会社

 旭化成ケミカルズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:坂本 正樹)は、この度、独自の樹脂開発及び発泡加工技術によって、世界で初めて「UL94規格V-0」を達成した変性PPE(ポリフェニレンエーテル)発泡ビーズ「サンフォース (SunForce)」を新たに開発しましたので、お知らせします。
 本製品は、発泡体が従来持つ軽量性、断熱性に加え、難燃性、耐熱性を飛躍的に向上させたこれまでの発泡体の枠を超えた新たな製品であり、電子機器や自動車分野等で新たな市場の創造が期待されます。

1. 背景

 発泡ビーズを成形することによって得られる発泡体は、樹脂に比べ軽量かつ断熱性を有する魅力的な材料として、断熱材や緩衝材用途として幅広く用いられており、近年では、自動車分野においてバンパー衝撃吸収材や自動車シートのコア材、フロアマット嵩上げ材等で実用化が進んでいます。一方、電子機器分野に関しては、樹脂に要求される「UL94規格V-0」に適合する発泡ビーズが存在していないため、難燃性や耐熱性の点から部材としての実用化が進んでいませんでした。
 そこで当社では、難燃性に優れるエンジニアリングプラスチックである変性PPE「ザイロン」をベースに、独自の発泡加工技術を駆使し、非ハロゲン化組成において世界初となる「UL94規格V-0」を満たす画期的な発泡ビーズの開発に成功しました。

2. 変性PPE発泡ビーズ「サンフォース (SunForce)」の特長

  • (1)高い難燃性
    変性PPE樹脂をベースに、改質を行い、さらに発泡ビーズを構成する気泡の大きさをコントロールした結果、薄い厚みの発泡体でもV-0を達成できます。例えば10倍発泡体では厚み5mm以上あればV-0の性能を発揮します。
  • (2)高い耐熱性
    荷重たわみ温度 (HDT)について、本製品は10倍発泡体で約90℃と優れた耐熱性を発現します。一般的に耐熱性が高いと言われるEPP(ポリプロピレン発泡ビーズ)でも10倍発泡体でHDTは約60℃なので、本製品は負荷を掛けた時の耐熱性について、より優れていると言えます。
  • (3)優れた成形性
    原料ビーズ径が小さいことから薄肉部分を持つ形状でも成形可能で、複雑な形状のものも大量かつ均一に成形できます。
  • (4)製品安全性
    通常発泡ビーズの発泡剤としては、ブタンやペンタン等のハイドロカーボンが使用されますが、本製品では、不燃の無機ガスを発泡剤に使用することから、取扱いが安全であり、かつ環境に優しい製品です。
  • (5)省資源
    10倍発泡体は樹脂に比べて10分の1の重量となることから、省資源かつ軽量化に貢献する環境対応の製品と言えます。

3. 今後の展開

(1) 用途

高い難燃性(UL94規格V-0)と耐熱性、さらに発泡体として断熱性、柔軟性、軽量性等が活かせる次のような分野向け新素材として期待されます。

・電子機器分野 電子機器の内部部材(排熱ダクトやファンホルダー等)、
金属シャーシ代替(パソコン基盤やHDDホルダーの取付用シャーシ代替)等
・自動車分野 電気自動車やハイブリッド自動車のバッテリー用断熱カバー、
インパネ基材、ドアパネル基材、デッキボード芯材等
・住宅設備分野 電源カバー、給湯器断熱材等

(2) 販売計画

本年10月より試験販売を開始し、2012年度より本格生産・販売開始を予定しており、2015年度に20億円の売上を目指します。

(3) 展示会出展

今回開発した変性PPE発泡ビーズは、本年5月18日(水)からパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2011」で展示します。

以上

本リリースのPDF版は こちら


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