緑内障治療薬の米国における前期第U相臨床試験開始について

2012年2月13日
旭化成ファーマ株式会社

 旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:浅野 敏雄)は、当社が新規緑内障治療薬として創製したAK138シリーズ化合物の一つであるATS907に関して、このたび、導出先である米国バイオベンチャーのアルテオス社(Altheos, Inc. 本社:米国カリフォルニア州南サンフランシスコ市、社長:Henry H. Hsu, MD)が、前期第U相臨床試験を米国で開始しましたので、お知らせします。
 当社とアルテオス社は、2010年3月に、AK138シリーズ化合物の日本、韓国を除く全世界における独占的開発・販売権を当社がアルテオス社に供与する契約を締結していました。
 今回の前期第U相臨床試験の第1ステージでは、緑内障ならびに高眼圧症の患者を対象として、28日間点眼投与により安全性と有効性に関する検討を行なうことを目的としています。さらに、第2ステージでは、ATS907と、現在の治療薬であるラタノプロスト(プロスタグランジン系製剤)との比較を行う予定です。

 ATS907は、当社の基礎研究において選択的なRhoキナーゼ阻害作用を有すること、さらに眼圧を持続的かつ強力に低下させることが確認されています。アルテオス社は、ベンチャーキャピタルの出資を得てこれまで当該化合物の非臨床試験を実施してきました。その結果をもって、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)においてアルテオス社の治験届けが受理され、本試験開始に至りました。
 当社では、今後もアルテオス社による緑内障治療薬 ATS907の開発、販売を支援し、世界各国の患者様の治療に貢献してまいります。

<アルテオス社の概要>

 アルテオス社は、眼科の病気の治療のために、有望な低分子薬の開発を目指しているバイオファーマシューティカルカンパニーです。

【ご参考】

1.Rho-キナーゼ阻害剤

 Rho-キナーゼは、タンパク質リン酸化酵素の一つであり、血管平滑筋の収縮、炎症細胞の遊走、内皮細胞の機能調整等に関与することが知られています。近年、Rho-キナーゼ阻害剤は、線維柱帯細胞に作用し眼房水の流出を改善することにより、眼圧を強力に下げることが明らかになってきました。さらに、視神経保護作用を有するとの基礎報告もあり、新しいタイプの緑内障薬として、非常に注目を集めています。

2.緑内障

 緑内障はしばしば高い眼圧によって特徴付けられる眼科領域の疾病です。緑内障の治療は患者の視野悪化を抑制することが最大の目的であり、眼圧を下げることが現時点では唯一かつ最も確実な治療法であるとされています。

以上


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