テラと旭化成は、細胞・再生医療に関する両社の優れた技術を融合発展させ、がん治療における、高品質な細胞を安定的、効率的に培養する細胞プロセッシング装置の実用化を目指して共同研究開発を進めてまいります。テラが研究開発を行う「樹状細胞ワクチン療法※」等の免疫細胞の培養プロセスに、旭化成が医療事業で培ってきた知見、細胞プロセッシング技術を応用することで、細胞品質の向上や安定化、細胞培養の短時間化やコスト削減を目指します。
　がん治療を目的とした細胞プロセッシング装置が実用化されれば、がんの細胞治療の国内ならびに世界における本格的な普及の促進が期待されます。

　再生医療・細胞治療において行われる患者やドナーの細胞培養は、そのプロセスの大部分が培養技術者の手作業によって行われています。したがって、培養した細胞の品質や作業効率は、培養技術者個々人の技術の熟練度に依存する部分が多く、高品質な細胞を、安定的かつ効率的に供給することが再生医療・細胞治療分野における課題の一つと考えられています。

　テラは、高品質な樹状細胞等を安定的に培養する技術・ノウハウを強みとしています。東京大学医科学研究所で研究開発された技術をもとに、がん免疫療法の一つである「樹状細胞ワクチン療法」を中心とするがん治療技術・ノウハウを、国立医療機関や大学病院を含め、全国で18の医療機関に提供しています。樹状細胞ワクチン療法はがん細胞を特異的に狙って攻撃することができ、正常細胞を傷つけないことから、副作用の心配が少ない治療法です。テラは、契約医療機関における同療法の症例実績において国内トップレベルを誇っており、がん免疫療法のパイオニアとして高成長を実現している企業です。

　一方、旭化成は、本年スタートした中期経営計画「For Tomorrow 2015」において、「健康で快適な生活」の実現を通じた「新しい社会価値の創出」に取り組む方針を掲げ、ヘルスケア事業領域の積極的拡大を目指した「これからの医療プロジェクト」による活動を開始しました。このプロジェクトが取り組む重要テーマとして、世界最先端を誇る「膜分離・吸着技術」による血液中の抗体や特異的細胞等の採取・濃縮・除去デバイス技術、高度管理医療機器の開発・製造技術、ウイルス除去膜プラノバ関連のバイオプロセス技術、生体適合性に優れた材料開発技術等、旭化成グループが培ってきた技術基盤の活用による「細胞・再生医療の実用化」に向けた製品システム開発を進めていきます。

　こうした両社独自のコア技術を融合し、がん治療を目的とした、品質面、コスト面で競争力のある細胞プロセッシング装置の共同研究開発を推進していくこととなりました。

　【※】樹状細胞ワクチン療法
本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの特徴を持つ物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法です。

【テラ株式会社】

【旭化成株式会社】