大規模団地「調布富士見町住宅」の建替え事業
分譲マンション「アトラス調布(総戸数331戸)」竣工
~初の「公道付け替え」で生まれた「道」が繋ぐ新しいコミュニティ~

2015年5月8日
旭化成不動産レジデンス株式会社

 旭化成不動産レジデンス株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:渡辺 衛男)は、東京都調布市にて大規模団地「調布富士見町住宅」の建替え事業を推進してきましたが、この度その再建マンション「アトラス調布」が竣工しますのでお知らせいたします。

 今回の事業は、2008年8月に当社が事業協力者として選定された後、地区計画・地区整備計画による都市計画法「一団地」の廃止手続きと合意形成を並行して進め、約7年を経て竣工の運びとなりました。1971年に分譲された地上5階建5棟176戸の団地「調布富士見町住宅」が、地下1階、地上6階建と8階建の2棟総戸数331戸(非分譲住戸104戸含む)の調布駅徒歩圏で最大級の分譲マンションとして生まれ変わり、当社がこれまで手掛けたマンション建替えでも最大規模となります。

 また、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下、マンション建替法)による建替えでは初めてと思われる「公道の付け替え」を実施しました。新しい公道は美しく舗装された「コミュニティ道路」として敷地の中央を貫いており、その両側に広がる並木や植込、ガーデンカフェ、キッズルームといった共用施設などが設けられ、敷地全体が一つの心地よいコミュニティ空間となりました。

<アトラス調布 新しく誕生したコミュニティ道路を2棟の住棟がはさむ(CG)>
<アトラス調布 新しく誕生したコミュニティ道路を2棟の住棟がはさむ(CG)>

Ⅰ.「アトラス調布」の特徴

  1. (1)快適性と美しい景観を生む雁行型配棟
     各住戸を前後にずらして配置する雁行型住棟設計の採用により、南西向きの敷地に、多くの真南向きの住戸や、3方向4方向に窓のある開放的なプランを実現しました。また、変化に富んだ外観フォルムが建物の圧迫感を減らし、地下駐車場や電線を埋設することにより、美しい街並みを創出しています。
  2. (2)「道」から発想した新しいコミュニティづくり
     マンション建替えでは初めてと思われる「公道の付け替え」を伴って新たに生まれた1本の道沿いには、北側に「杜の棟」、南側に「光の棟」が並びます。また、道沿いの広場「セントラルガーデン」に対して共用施設「ガーデンカフェ」を開くように配すことで、住民同士や地域を「道」でつなぐ敷地設計としました。また、公道は美しく舗装し、植栽帯を配すことで自然に通行車両の速度を抑制するなど、人と地域の暮らしを中心に考えた新しい発想の道となっています。
建物と道路関係
建物と道路関係
美しく舗装したコミュニティ道路(CG)
美しく舗装したコミュニティ道路(CG)
ガーデンカフェから望むコミュニティ道路(CG)
ガーデンカフェから望むコミュニティ道路(CG)
セントラルガーデン沿いの緑化
セントラルガーデン沿いの緑化
  1. (3)自然あふれる広大な敷地計画
      約12,400m2の広大な敷地の約24%に緑地を実現しています。ヤマボウシ・ソメイヨシノ・ノムラモミジなど多種多様な並木に彩られた道を挟んで両側に広がる「セントラルガーデン」は、共用施設「ガーデンカフェ」と一体となって新たなコミュニティ作りを促します。光の棟側の敷地にはホワイト・ブルー・イエローなどの「色」をテーマにして花と木を集めた5つの庭を、杜の棟側の敷地には四季の自然を美しくアレンジした美意識あふれる6つの庭を設けました。その他にも屋上庭園や石庭など、いたるところに自然の潤いが感じられる空間を用意しています。
  1. (4)住宅メーカーとしてのこだわりで実現した個性あふれる室内空間
     旭化成の戸建住宅「ヘーベルハウス」が子育て期家族のコミュニケーションを深める設計手法として提案している「+NEST(プラスネスト)空間」を採用するなど、住宅メーカーならではのこだわりを持って住戸設計をしています。「子どもと育つ家」、「吹抜けメゾネットの家」など、7つのテーマのもと、全68タイプの多彩な住空間を実現しました。
床上げ和室
床上げ和室
+NEST
+NEST

Ⅱ.団地「調布富士見町住宅」建替えの経緯と事業特徴

  1. (1)一団地規制の解除と、新たな地区整備計画の制定
      一団地の規制(該当地域の都市計画上の用途地域指定や容積・建蔽率などと異なり、一団地の住宅施設として独自の利用規制を設けるもの)のため、周辺地域は容積率200%でも、調布富士見町住宅は80%に規制されていました。本事業はこれを解除し、新たに地区計画・地区整備計画を制定することで計画されました。
  2. (2)住民の努力と行政の理解で実現した初の「公道の付け替え」
     今回の計画地は、住民の駐車場等に利用されていた細長い敷地が市道を挟んだ北側にあり、規制や形状から、有効に活用することができませんでした。しかし、周辺の既存道路との接続や公園へのアクセスを改善するなど、地域と一体となった街づくりに向けて調布市の協力を得ながら協議を重ねることで、市道の付替えが可能となり、これにより、今回の計画が、敷地全体を利用した良好な建替え計画となりました。マンション建替法によるマンション建替えで公道の付け替えを伴う事例はこれが初めてと思われますが、「周辺環境を含めた街づくり」と「建替え」の大きな2つのテーマについて、住民が主体となりワークショップや勉強会を繰り返し、周辺住民への説明会なども行い実現しました。
従前の建物と付替え前の市道
従前の建物と付替え前の市道
敷地中央へと付替えた市道
敷地中央へと付替えた市道

 道路(調布市道)の付替え工事では、ライフラインを切断する必要性などから、道路工事開始時点で住民は退去する必要がありました。また、道路の付け替えの完了検査後に土地の形状の確定し建築確認申請となり、結果として一般的なマンション建替え事業に比べて長期間の仮住まいが必要となることから、当社では高齢者のサポートなどに注力いたしました。

≪建替え事業の概要≫

  • 所在地
    東京都調布市富士見町3丁目21番地
  • 建替え事業手法
    マンション建替法による組合施行方式
  • 権利者数
    168名
  • 建替え経緯
  • 新旧建物概要
以上