イノベーション事例

旭化成のコア技術から生まれた、世界で広く使用されている製品をご紹介します。

電子コンパス

モバイル機器のナビゲーションサービスを支える、世界トップシェアの技術

スマートフォンには、電子コンパスによって、自分の向いている方位を知るだけでなく、地図の向きを正面方位に合わせて回転しながら目的地まで道案内する「歩行者ナビゲーション」の機能が搭載されています。
旭化成は、2003年夏に世界初の「デジタルインターフェイスを持つ3軸の電子コンパス」を量産して以来、市場で御客様の圧倒的な支持を受け、世界No.1の電子コンパスメーカーとして広く認知されるようになりました。

旭化成の電子コンパスには、3つの大きな特長があります。

  1. (1)シリコンホールセンサ技術をもとに、1つのICだけで地磁気を3次元的に検出できるため、1.6mm角で高さ0.5mmという非常に小さい製品になっています。
  2. (2)ホールセンサは、スピーカー等の強い磁石の近くでも飽和しないため、機器設計上部品配置の自由度が増し、使い易い製品として設計者の方にも喜ばれています。
  3. (3)温度変化や外部の妨害磁気によって生じる方位誤差を、ユーザーの自然な動作だけで自動的に補正する特許技術「DOEアルゴリズム」を開発し、ハードウエア+ソフトウエアの「トータルソリューション」として全世界に提供をしています。

エコタイヤ向け合成ゴムS-SBR

省燃費性能とブレーキ性能、相反する2性能を同時に実現

近年、急速に普及しているエコタイヤ(低燃費タイヤ)。エコタイヤとは、省燃費性能(=転がり抵抗)と、ブレーキ性能(=ウェットグリップ)を高い次元で両立したタイヤで、タイヤラベリング制度が定める基準を満たしているものを指します。タイヤが回転するときに生じる抵抗を「転がり抵抗」といい、これを小さくしてタイヤを転がりやすくすれば、燃費が向上しCO2の排出量を削減できます。一方で、タイヤの転がり抵抗を下げると、路面をとらえるグリップが低下し、ブレーキ性能は低下する傾向にあります。

この二律背反を解消するために、シリカという素材を配合したタイヤが登場しましたが、シリカは分散性が悪いため、分散性を良くする工夫が求められます。

旭化成は、この問題を解決するためS-SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)を開発。分子の末端に、シリカと反応し化学的に結合する特殊な分子を付与する「変性」という技術を用いて、シリカをよく分散させながらゴム分子を強固に結合させることで、ブレーキ性能等を損なわずに、省燃費性能を飛躍的に高めることを可能にしています。

エコは、この星の需要だ。

エコは、この星の需要だ。

環境への負荷を減らす研究が世界中で行なわれています。そこで生まれた新たな技術は、新たなビジネスや産業につながっています。
省燃費性能とブレーキ性能を両立させる、旭化成が開発したエコタイヤ向け合成ゴムS-SBRは、世界中のタイヤメーカーに供給されています。

骨粗しょう症治療剤

骨形成を促進することで、高い骨折抑制効果を発揮する骨粗しょう症治療剤

骨・関節・筋肉など運動器の障害のために要介護となる危険の高い状態のことを、ロコモティブシンドロームと言います。65歳以上の高齢人口が20%を超える超高齢社会・日本を筆頭に、中国や韓国などアジア各国でも、高齢者が増加しています。「健康長寿」はこうした社会におけるキーワードであり、要介護の大きな原因となる骨粗しょう症への対応が、これまで以上に重要視されています。

旭化成では40年以上前から骨領域に注目し、研究開発に取り組んできました。世界に先駆けて開発した合成カルシトニン誘導体製剤「エルシトニン」を1982年に販売開始し、骨粗しょう症による疼痛の改善に広く用いられています。

これに続くラインアップとして、骨粗しょう症治療剤「テリボン」(一般名:テリパラチド酢酸塩)が、20数年の研究開発を経て2011年9月に製造販売承認を取得しました。「テリボン」はヒト副甲状腺ホルモン製剤で、骨形成促進作用を持ち、高い骨折抑制効果を発揮する期待の新薬です。さらにこの領域では、年1回投与の骨粗しょう症治療剤も投入予定です。

老いを、恐れない。

老いを、恐れない。

骨を守るだけでなく、骨をつくる。
旭化成は今、高齢化社会を見すえたさまざまな新薬・治療法の開発を進めています。

血液浄化療法アフェレシス

「膜分離」・「吸着分離」の技術を利用して、難病治療に挑む

膜型血漿分離器
(血球と血漿に分離するフィルター)
アフェレシス テクノロジー スクエア

アフェレシス(Apheresis)はギリシャ語に由来する言葉で、英語では“taking away”、日本語では“分離”を意味する医学専門用語です。血液を体外に導き、ターゲットの病因物質を除去(分離、吸着)して清浄にした後に体に戻す治療法を、アフェレシス(血液浄化)療法と呼びます。関節リウマチ、潰瘍性大腸炎等の自己免疫疾患をはじめ、神経疾患、脂質異常や慢性C型ウイルス肝炎など、応用範囲の幅の広さが特徴です。特に、有効な治療薬がない難病治療分野や、副作用等の影響で医薬品での治療が困難な症例、あるいは予防医療分野で、大きな貢献が期待されています。

旭化成の高度な繊維技術が拓いてきた中空糸膜や不織布を利用し、さらに粒子状樹脂もラインアップに加えた旭化成メディカルの「膜分離」「吸着分離」の分離技術プラットフォームは、世界最高水準。膜型血漿分離器、血球細胞除去用浄化器や選択式血漿成分吸着器等を製造する、世界No.1のアフェレシス機器メーカーです。

2007年6月には、技術交流拠点「アフェレシス テクノロジー スクエア」を開設。国内外の医療従事者の方々への情報提供・トレー二ング機会の提供を通じて、現場のニーズを反映した技術改良や製品開発に取り組んでいます。

※参考文献:「アフェレシス療法ポケットマニュアル」(医歯薬出版)他

希望をつくろう。

希望をつくろう。

血液中から病気に関わる物質を取り除く。
旭化成は血液浄化技術「アフェレシス」で難病治療に新たな選択肢を提供します。

「サランラップ」

誕生以来進化を続ける、食品保存のスタンダード

「サランラップ」の素材であるポリ塩化ビニリデン(PVDC)が、ダウ・ケミカル社によって開発されたのは1933年のこと。それは、1907年に世界初の合成樹脂ベークライトが誕生して以来、合成樹脂の研究に注力してきたアメリカが得た大きな成果でした。当初は、太平洋戦争の戦線で銃弾や火薬を湿気から守るための包装フィルムや、兵士の靴の中敷きなどが主な用途でしたが、転機は終戦後、1940年代の後半に訪れます。

ダウ・ケミカルに勤めるラドウイックとアイアンズが近所の人たちとピクニックに出かけた際、奥さんがこのフィルムでレタスを包んで持っていったところ、大評判に。驚いた二人が翌日この出来事を上司に報告したところから商品化された食品包装ラップは、二人の奥さん・サラ(Sarah)とアン(Ann)にちなんで「サランラップ」と名付けられました。

No.1ブランドの名に相応しい優れたフィルム性能は、酸素ガス透過度・透湿度の低さ(新鮮さのキープカ)、引張弾性率の高さ(ハリ・コシ感)、密着性や耐熱性の高さなどに裏付けられています。また2014年には、ユーザビリティ視点で開発した新パッケージを採用。半世紀にわたる、品質と使いやすさの向上のための進化は、これからも続きます。

食に、敬意を。

食に、敬意を。

「サランラップ」は2010年、発売50周年を迎えました。
くるむ、包む。大切につくられたものは大切においしくいただきたい。日本の「もったいない」という文化も、これからは世界へ。

ホール素子

高精度・高性能で厳しい温度環境下にも耐え、省エネに貢献

物質中を流れる電流に、垂直方向に磁界を加えると、電流と磁界のそれぞれに対して直角の方向に電圧が発生します。1879年に発見されたこの現象は、発見者であるアメリカの物理学者エドウイン・ホール(Edwin Herbert Hall)博士にちなんで、「ホール効果(Hall effect)」と名付けられました。

ホール素子(Hall effect element)とは、このホール効果を応用した磁気センサーです。磁界を検出し、その大きさに比例した信号を出力する機能を持っており、主にモーターの回転を検知するセンサーとして使われています。

世界のホール素子のトップシェアを持つ旭化成エレクトロエクスでは、用途分野を広げるためにこれまで、信号処理ICを付加したホールICや、高精度で位置や角度を検出するホール素子を市場投入してきました。2006年末に量産稼動を開始した富士の工場では、主に、ガリウム砒素(GaAs)の基板を用いた高性能ホール素子を生産しています。従来のものに比べ、温度特性、検出精度などが飛躍的に向上しており、今後需要の増加が見込まれるデジタル家電や、厳しい温度環境下で使用される自動車用エレクトロニクス分野など、多様なお客様のニーズに応えていくことが可能になりました。

70億人で省エネせよ。

70億人で省エネせよ。

あらゆるモーターを制御し、エネルギーロスをなくすのがホール素子という磁気センサーです。
旭化成は、家電・携帯電話などに世界中で使われるホール素子の約70%、年間12億個以上を生産しています。

フェノールフォーム断熱材

住まいの省エネ化を進め、熱の排出を抑えるフェノールフォーム断熱材

旭化成が2000年に発売した「ネオマフォーム」は、世界最高クラスの断熱性能を持つ、フェノールフォーム断熱材です。フェノールフォームとは熱的・化学的に安定した性質を有する発泡樹脂です。「ネオマフォーム」は、100ミクロン未満の、非常に微細な気泡構造によって、0.020W/(m・K)という画期的に低い熱伝導率を実現しました。ちなみに熱伝導率(λ)とは、厚さ1mの材料をはさんで両側に1℃の温度差があるとき、1秒間に通過する熱量。この値が小さければ小さいほど、断熱性能は高くなるわけです。

「ネオマフォーム」の特徴は、それだけではありません。断熱性能の経年劣化の少ない長期性能維持。炎をあてても炭化するだけで燃え広がりにくい安全性。そして、地球温暖化係数の極めて低い、ノンフロン発泡であること。現在高性能・高品質な断熱材としての評価を確立しているゆえんです。2010年には、この技術をベースとした床用断熱材「ジュピー」を発売。建築物の省エネルギー化を、さらに推進していきます。

暑さが人災になっている。

暑さが人災になっている。

アジアに広がるヒートアイランド。
旭化成は、世界最高クラスの断熱性能(熱伝導率0.020W/m・K)を持つネオマフォームで、住まいの省エネルギー 化を進め、熱の排出を抑えてゆきます。

プロパン法アクリロニトリル

天然ガスからアクリロニトリルを一気生産する、最先端の触媒技術

アクリロニトリル(AN)とは、アクリル繊維、ABS樹脂などの主原料となる石化原料。セーターやカーペットから車輌パーツ、家電製品やOA機器・ゲーム機器の外装まで、幅広く利用されています。

従来法では、原油から分離されたナフサ(粗製ガソリン)より得られるプロピレンを主原料としていましたが、私たちは世界で初めて、天然ガスより分離されたプロパンから一気にANをつくる「プロパン法」という製法を開発しました。私たちが独自に開発した触媒をコア技術として成功させた、画期的な脱石油型の製法です。韓国の子会社である東西石油化学での実証運転を経て、タイの国営石油会社との合弁による工場が稼働しています。

現在、私たちのAN生産能力は世界第2位、アジアで1位。触媒技術としては、既に世界トップの位置にあります。需要拡大が見込まれるアジアを中心としたグローバル市場で、さらなる拡大を図っていきます。

石油に頼るな。

石油に頼るな。

有限であることを知りながら、人は今日も石油を採っています。
旭化成は、貴重な石油を使わない方法として、天然ガスからプロパンを分離し、樹脂の原料となるアクリロニトリルへ変えてしまう、「プロパン法によるアクリロニトリルの製造」を実現しました。

再生セルロース繊維

綿花の種のうぶ毛からつくられる、心地よくつややかな天然繊維

「ベンベルグ」は、1年草の綿花の中にある種子(綿実)の廻りのうぶ毛「コットンリンター」を原料とする、再生セルロース繊維“キュプラ"のブランド。土の中のバクテリアによって水と二酸化炭素に分解され土に還る、環境に優しい繊維で、旭化成だけが世界で唯一製造しています。美しい光沢、高い吸放湿性、静電気発生量の少なさによって、美しいシルエットを保ちながら着心地のよさを実現しています。

人と地球にやさしい「ベンベルグ」の可能性は、裏地をはじめアウターやインナー、インテリアや寝装などさまざまなカテゴリーに広がっています。

伝統を、ただの過去にしない。

伝統を、ただの過去にしない。

独特の意匠に満ちた布「サリー」は、インドの民族アイデンティティの象徴です。しかし、現在では、ファッションの多様化から、着る機会が限られてきました。
旭化成の糸「ベンベルグ」で織られた、しなやかで、鮮やかな「サリー」をご覧ください。

中空糸ろ過膜

世界中の水処理施設で採用される、水処理・分離生成技術

「マイクローザ」は、旭化成が膜ろ過のために開発した中空糸膜モジュール。独自の技術によって、特殊な有機高分子を中空糸状の膜にしたものです。膜の連続した組織の間にある孔を利用して液体の分離操作(膜ろ過)を行うもので、孔の孔径や形状の均等性が特徴です。

エレクトロニクス、上下水道、電力、自動車、医薬、食品、化学工業、環境関連など幅広い分野で、最先端の水処理・分離生成技術として活用されています。

現在、アメリカ、シンガポール、中国など世界の浄水場や排水プラントで活躍しています。

水の星、ふたたび。

水の星、ふたたび。

世界中から水不足のニュースが聞こえてきます。旭化成は、限りある水の有効利用するために、独自の中空糸技術で、低コストかつ高いろ過安定性を実現する、精密ろ過膜「マイクローザ」を開発。
アメリカ、シンガポール、中国など世界800ヵ所以上の浄水所や排水プラントで稼動しています。