平成26年全日本柔道選手権大会

一覧へ戻る

西潟 強豪を撃破し、堂々の3位入賞

4月29日(火・祝)に東京都・日本武道館におきまして、平成26年全日本柔道選手権大会が行われ、当部より増渕、辻、西潟、吉田、羽賀、大野の6名が出場しました。

出場した6名は素晴らしい柔道で会場を沸かせてくれ、その中でも西潟は初戦より抑え込みで強豪選手を次々と破って順調に勝ち上がり、4回戦では2013年世界選手権代表の七戸選手(九州電力)も抑え込みによる一本勝ちで勝利し準決勝戦へ駒を進めました。

準決勝戦ではロンドン五輪100kg超級代表の上川選手(京葉ガス)と対戦し、重量級同士の迫力ある戦いを見せてくれました。

結果は惜しくも負けて3位となりましたが、正々堂々とした姿勢に応援者だけでなく、会場全体からも温かい拍手が贈られました。

詳しい内容と最終結果は以下の通りです。

1回戦

西潟 一本
(横四方固)
黒岩
(筑波大学)
羽賀 優勢
(指導3)
佐藤
(日本大学)
吉田 優勢
(技 有)
木下
(兵庫県警)
増渕 一本
(払 腰)
増田
(新日鐵住金)

2回戦

優勢
(有 効)
吉永
(新日鐵住金)
西潟 一本
(袈裟固)
中井
(パーク24)
羽賀 優勢
(技 有)
七戸
(九州電力)
吉田 一本
(体 落)
青山
(福岡県警)
大野 判定
(3-0)
穴井
(了徳寺学園)
増渕 一本
(合 技)
上田
(明治大学)

3回戦

西潟 一本
(横四方固)
影浦
(東海大学)

西潟(左組)の対戦相手は、今年大学に進学したばかりの影浦選手(左組)となった。西潟は初戦、2回戦と完璧な試合内容で勝ち上がり、この3回戦も同様に開始より釣手(左手)で奥襟を掴み、相手を引き寄せて自分の柔道を展開する。そして、開始17秒、左の方へ体を開きハンドルを回すように【浮落】を掛ければ110kgの相手も宙を舞い有効ポイント奪う。そして、そのまま寝技へ移行し【横四方固】に入り一本。

圧巻の試合運びに会場より大きな拍手が送られる。

吉田 優勢
(指導2)
永瀬
(筑波大学)

吉田(右組)の対戦相手は、2014年世界選手権81kg代表の永瀬選手(右組)となった。

お互いに相手の釣手(右手)を抑えるために引手(左手)の持ち合いとなる。いったん離れ、吉田は釣手(右手)を持ってから片手で背負投を仕掛ける。その後、吉田は右手で相手の右襟を持って引手(左手)を取りに行く方法に切り替える。しかし、試合開始1分20秒のところで吉田に対し、逆襟を長く持ったとして【指導1】が宣告。吉田は取り返そうと引手(左手)で襟を持って前に圧力を掛け【足払】や【内股】などでポイントを取ろうと攻撃する。相手も組み際の【払腰】や【袖釣込腰】などで応戦してくる。お互い譲らず試合は進んでいく。そして、残り時間1分少々となったところでまたしても吉田に対し逆襟に対する2つ目の【指導】が宣告された。吉田は【背負投】や【体落】、【大内刈】で逆転を狙うもポイントには至らず試合終了となる。

大野 優勢
(指導3)
王子谷
(東海大学)

大野(右組)の対戦相手は、100kg超級若手のホープといわれる王子谷選手(右組)との対戦となった。

この両者の体重差は60kg以上。この体格差であれば大きい選手の周りを小柄な選手が動き回りながら攻めては離れるという展開が予想されるが、大野の場合は違う。王子谷選手同様に引手(左手)を持ち、釣手(右手)は相手の鎖骨より少し上を持って胸を張った状態で組み合う。そして、【背負投】や得意の【内股】を仕掛けていく。体格で勝る相手はなかなか技を出せないが前に圧力を掛け場外へ押し込む。

この体格差で押し返すことができず開始1分37秒に場外に出たとして【指導1】を受ける。その後、相手とがっぷり奥襟を組み合い体格で勝る相手が思い切り【大外刈】を掛け万事休すと思われたがぎりぎりのところで堪え【待て】となる。この攻防に会場全体がどよめいたあと拍手へと変わった。少し防御にまわった大野に2つ目の【指導】が宣告される。この体格差では組み合っての柔道はリスクが大きく避けるのだが、大野は恐れず引手(左手)と釣手(右手)を持ち、【小内刈】や【大外刈】、【内股】で果敢に投げようとする。

しかし、残り時間1分のところで3つ目の【指導】を受け、力及ばずそのまま試合終了。試合に勝利することはできなかったが、最後まで正面から重量級選手と戦った大野には大きな感動をもらった。

増渕 一本
(谷 落)
原沢
(日本大学)

増渕(左組)と対戦するのは、昨年の今大会2位で重量級期待の原沢選手(右組)との対戦となった。

この両者は昨年も対戦しており、その時は指導の差で増渕が敗退しているだけに今年はリベンジして上位進出したいところ。試合開始より増渕は釣手(左手)を相手の釣手(右手)の下から持ち、自分より一回り大きな相手との距離を保ちながら【大内刈】や【内股】で攻めていく。相手は距離を詰めるために両襟を持って寄せようとするも増渕は冷静に釣手(左手)でしっかりと間合いを取る。そして開始1分13秒、強引に内股に入ってきたところを透かして相手はたまらず回転する。一本かと思われたが審判の宣告は【有効】。その後も釣手(左手)で間合いを取り増渕有利の試合展開で時間が過ぎる。しかし、開始2分過ぎに増渕が釣手(左手)を相手の釣手(右手)の上に持ち変えた瞬間に相手は距離を詰め、増渕の後ろに右足を深く突っ込み【谷落】に入られてしまい逃げることができずに背中から落ち一本。大いに会場を沸かせたが昨年のリベンジを果たすことはできなかった。

4回戦

西潟 一本
(袈裟固)
七戸
(九州電力)

西潟(左組)の対戦相手は、2013年世界選手権100kg超級代表の七戸選手(右組)との対戦となった。

この両者は九州地区の予選でも対戦しており、その時は僅差判定により西潟が勝利している。リベンジに燃える相手に対し、西潟も試合開始より積極的に釣手(左手)を長身の相手の奥襟へ伸ばし、引手(右手)で襟を持ち距離を詰めて【払腰】を掛けていく。西潟が素早く釣手(左手)と引手(右手)持ち組手有利な状態になり攻めに転じようとしたところ場外際で相手が掛けた【大内刈】を受けてしまい【有効】を奪われる。その後、お互い組手争いが続き1分20秒で両者に【指導】が与えられた。西潟はなかなか十分には組めないが【支釣込足】や【足払】などを掛けていく。徐々に西潟が組手を制しはじめ、釣手(左手)で奥襟をしっかり持ち、引手(右手)で襟を上下に揺さぶりながら左右に相手を振りながら相手のバランスを崩す。相手はたまらず腰を引いて受けにまわる。腰を引いて受けている相手に対し、西潟は遠い間合いから思い切りよく【大外刈】に入ったがバランスを崩し返されて2つ目の【有効】を奪われる。しかし、慌てることなくじわじわと相手を追い込んでチャンスをうかがう。受ける場面が多くなった相手に対し残り時間2分30秒となったところで2つ目の【指導】が宣告。ペースを掴んだ西潟は積極的に組みにいこうとするも相手は組むことを嫌がる。嫌がる相手に対して西潟はどんどん前に出てプレッシャーを掛けながら手を伸ばして組みにいく。そして、西潟十分の組手になり場外際で【払腰】を掛ければ相手はこらえきれず左体側から落ち【有効】を奪い、そのまま【袈裟固】に入る。必死で逃げようとするが西潟は落ち着いて対応し、20秒経過で【一本】の宣告。終始試合のペースを握り、最後は得意の形で一本勝ちを奪い準決勝戦へ駒を進めた。

準決勝戦

西潟 一本
(足払)
上川
(京葉ガス)

4回目の出場で初の準決勝戦に進んだ西潟(左組)の相手は、ロンドン五輪100kg超級代表の上川選手(右組)が順当に勝ち上がってきた。

この日の両者はここまで全て一本勝ちで勝ち上がってきており、素晴らしい試合が展開されることが予想される。

両者の名前が場内にアナウンスされ日本武道館の中央にある試合場に上がる。緊迫した空気の中、試合開始。西潟は様子をうかがうことなく相手の方へ詰め寄り、釣手(左手)を伸ばしていく。西潟は釣手(左手)を相手の釣手(右手)の上から持ち、距離を詰めようとするも相手は逆に釣手(右手)を伸ばして距離を取る。開始から1分が経過しても目立った動きはない。動きはないが組み合っている両者からはひしひしと緊迫感が伝わってくる。そしてまた1分が経過し、なかなか状況が変わらないなか先に仕掛けたのは西潟。釣手(左手)で奥襟を持ち、引手(右手)で襟を持って相手を引き寄せて【大外刈】に入れば相手も仰け反るが160kg近くある相手は簡単には倒れず会場はどよめく。残り時間3分となり、動きの少ない両者に対し【指導】が宣告される。その後は西潟が【大外刈】や【払腰】を掛け、相手は【内股】とお互いに思い切りの良い技の応酬に会場も盛り上がる。残り時間があっという間に1分を切り、徐々に西潟が試合のペースを握りだし、先に技を仕掛けていく。残り20秒、このままの流れでいけば勝つのではと思った時に相手が【内股】で大きく右足を上げて西潟は左足を上げて右足でけんけんをして何とかしのいだかに思われたが猛然と西潟の方へ詰め寄り強烈な【足払】を掛ければ宙に浮き背中から落ちて【一本】となる。

西潟はここで涙をのんだが、初戦より積極的な試合を展開し会場を大いに沸かせたことに会場からは大きな拍手が贈られた。

最終結果

優勝 王子谷 剛志(東京・東海大学)
2位 上川 大樹(東京・京葉ガス)
3位 西潟 健太(九州・旭化成)
3位 永瀬 貴規(関東・筑波大学)
5位 吉永 慎也(近畿・新日鐵住金)
5位 七戸 龍(九州・九州電力)
5位 高橋 和彦(東京・新日鐵住金)
5位 原沢 久喜(推薦・日本大学)

2014年世界選手権代表決定

60kg級 高藤 直寿(東海大学)
66kg級 海老沼 匡(パーク24)
高市 賢悟(東海大学)
73kg級 大野 将平(旭化成)
中矢 力(ALSOK)
81kg級 永瀬 貴規(筑波大学)
90kg級 ベイカー茉秋(東海大学)
100kg級 派遣なし
100kg超級 上川 大樹(京葉ガス)
七戸 龍(九州電力)

一覧へ戻る



ページ上部へ