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インタビュー

今井機業場 今井社長。ものづくり企業の誇りを胸に、「どこにもつくれない素材」の開発に挑む。

富山県で経編ニット生地の開発・製造を行う今井機業場の今井社長に、商品開発にかける思いや差別化への挑戦についてお伺いしました。

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ニットと織物のいいところを掛け合わせられる素材 今井機業場では「経編(たてあみ)」という種類のニット生地の生産を行っています。経編は、「トリコット」とも呼ばれます。髪の毛よりも細い繊維を使った生地で、糸の組み合わせによって様々な機能を持たせることができ、伸縮性があり、着心地が軽く柔らかいのが特長です。スポーツウエアからインナーウエア、ユニフォーム関係などのファッション衣料分野はもちろん、最近では車両資材や衛生資材関係など、幅広い用途で使われています。
中でも現在特に力を入れているのは、特殊な「緯糸(よこいと)挿入機」という機械を使ったものづくりです。ニットの生地に織物のように緯糸を打ち込むことで、ニットのいいところと織物のいいところを掛け合わせることができます。この緯糸挿入の技術があれば、これまで経編の素材としては扱いが難しかった綿や麻、シルクも、簡単に使うことができるのです。使える素材の選択肢が広がればその掛け算も広がるので、通常のトリコットとの差別化を図ることができます。
緯糸挿入機は、操作に高度な技術を要するため全国でもプレイヤーが少なく、国内設置台数の約6割を当社が保有し、トップのシェアを誇ります。これからのものづくりのカギになるのは「差別化」だと私は思います。この緯糸挿入技術を自分たちの強みにしようと、3年前、「トリコットネクスト」と名づけて商標を取得し、特許も取りました。

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先代から続く、ベンベルグへの特別な思い 繊維業界にとって厳しいこの時代を生き抜くためには、新たな技術や商品の開発は欠かせません。特に他素材とは異なる特徴を持つベンベルグは、緯糸挿入技術と並んで私たちのものづくりの大きな柱の一つになっています。
ベンベルグと今井機業場との関係は長く、始まりは私の祖父である先代社長の時代まで遡ります。 祖父はベンベルグという素材自体に大きな愛着とこだわりを持っていました。主素材としては合成繊維を一切使わずにベンベルグだけに絞り、ロイカと組み合わせて使うことにこだわった肌触りのよい生地を追求し、苦労の末にその開発に成功。サンプルを作って関係各所に必死にPRして回ったそうです。残念ながら商品化には至りませんでしたが、熱い想いを感じるエピソードです。
その後、昭和40年代には、ベンベルグ100%のトリコットがレディースインナーの素材として主流になり、当時は工場の半分以上の機械で対応しなければ生産が追いつかないほどの大ヒットに。昭和50年代には、ベースにベンベルグを用いた合成皮革が爆発的に売れ、平成初期にはベンベルグの吸水性の高さを活かし、当時流行していた「朝シャン」専用のタオルを開発。こちらも大変なヒット商品となりました。 いずれの商品も時代の流れとともに終息してしまいましたが、今井機業場の長い歴史を語る上で、ベンベルグは欠かせない存在です。当時をよく知る古くからの従業員に話を聞くたびに、ものづくりやベンベルグに対する強いこだわりを感じます。ですから、私がベンベルグの開発に携わる際も、何か特別な思いを持って挑んでいます。

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自ら開発と営業まわりをして会社を牽引 私たちはお客様からの「こんな生地が欲しい」というアイデアに基づいて商品開発・生産を行います。万人向けの商品というよりも、ある程度ターゲットや用途を絞った特殊な商品が多いですね。分野は様々ですが、ありがたいことに「新しいものを作ろう」という開発マインドを持つ方や、ものづくりへの想いが強い方、価格の安さよりもこだわったものを作りたいというお客様ばかりなので、継続して一緒に開発に取り組ませていただいています。
社長になったばかりの頃は、開発面・生産面におけるお客様への貢献度が、同業他社と比較して低いと感じることが多く、どうすれば会社をより良い方向に持っていけるのかと非常に悩みました。 そこで、まずは商品開発や営業に力を入れようと、他社では難しいような素材の開発に取り組んで実績を作り、その技術や商品を持って自ら営業に回りました。新たな取り組みを推進することに対して、当初は社内から反発もありました。しかし、課題に挑戦して試行錯誤しながらそれをクリアするということを続けるうちに、小さなヒット商品が出てくるようになりました。すると、社内は少しずつ協力的な空気に変わり、やがては自発的な意識が芽生えはじめました。社外の方々とは信頼関係も生まれました。 そういったことを積み重ねながら、お客様や加工場・糸メーカーさんとのネットワークを徐々に構築していき、それが現在のビジネスにつながっています。

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新しいものを生み出す企業であり続けるために 企業の業績やパフォーマンスを左右するのは、現場の人間が主体性を持って働ける環境だと私は思っています。ですから社長を継いで以降は、技術開発だけでなく、支えてくれる従業員の働く環境づくりにも力を注いできました。 まずは、生産状況や品質状況を従業員にできるだけ公開することで、現場自体で考えられる余地を作るようにしました。仕事に対するやりがいを感じてもらうために、生産した商品がどのような用途で使われているかを伝えることも大切にしています。また、できるだけトップダウンとボトムアップが共存するよう、定期的に全社員と面談をして生の声を聞くようにもしています。 さらに、若い世代の育成にも積極的に取り組んでいます。13年前、従業員の平均年齢が55歳だったのに対して今は35歳になり、随分と活気づきました。会社の主軸になってくれるような30代後半のメンバーも出てきて、とても頼もしく思っています。私自身もリーダーとしてみんなを引っ張っていけるように、もっともっと努力しなければいけません。
これからの時代、どこにでもあるものやどこにでもつくれるものは、より過酷な価格競争になると思います。厳しい繊維業界の中で勝ち残るために、より一層、我々の個性や強みを活かした商品を作って独自性を発揮したいですね。自分たちは「ものづくり企業なのだ」という誇りを持って、これからも「新しいものを生み出す」ということを大切に歩んでいきたいと思います。

今井 宏(いまい・ひろし)

株式会社今井機業場 代表取締役。 平成17年より現職。以降、経編部門へ事業を特化し、衛生資材分野の生産・設備投資の本格化を推進する。平成27年には、65周年を記念しブランディング・プロジェクトを発足。新ロゴ・マーク、スローガンなどを制定した。

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