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インタビュー

ひかり商事 林社長。品質の維持と産地の安定のため、コンスタントな発注を続ける。

福井県で婦人服用生地を企画・開発、販売するひかり商事の林社長に、産地への思い、仕事への姿勢、素材へのこだわりをお伺いしました。

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品質維持のため、あえて時代に逆行する ひかり商事では、「衣料」と「資材」2つの事業を展開しており、衣料事業部では主に婦人服に使われる生地の企画・開発を行い、問屋さんに向けて販売しています。注文をいただくたびに製品をつくるのではなく、前もって自分たちで半製品の状態の生地を仕込んで在庫として持っておき、お客様から注文があれば、ニーズに合わせて色をつけるなど洋服に縫製できる前段階までに速やかに加工してお出しする、というスタイルをとっています。
我々の生地は、企画を社内で行い、生産自体は地元の福井県や石川県など、北陸エリアの個人工場や企業に外注しています。1つの業者さんにまとめて頼むのではなく、整経、織り、染色と、工程ごとに別々の専門業者にお願いするため、それぞれを取りまとめるのも私たちの重要な仕事です。 気をつけているのは発注するものの種類を抑えること。というのも、1つの機械で生産するものを毎月変えると、どうしても品質にバラつきが出やすくなるのです。そのため、できるだけ長い期間、同じ材料で同じものを作れるように調整しています。また、同じ作業を安定して続けられるよう、ロットを確実に守るということにも気を配りますね。
物が売れる前に一定の在庫をつくっておくという方法は、効率化を求める今の時代には合わないと言われてしまうかもしれません。出荷と在庫のバランスを見極めるのは、非常に難しくもあります。しかし品質を維持するために、また需給バランスのギャップを埋め、生産工場の安定化を図る事は、時代に逆行してでも今後もこのやり方を続けていくことが大事だと思っています。

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「着心地」「肌触り」のいい素材を扱う 現在、取り扱いの主軸としているのは、ベンベルグ、アセテート、レーヨンなどのセルロースです。特に、セルロースフィラメント(長繊維)生地のプリント前素材の在庫量の多さは世界でも随一だと自負しています。いずれも植物系の天然由来の素材なので、繊細で取り扱いが難しく、正直手はかかります。色落ちしやすかったり、洗濯方法によっては縮んだりシワになりやすかったりと、正直デメリットもありますが、それを上回る「着心地の良さ」や「肌触りのよさ」が魅力だと思います。
私自身、毎年オーダーでスーツをつくる際には、必ずベンベルグを持ち込んで裏地に使ってもらっています。今日着ているこのスーツの裏地は、実はレディースアウターの表地用につくったものなんです。かわいいでしょう?こんな裏地なかなかありませんからね。着心地はもちろん最高です。蒸れないし滑りも抜群です。他の裏地はもう着られませんね。
着心地の良さはもちろん、ベンベルグは日本でしか作れない希少な素材です。そういったところも含めて、ベンベルグの良さがもっと消費者に届いてほしいですね。

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仕事を楽しむために「自分のつくりたいものを、好きなようにつくる」 ひかり商事では、「家族に誇れる仕事を」というスローガンを掲げ、常に楽しく仕事に取り組むことを目標にしています。 仕事が楽しい時やうまくいっている時は、家に帰っても自然と笑顔でいられますが、逆に仕事がうまくいかないと、家でも暗い顔になったり機嫌が悪くなったりしてしまうものです。私だってそうです。でもそれでは家全体の雰囲気まで悪くなってしまいますよね。 だから、社員には家族には「今日もおもろしいことあったんや!」と話せるような仕事をしてほしいと思っています。
私が仕事で楽しさややりがいを感じるのは、自分が企画したものが世の中に受け入れられたときです。ですから社員にも「自分の作りたいものを、好きに作るように」求めています、ものをつくるにしても、在庫を持つにしても、基本的に会社の許可は必要なく、個人の判断に任せています。人から言われて動くのではなく、自分がやりたいことをやって自分で売る、それがこの業界の醍醐味だと思っています。

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北陸のものづくりDNAを次の世代へ 少子高齢化が社会的な課題になっていますが、実際、産地の工場も高齢の方が増えていますし、新たに若い人が入ってこないという問題もあります。外注をお願いする工場がなくなってしまうと、私たちのビジネスは成り立ちません。いかに長く経営を続けてもらえるかが重要なポイントになります。そのために私たちにできることは「発注し続ける」しかないのです。現在は「ある程度の仕事はある」という状態で回ってはいますが、本音を言えばこの先もずっと仕事があるのかという不安感は常に付きまといます。しかし、斜陽産業とはいえ繊維は歴史の長い産業ですので、今後もきっと続いていくと思いますし、つないでいかなければという使命感も持っています。
私たちは産地に育ててもらったので、お返ししていかなければいけない時期に来ていると思っています。各工場さんと一緒になって、産地を盛り上げていきたいですね。例えば繊維系だと今治のタオル、福井県だと鯖江の眼鏡がブランド化されているように、我々の北陸の繊維でも何かを生み出すことができれば、産地ももっと活気づくのではないでしょうか。
産地を思う気持ちを共有してくれる人とのつながりが、どこまで広まるかがこれからの課題。北陸のものづくりのDNAを受け継いで、次の世代へと繋げていきたいですね。

林 昌弘(はやし・まさひろ)

ひかり商事株式会社 代表取締役社長。 1972年に福井県福井市にて創業。アパレルメーカーや繊維製品を扱う事業者向けに化繊・合繊を中心とした生地の企画・販売を行う。「すべてのお取引先に喜ばれる仕事を!」「社員の家族に誇れる仕事を!」をコーポレートメッセージとして掲げ、新デザイン・新機能性を追及した商品を提供している。

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