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インタビュー

宮田毛織工業株式会社 宮田社長。幅広い製品展開と開発力で尾州産地を牽引。

尾州産地、愛知県一宮市にある宮田毛織工業株式会社。同社の宮田社長に、ものづくりや産地への想いについて伺いました。

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世界にない生地へのチャレンジ宮田毛織工業株式会社は、昭和29年に父が興した会社です。社名の通りはじめは毛織からスタートし、昭和38年からは丸編みの機械を導入してジャージーを扱うようになりました。現在もこのジャージーをメインで手掛けており、自社工場には8~46ゲージのシングル編み機、8~40ゲージのダブル編み機を保有しています。さらにベロアカットやボーダー、目移しできるタイプなど、あわせて40種類以上の機種を揃え、アウター、インナー、スポーツ、産業資材と幅広く対応できる体制を整えています。
製品づくりは主に、展示会へ向けて企画室のメンバーが主導で開発するパターンと、営業担当者が商社やアパレル小売のお客様からお聞きした具体的なご要望をもとに一緒に作り上げるパターンがあります。展示会で発表したサンプルをベースにお客様のニーズに合わせてアレンジすることもよくあります。 ベンベルグアウター展には初回から継続して参加しており、旭化成さんとはかれこれ20年以上のおつきあいです。いつも話し合いを重ねて開発するのですが、ベンベルグの特性と私どもの生地づくりの特性を生かして世界にない物を提案しようと、毎回新しいことにチャレンジしています。これまでにトライしなかった素材はないというほど何でも試してきましたね。最近では環境にやさしいと言われるコットン「BCI(ベター・コットン・イニシアティブ)」とベンベルグの混紡を提案し、量産にもつながっています。

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国内外問わず幅広くビジネスを展開 ありがたいことに現在は国内外問わず幅広くお仕事をいただいており、それぞれで高い評価をいただいています。 2016年、当社の生地を使ったアイテムが、日本ファッション産業協議会「J∞QUALITY AWARD 」のドレスアップ賞、クリエイティブ賞の2部門を受賞しました。ドレスアップ賞はレディースのコートで、私どもが手掛けたのは、ウール100とポリエステルのパイル部分を起毛して圧縮した生地でした。クリエイティブ賞はメンズのジャケットで、綿と日本の和紙のラッセルを使用したものです。和紙は特に海外で需要があり、現在も定番で手掛ける素材です。
年に2度パリで開催されるファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」には、2007年から出展しており、これをきっかけに海外との仕事が増えました。今では商品の約40%が海外での消費となり、世界的に有名なブランドとも多数お取引いただいています。海外の方と仕事をさせていただく際には、必ず現地に足を運ぶようにしています。アメリカ、イタリア、ドイツ、中国...と様々な国と取引していますが、やはり国や地域によって対応も様々ですし、私どもも海外の方と接することにもっと慣れる必要があると考えています。 2012年にはロンドンで開催された世界的な大会の日本選手団の公式ジャケットに当社の生地が採用されました。ストレッチ感のあるジャージー素材で、飛行機から降りたばかりの選手のジャケットにほとんどシワがなかったんです。「着用感が楽だった」という選手の感想もあり、好評価を得ることができました。このときは社内もかなり盛り上がりましたね。

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環境と未来を考える企業へ サステナブルや環境について、最近では日本でも随分関心が寄せられるようになってきましたが、やはり海外のお客様の意識は相当に高く、取引の際に「エコな素材で」「エシカルなものを」といった条件を設けられたり、「ノンミュールジングウール」「BCIコットン」と具体的に指定されたりすることも多いですね。そのような話題が常に社内で飛び交っているため、社員も自ずと意識するようになっていきました。
現在は「環境と未来を考える企業へ」というキャッチフレーズを掲げ、会社全体で環境保全やサステナビリティの推進に取り組んでいます。まずはできることからはじめようと、これまで染色整理さんで廃棄処分していた紙管やビニールを全て専門業者に依頼して回収・再利用しています。身の丈に合ったエコをコツコツと積み重ね、いずれは「環境と未来を考える企業」と堂々と言い切れるようになれればと考えています。

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「繊維の町」を地域に根付かせたい繊維業は紡績、撚糸、糸止め、そして我々のような編み、織り、ラッセル、染色整理と、とても細かい工程を要します。尾州産地にはこの工程ごとに専門の企業が存在しており、1つのエリア内にこれだけ集中しているのは本場イタリアにも匹敵するのではないでしょうか。本音を言えばこんなに大勢の人が携わっているにも関わらず、あまりにも衣服のへの対価が低過ぎる、早く是正されてほしいと願っています。廃業されるところも多い中、これまで通りのことだけでなくプラスαの仕事をしていかなければ、今後ますます厳しくなるでしょう。残った企業同士でできるだけ協力し合い、開発や製品化などに積極的に取り組んでいます。 また、ここ一宮市は「繊維の町」と言われていますが、この町で実際どんな生地が作られているか、作られた生地がどのように使われているのかといったことは、残念ながら市民の方にあまり知られていません。そこで地域貢献の一環として、年に1度、自社工場を一般の方に公開し、当社が手掛けた生地を使ってワークショップを行っています。おかげさまで今年もたくさんの方に来ていただき、大変な盛り上がりを見せました。地元高校の文化祭にも伺って繊維について伝えるという活動も行っています。 さらに「一宮を着よう」という言葉を掲げ、地域の方に一宮の生地でつくった洋服を体験してもらえるような取り組みも行っています。地元企業のユニフォームを担当させていただいたり、ご婦人方には有名なブランドで採用されている生地を使ってオーダーメードのお洋服をお作りしたり、今私が着ているこのメンズジャケットも受注販売をしました。どれも生地の品質から考えると非常に価値のある料金でご提供しています。 私どもはこの地で生まれてこれまでやってこられたわけですから、産地への恩返しとしてできる限りのことはしたいですし、地元の方に「一宮=繊維の町」ということが根付くようにこれからもこのような活動は続けたいと思いますね。

宮田 智司(みやた・さとし)

宮田毛織工業株式会社 代表取締役社長
1955年 愛知県一宮市生まれ。1978年、立命館大学卒業。同年、宮田毛織工業株式会社に入社。2002年より現職。

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