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インタビュー

(株)エイガールズ 取締役企画室長 尾崎氏。肌触りや風合いにこだわり、価値あるラグジュアリーなテキスタイルを。

プルミエール・ヴィジョン主催「PVアワード」のグランプリ受賞をはじめ、世界から高い評価を受けるテキスタイルメーカーの(株)エイガールズ。尾崎孝夫取締役企画室長に、生地開発の極意を伺いました。

和歌山の老舗ファクトリーを背景にテキスタイルを開発 エイガールズはカットソーの生地開発を行うテキスタイルメーカーで、国内外のブランドに提供しており、協業させていただくこともあります。グループ会社であるヤマヨテクスタイルは、和歌山で80年以上続く老舗ファクトリーです。和歌山は日本の丸編みのカットソーの40%を手掛ける一大産地ですが、その中でも多種多様な250台以上の編み機を所有する大規模の工場を持ち、毎年新しい編み機も導入しているので、常に最新機器を駆使して開発できることが私たちの強みの1つですね。また近隣には、染屋さんや縫製屋さんなど製品づくりに必要な工場が揃っているため、様々な素材感を表現できますし、スピーディーな対応にも長けています。
私はもともとファッションが好きで、10代で地元のヤマヨテクスタイルに就職し、2年ほど工場で現場経験を積みました。怒られながら機械を回したり糸を巻き取ったり、そこでものづくりの難しさや機械の特性をみっちり勉強させてもらえたことは、私の原点であり宝です。その後エイガールズに転籍、営業を経て企画担当になり東京に出てきました。和歌山では生機しか扱っていなかったので、ファッションを近くに感じられる企画の仕事は面白く、すぐに夢中になりました。機械の針本数や、ゲージの調整など、現場にいたからこそわかることはたくさんあり、今も大いに役立っています。

プルミエール・ヴィジョンで認められたデザインと品質 企画チームは4名おり、年間500~600点ほどのテキスタイルを開発しています。2004年からは毎年プルミエール・ヴィジョンに出展しており、2016年は「最も影響力のある6人のテキスタイルデザイナー」の1人に選出されました。私の写真が大きなポスターになって会場に貼られ少し恥ずかしかったですが(笑)、大変名誉なことです。さらに2017年には当社が開発したテキスタイルがグランプリを受賞。カットソーでの受賞は恐らく初めてのこと。テキスタイルの世界はどうしてもファブリックやレースが注目されがちなので、ジャージー(丸編み)で選ばれたということが嬉しかったですね。
毎年、1日100社以上の方がブースに来られますが、皆さんインスピレーションを求め、エイガールズに新しいものを期待されていることを肌で感じます。またお客様の叶えたい素材感を実現できることもエイガールズの強み。カットソーは奥が深く、幅広い可能性を持つテキスタイルですが、先述の通り背景に和歌山の工場があるので、どんな要望でも大体のことは叶えることができます。
ここでの商談から世界の様々な有名メゾンとのビジネスにつながっていきました。2004年時点では出展している日本の企業はわずか10社ほどでしたが、早いうちから「これからは世界にも目を向けなければ」とチャレンジできたことは非常によかったです。

ラグジュアリーな、どこにもない新しい素材を 企画で大切にしていることは、トレンドを考慮しながらも「エイガールズらしい」「世の中にないもの」をつくることです。エイガールズらしさとは、カジュアルなイメージのカットソーにラグジュアリー感があること。私は、ワードローブの中からいつも着たいと手に取ってもらえることが、ラグジュアリーの条件だと思っていて、素材以上の付加価値を感じさせる心地よい肌触りや風合いを出すことにこだわっています。例えば、インドの超長綿スビン綿を使ったオリジナル素材「ロータス」は、エイガールズのベストセラーです。カシミヤのようなタッチのインド綿に別の綿をブレンドして特殊な紡績方法で仕上げているのですが、高級感ある風合いと柔らかな着心地が好評で、長年たくさんのお客様にリピートしていただいています。
「世の中にないもの」をつくるためには、特に現場に行って職人さんと直接話すことを大切にしています。「こんな糸があるけど高すぎて売れない」「エイガールズさんなら何か作ってもらえると思って…」。そんな何気ない会話から話が広がり、化学反応が起こって新しいものが生まれることが多いですね。
ヨーロッパでは今や“サステナブル”が絶対条件になっています。ベンベルグは原料も作り方もサステナブルですよね。これまで様々な素材に使ってきましたが、次のステップとしてヘンプなどのオーガニックな素材との交編に着目しています。ただ、一番重要なのは「捨てられない素材を作ること」だと私は思います。簡単にモノを捨てる時代ですが、妥協ではなく本当に手に入れたいと思われるもの、愛着があっていつまでも持っていたいもの、そんな素材を作ることが本当のサステナブルにつながると考えています。

業界の未来のために有望な若手をサポート 繊維業界は確かに厳しい状況ですが、「こんなに楽しい仕事なんだ」ということを上手くアピールして、若い人が入りにくいというマイナスイメージをどうにかして払拭したい。そんな思いから、パリで開かれるプルミエール・ヴィジョンには、毎年必ず現場の若手を連れて行くようにしています。社内に限らず、染屋さんや撚糸屋さんなどの中から数人に来てもらって、一緒にブースに立ったり商談に同席してもらうんです。関わった素材が世界でどんな風に見られるのか、どんな製品につながっていくかを実感することで、やり甲斐や誇りを感じてもらいたいのです。こういったことの積み重ねで、少しでも若い人が入りやすい繊維業界にできればと考えています。
また当社の会長が「次世代のギャルソンやヨウジヤマモトを育てなくては」という考えを持っており、現在6つのブランドの若手デザイナーと私とで、一緒にものづくりに取り組んでいます。パリやイタリアでは国をあげて若手の育成に取り組んでいますが、日本では業界で有望と言われる人たちでさえ支援する土壌がありません。まだ資金力のない彼らが自分たちで生地をオーダーすることはなかなか難しいので、その部分をサポートしていきたいと思っています。彼らは、お金はなくてもアイディアは豊富です。自分の作った素材がこんな形になるのかと、私自身も多くの発見があり刺激を受けています。今後も続けていきたいですね。

尾崎 孝夫(おざき・たかお)

株式会社エイガールズ 取締役 企画室長
1985年、ヤマヨテクスタイル入社。1990年、エイガールズに転籍、国内営業を経て企画担当に。2004年、プルミエール・ヴィジョンに初出展。2010年、エイガールズとして毎日ファッション大賞 鯨岡阿美子賞を受賞。2016年、プルミエール・ヴィジョンが選ぶ最もファッションに影響力のある6人のデザイナーに日本人として初選出。2017年、プルミエール・ヴィジョン アワードでグランプリを受賞。

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