旭化成 繊維グローバル
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HOME > 旭化成 繊維グローバル産学連携プロジェクト > 産地の学校<ベンベルグ>ラボ > 【第5講】 <ベンベルグ>先染め裏地の生産地・富士吉田

ベンベルグ® ラボ 第5講
~旭化成創業の地、宮崎県延岡市に出発~

<ベンベルグ>ラボ第5講は、当社創業の地である宮崎県延岡市に一泊二日で遠征し、延岡の工場で生産している<ベンベルグ>原糸と<レオナ>原糸の製造工程、及びその関連製品について学んでいただきます。
<ベンベルグ>原糸の生産工程は、なかなか見ることのできない特別な機会とあって、受講生も心待ちにしていたようです。クリスマスに浮き立つ世間をよそに、空港の出発ロビーでいまかいまかと出発アナウンスを待つ彼らの姿に、繊維に魅入られた彼らの気概を感じずにはいられませんでした。

~世界で唯一のキュプラ(ベンベルグ® )の生産工場~

ベンベルグ工場に到着後、ベンベルグ工場管理室室長の前原隆玄からベンベルグ工場の歴史とコットンリンターが糸になる生産工程について、詳しく説明がありました。
「ベンベルグ工場は今年で設立87年目を迎える歴史ある原糸の生産工場です。諸外国の<ベンベルグ>事業がなくなるなか、なぜ世界で旭化成だけが唯一継続して生産を続けていられるのか。それは、原液の製造工程で排出される廃棄物を再び資源としてリサイクルする"回収技術"に優れていたことが大きいと言われています。この回収サイクルは地域環境への負荷が少なく、製造コストを抑えることにも繋がりました。また、独自の"高速紡糸技術"を作り上げ、より効率的な生産が可能になったことも要因として挙げられます。」
自然環境に配慮しながら、常に高みを目指す技術者たちの探求心が実を結び、ベンベルグ工場の現在があります。この当社の取り組みは、2016年に*LCAレポートとしてまとめ、*ICEAによって検証されました。
続いて、主原料となるコットンリンターが「原液」になるまでの原液工程を始め、「原液」が紡口を通り紡糸漏斗に押し出され、繊維状の糸になるまでの紡糸工程の説明がありました。
*LCA(Life Cycle Assessment)
生産から廃棄まで、環境負担の少ない商品の開発や設計を検討し評価する手法。
*ICEA
イタリアを代表するオーガニック認証機関

ひととおりの説明が終わり、受講生は2班に分かれ工場内を視察していただきました。ベンベルグ工場では、原液工程、紡糸工程、検査工程などの<ベンベルグ>の生産作業に約500人のプロフェッショナルがたずさわっています。
原液が紡糸漏斗から流れ落ちて糸になり、徐々に精錬されていく様子はここでしか見ることのできない貴重な体験でした。受講生の目と心にしっかりと刻まれたことと思います。

視察後の質疑応答

視察後の質疑応答では、さまざまな質問が寄せられました。

Q. 海外の国々が<ベンベルグ>の製造をやめていきましたが、その理由はどのようなことが挙げられますか?
A. 一番の問題はコストです。当社では他社には真似できない高い廃棄物の回収技術によりこの問題をクリアしました。

Q. <ベンベルグ>はレーヨンより細い糸が作れるのが特長として挙げられます。類似する繊維と比べてほかに優れている点を教えてください。
A. 断面の形状が丸いことです。この断面特性を生かした"肌触り"が優位性として挙げられます。

愛宕山への聖地巡礼

延岡工場の視察後、延岡市内を見渡せる愛宕山に向かいました。1931年に旭化成創業者である野口遵が工場建設の候補地として愛宕山におとずれた際、山頂から市内を一望し、この地に工場の建設を決めました。当社が<ベンベルグ>事業を可能にしたのは、延岡の豊かな天然資源があればこそ。当社創立の地を堪能してもらったところで延岡視察の一日目は終了しました。

原料と原糸の一貫生産を行うレオナ繊維工場視察

延岡遠征二日目はレオナ繊維工場の視察をしました。工場内のミーティングルームでは、レオナ繊維工場管理室長の木下桂一が、樹脂・原料工場と繊維工場の2工場体制で運営するレオナ工場の全体の説明と、ナイロン66繊維<レオナ>の生産工程について、DVDを視聴しながら説明しました。
その後、作業服に着替え工場内を視察しました。<レオナ>と<ベンベルグ>の生産工程や性質(合成繊維と再生繊維)の違いがよくわかる視察となったのではないでしょうか。

見学後の質疑応答

レオナ繊維工場の視察後、受講生から質問が寄せられました。

Q.「レオナ」にはどのような意味があるのでしょうか?
A. フランス語が由来の商標名になります。

Q. 衣類に関してはナイロン66繊維の需要が減っていると聞きましたが、生産をスタートした当時はどうだったのでしょうか?
A. 当初は女性用ストッキングを生産していた時期もありました。しかし現在では産業資材としての用途をメインに生産しています。

向陽倶楽部・旭化成延岡展示センター視察〜まとめ

視察終了後は旭化成延岡展示センターに移動して野口遵の生涯を紹介したビデオの視聴や延岡・日向地区にある各工場を紹介したビデオの視聴や延岡の工場で生産されている原料を使用した数々の製品を視察しました。 今回の延岡遠征では当社の成り立ちや、<ベンベルグ>と<レオナ>の生産工程を通して、これまでとは違う角度で"ものづくり"に対する当社の理念を理解していただけたと思います。次講では、これまで<ベンベルグ>ラボで学んできたことをアウトプットする、最終プレゼンテーションがおこなわれます。彼らの自由な発想からどのような提案が生まれるのか、楽しみが大きく膨らむばかりです。

関係者の感想

延岡視察を終え、受講生や関係者の方々に感想をうかがいました。

<産地の学校主宰 宮浦さん>
<ベンベルグ>のなにが良いのか、高価な理由もよくわかり、とても勉強になる視察となりました。「糸」になるまでに掛かる多くの時間、様々な工程をより分かりやすく業界の内外に発信していけたらいいなと思いました。


<受講生の声>
実際に糸を作っている工場を視察することができてとてもよかったです。大きな化繊工場に行くのは初めてだったので感動しました。(八代さん・学生)

コットンリンターという本来捨てられてしまうものが、こんなにも色々な製品に化けることができるのかと驚きました。(鈴木一世さん・フリーランス)

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