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暮らしのコツ

yellow 楽園写真家が語る「楽園のあかり」写真家:三好和義

リゾートホテルでは心身ともにリラックスできて、ぐっすりと眠ることができる。
それは、リゾートホテルの「夜のあかり」と関係があるのかもしれません。
世界のリゾートを写真に収めてきた「楽園写真家」の三好和義さんに、
これまで撮影してきた「楽園」の印象深い「夜のあかり」を語っていただきます。
美しい写真と三好さんの言葉から、快適な暮らしの照明のヒントを見つけてください。
第3回目は新潟・妙高高原の「赤倉観光ホテル」について。

赤倉観光ホテル

暖炉の炎に照らされる心地よい空間と時間

暖炉に集う人々

「赤倉観光ホテル」の魅力はさまざまですが、暖炉(ガス式)が備えられた客室に泊まることができたなら、ファイヤープレイスの大振りのアームチェアに腰掛けて、暖炉の炎に照らされる室内で過ごす特別な体験ができるはずです。夕暮れのロビーラウンジでは、大きな窓からの斑尾山と野尻湖のダイナミックな眺望を楽しむだけでなく、ロビーの一角を照らす暖炉のまわりにも人々が集い始めます。灯火は私たちが初めて手にした、太陽以外の灯りと言えます。人類には、火のまわりに集い、炎を囲んで語り合ってきた長い歴史があります。暗闇を照らす灯火は明るさだけではなく、野獣を遠のけ、安心をもたらし、だんらんを生む食事の煮炊きにも使われていたはずです。その記憶は現代の私たちにも息づいているのでしょう。暗めの落ち着いた照明で包まれた室内に、炎のゆらめく灯りは、明るすぎる都市で暮らす人々には特別な時間をつくりだしてくれます。

▶ 四季折々の夜の「そらのま」で「室内と庭をつなぐ灯り」を感じてください。

温かみのある光のゆらめき

炎には二つの特長があります。一つは「ゆらぎ」。これは前回の「水面にゆらめく灯り」でも触れました。もう一つは夕暮れの太陽のような赤っぽい質の光です。普段は当たり前すぎて太陽の存在は忘れがちですが、美しい夕日にはつい足を止めて「光」を眺めてしまいます。灯火に近いオレンジ色の光には人の心を鎮静へと導く力があると言われています。キャンドルの灯りも、これら二つの特長を備えています。ただし室内での裸火の扱いには注意してください。「赤倉観光ホテル」の冬の夜は、施設全体が雪原が照らし返す「雪あかり」に包まれて幻想的な佇まいを見せてくれます。暖炉にゆらめく炎も雪あかりも、日常から少し離れた、懐かしく美しい「楽園のあかり」なのです。
「楽園のあかり」が、みなさんの暮らしの灯りを考え直すきっかけになりますように。

▶ 間接照明の手法について。

「楽園のあかり」を暮らしに

キャンドルの灯りは暖炉の炎に近い雰囲気を醸し出します。最近はLEDを使ったキャンドル風の照明があります。手軽ですし、見た目にはホンモノのキャンドルのようにも見えます。今年の春、私は東京で夜桜の撮影をしたのですが、この時、桜花を照らしていたのがLED照明でした。目には普通のライトアップ用の光と同じように見えます。でも実際に撮影してみるとこれまでの灯りとは光の質が違うのです。光が人の気分や心に影響を与えることは知られています。省エネで長寿命、実用では問題はないと思うのですが、半導体の光LEDと人間の感性について、さらなる研究が行われることを期待しています。

Kazuyoshi Miyoshi
Kazuyoshi Miyoshi

三好和義

みよし・かずよし ● 1958年徳島生まれ。85年初めての写真集「RAKUEN」で木村伊兵衛賞を受賞。以降「楽園」をテーマにタヒチ、モルディブ、ハワイをはじめ世界各地で撮影。その後も南国だけでなくサハラ、ヒマラヤ、チベットなどにも「楽園」を求めて撮影。その多くは写真集として発表。近年は伊勢神宮、屋久島、仏像など日本での撮影も多い。近著は「京都の御所と離宮」(朝日新聞出版)。日本の世界遺産を撮った作品は国際交流基金により世界中を巡回中。

ご紹介頂いた宿 : 赤倉観光ホテル

新潟県妙高市市田切216 tel.0255-87-2501 http://www.akr-hotel.com/

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