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尾崎先生のペットコラム

飼育されているペットの種類

日本女子大学大学院人間生活学研究科 尾崎裕子

 

回はペットの飼育率が増加傾向にあることに触れました。今回は、ペットとして飼育されている動物の種類の推移についてみてみようと思います。一口にペットといっても、馴染み深い犬や猫あるいは金魚に始まり、実にいろいろな動物が飼育されてきました。最近では輸入動物であるフェレット(イタチの一種)や熱帯魚の飼育が流行しており、ペットとなる動物も以前に比較してずいぶん多様化してきています。というわけで、今回のテーマは、人々がペットとして飼育動物を選択するとき、時代により、あるいはその人が置かれている生活環境によってどのように種類が違ってくるのかを、いくつかの調査データから読み取ろうということです。

育動物の種類は、いくつかの機関で調査されています。分類方法は若干の相違があるものの、犬、猫、うさぎ、ねずみ類(ハムスター・モルモット等)、鳥類、魚類、昆虫類、爬虫類、その他といった分類が一般的です。

ず、総理府が1974年から2000年までに7回実施した世論調査の集計結果を取り上げましょう。図1には飼育動物の推移を示しました。ペットを飼育している回答者のみを分母にしていますが、ペットを複数種類飼育している場合は、単純に合計しているので、総計が100%を超えています。約25年前にこの調査が始まって以来、犬の飼育割合が常にトップでした。さらに犬の割合はほぼ一貫して増加傾向にあり、2000年には約64%に達しています。鳥類は、1974年の調査当初では、2番目に位置していたのですが(割合は約33%)、1986年にそれまでは第3位だった猫に逆転されて3位に転落しました。鳥類の飼育割合はその後も減少し、2000年には約9%と一桁台となっています。魚類は1974年時こそ20%の飼育割合でしたが、その後減少し、近年の飼育率は10%半ばで大きな変化はみられません。全体的な傾向としては、飼育動物のなかで犬と猫の比率が増大し、反対に鳥類と魚類の比率が次第に減少していることがわかります。また、1974年調査から2000年調査まで、各種類の飼育率の合計は、1974年の約138%から1990年では124%へと減少し、穏やかな動きではありますが、複数種類の動物を飼育するという飼い主が減少していることがわかります。

に、直近の2000年調査を取り上げ、飼育者をさらに細かく分類して傾向を眺めて、いくつかの特徴を指摘しましょう。
表1で、6つに分類した都市規模別での飼育動物の違いをみると、都市規模が大きいほど複数種類のペットを飼育する比率が下がっているのがわかります。また、具体的に飼育動物の種類でみた場合には、犬について同様の傾向が観察されます。これは、大都市ほどおしなべて住空間が狭小になることで、多くの動物を飼育すること、あるいは他のペットに比較して体の大きな犬を飼育することが難しくなるという状況の反映であろうと思われます。しかし、東京都区部をとってみると、興味深いことに猫の飼育率が高くなっています。実は、欧米の都市部ではこの10年間に、猫の飼育率のほうが犬よりも高くなっており、(屋内で飼う)猫が最も人気のあるペットとなってきています。日本でも類似の傾向が伝播してきているのかもしれません。

表2で、20歳台から70歳台以上まで6階層にわけた年齢別での傾向をみると、30代では犬と猫の飼育率が他世代に比べて低くなっています。そのかわり、魚類やねずみ類(ハムスター等)を飼育する率は高くなっています。この世代は、例えば集合住宅に住んでいるなどといった住環境の制約があり、また育児に追われるために動物の世話の時間がとれないなどという生活時間の制約も考えられます。そのため、犬や猫の世話ほどには手間のかからない動物をペットとして選んでいるのだろう思います。

度は、博報堂生活総合研究所の『生活定点』調査を基礎にして、1990年代を中心とした最近の動きをみていきましょう。この調査は首都圏および阪神圏の都市部限定の調査なのですが、1988年から1998年までの10年間で、ペットの飼育率は約30%から約46%へと16ポイント上昇しています。そのなかでは、とくに1990年から1992年の2年間で12%も上昇しています。
図2に動物別の推移を示しました。ここでは回答者数を100にしてグラフにしていますので、飼育率の合計は100を超えていません。この調査が行われた10年間では、犬も猫も約4%上昇していますが、それ以上に増加したのはねずみ類(ハムスター・モルモット)です。ねずみ類の飼育率が1988年ではわずか0.3%だったのが1998年には6%と大幅に増加し、とくに1996年以降その傾向は顕著です。また、総理府世論調査と同様に、鳥類の飼育率は減少傾向にあります。

らに、1992年から1998年まで、2年ごとの4時点のデータを、いくつかの条件で分類してみていきましょう。まず、3世代同居、夫婦と未婚の子供、夫婦と既婚の子供、夫婦のみ、単身者というように、5つに類型化した表3の家族構成別では、3世代同居世帯のペット飼育率が最も高く、また犬、猫、魚類など、個別の動物の飼育率でも最高になっています。家族規模が大きいほど、ペットの飼育率は高く、複数種類を飼育している率も高くなるということです。しかし、家族規模が小さい単身者や夫婦のみ世帯でも、ペットを飼育している場合は、犬、猫の割合が他の動物よりも大きくなっています。とくに、1998年調査では単身者でペットを飼っている人の73%が犬あるいは猫を飼育している結果となっています。

表4で、6階層にわけられた世帯年収別でみていくと、年収が高いほどペット飼育率は高くなっています。また、それは犬の飼育率にも反映されています。低所得層でもペットを飼育している場合は、犬、猫の割合は大きなものとなっています。また中間層では、ねずみ類や魚類の割合が他階層に比べて大きくなっています。
表5で示した持ち家か賃貸住宅か、あるいは一戸建か集合住宅なのかといった分類でみた、住居形態別では、持ち家および一戸建住宅ではペット飼育率が高いという結果となっています。また動物別でみていくと、犬の場合、例えば1998年では持ち家および一戸建住宅での飼育率が賃貸および集合住宅に比較して約3倍も高く、住居形態の違いが顕著にあらわれています。猫の場合はこの差がおおよそ1.5倍程度であり、犬ほどの大きな格差はみられませんでした。

々な生活環境によって飼育する動物にも影響するということが、以上から明らかになりました。家族が多いほど、経済的に余裕があるほど、住居が広いほど、ペットを飼育しやすい環境であるといえます。しかしそれだけではなく、細かくみていくと、最近では一見ペットの飼育には難しいように思われる生活環境でも、動物を飼育する場合は、世話に手間がかかるにもかかわらず、直接触れ合うことができコミュニケーションのとれる犬や猫が好まれているということもわかりました。これについては面白い統計があります。女性について、フルタイムやパートで働いているか、専業主婦かというように、表6の労働形態でみた場合、意外なことに職業を持つ女性のペット飼育率、とくに犬や猫の飼育率が高くなっており、自由時間が少ないと考えられる女性ほど、ペットを飼育している傾向がわかっています。女性が、ペットをある意味での「癒し」の対象と考えていることの一つの証左ではないでしょうか。

体としては、動物を飼うという行為自体が時代とともに増加しているということ、および飼育する動物が大型化する傾向にあることが共通点として挙げられます。ペットを家族の一員とみる考え方がさらに社会に広まりつつあることから、今後まだこの傾向は続いていくことでしょう。

マンスリーレポート
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