一日は24時間。でも、人の体の中には約25時間で繰り返す「体内時計」があって、私たちの一日を司っています。この約1時間のズレをリセットしてくれるのが朝の太陽です。
太陽は、1日24時間の自然のリズムで動きます。私たちの体のリズムは、約25時間で繰り返されますが、朝日を浴びることで一日の始まりにリセットされ、そこから新しいリズムがスタートします。
太陽が高く輝く時間。私たちの体内では、体温が上がり、活動的な心身へと覚醒します。くっきりとした影をつくる白く強い太陽光は、私たちを活発にして、勉強や仕事に適した状態をつくりだします。
日暮れ時に長い影をつくる、オレンジ色の夕日は、私たちの心身を鎮静化し、活動的な状態からリラックスした気分へと切り替えてくれます。夜のくつろぎタイムの灯りは、穏やかな夕日がお手本です。
朝日を浴びてスタートした体のリズムは、夜になると私たちを自然に眠りへと誘います。でも、夜に強い光を浴びると、体は再び覚醒してしまいます。夜の灯りが眠りの質を左右するのです。
元気な子どもに育てるには、環境の変化に対する適応力、自律神経の健全な発達が欠かせません。まず着目したのが自律神経の発達と、活動水準の目安となる体温のリズムです(上図)。
体温と眠りについて一日の動きを見てみましょう。環境温度の影響を受けにくい身体深部の温度は深部体温と呼ばれています。人は、睡眠前に体から熱を放散させ、深部体温を下げることで、自然に眠りに導かれます。眠そうな赤ちゃんの手が温かくなるのもこの理由からです。
人の体温は、朝は低く、活動のピークに向けてゆるやかに上昇し、その後、就寝に向けて下がっていくのが理想です。このリズムが一定で、生活リズムと同調していることが大事なのです。
そこで実際に子どもたちの体温を調べてみると、低体温傾向の子どもが増えていることがわかりました。標準体温の子どもは、学校生活と活動水準がほぼ同調していますが、低体温傾向の子どもの体温はピークが18時頃にずれていました。低体温傾向の子どもたちは夜型の傾向が強く、朝無理して目覚め、寝付きも悪く、体のリズムと活動時間がうまく同調していなかったのです。子どもの「体のリズム」を整えるため、大人には何ができるのでしょうか。