二世帯住宅40周年~二世帯住宅誕生からこれまでの変遷~(2015年発表)

晩婚時代の単身家族も共に暮らす「2.5世帯住宅」

晩婚化と離婚増で増えた単身者

2.5世帯住宅

2010年には30代後半の女性の未婚率は2割以上で、男性ではさらに高く3割を超えます。単身者としてはこれに離婚者が加わります。離婚者は大幅に増加し、2010年には100組結婚するごとに36組が離婚するという状況になっています。この結果アラフォーの単身者は当たり前に居る時代となりました。
親と同居している単身者も増え、LITS(リッツ:LIving Togethers Singleの略)と呼ばれる単身の兄弟姉妹が一緒に親世帯、子世帯と同居するようなケースも出てきています。かつて「パラサイト・シングル」という、親に依存して暮らす単身者が話題になったことがありましたが、LITSの多くはフルタイムでバリバリ働き、独立して住むこともできる収入もある方です。親世帯夫婦を「1世帯」とするならそのような単身者を半分独立した「0.5世帯」と考えてもいいのではないか。その思いを込めて単身の兄弟姉妹も同居する二世帯住宅を「2.5世帯住宅」と名付けました。

35-39歳未婚率(国勢調査)

「+0.5世帯」の空間

「2.5世帯住宅」ではフルタイムで仕事をしているLITSの女性のための「充実マイルーム」を提案しています。自分専用の洗面化粧台があり、ウォークインクロゼットも備えています。ベッドコーナーは隠せるようになっていて、部屋は一人でくつろげるパーソナルリビングとなっています。
食事、お風呂は親世帯と共通です。平日は仕事で家事ができなくても、「メシ」「フロ」が確保できますし、休日はその分母をサポートすることもできます。

充実マイルーム:+0.5世帯の部屋

2.5世帯住宅のモデルでは孫共育ゾーンとともに、充実マイルームも親世帯と子世帯の中間に置かれています。LITSが独立して充実マイルームが空いた場合も、親世帯子世帯どっちもその部屋を使えるような配慮です。

構成図

2.5世帯住宅のメリット

0.5世帯をプラスすると、二世帯住宅のメリットはさらに大きくなります。

1. 同居家族が集まる機会が多い

2.5世帯同居の家族を訪問すると、誕生日などに集まって食事をするなど、家族で集まるイベントを大事にし、それぞれが密接に交流する仲のよさが感じられます。
姉と子世帯の妻が同世代の女性同士として情報交換をしていたり、子どもたちも姉になついて、名前を「ちゃん付け」で呼んでいたりします。食事に留まらない勉強、趣味、情報などの「知の共有」が見られるのが2.5世帯同居の特徴です。

2. 女性の就業が多い

2.5世帯同居で二世帯同居と大きく異なるのが、親世帯母の就業率の高さです。
二世帯同居の母は専業主婦として子世帯の共働きを支えるためなのか、親世帯は一般平均より就業率が低いです。それに対して2.5世帯同居では一般平均を上回っています。人数が増える分だけ食事作りなど家事も増えるはずなのですが、大人が多くなることで助け合う場面が生まれやすくなるのではないかと考えられます。

家族の資金を集めて家づくりができる

3. 家族の資金を集めて家づくりができる

就業している人数の多さは、家全体としての資金の多さにつながります。訪問してインタビューしていると、「家賃」という言葉が出るのが印象的です。
LITSが生活費や家賃としてお金を出し、結果的に子世帯のローン返済を助けています。

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