二世帯住宅40周年~二世帯住宅誕生からこれまでの変遷~(2015年発表)

二世帯住宅は在宅介護サービスを受け入れやすい

都市の高齢化が始まり、老人ホームなどの施設を増やすのではなく、在宅で介護していく方向が打ち出されてきています。
同居の理由を子世帯へのアンケートでたずねたとき、最も多いのは決まって「親の老後を考えて」です。しかし、昔と違って同居の子世帯だけが親世帯を介護するのではありません。
二世帯住宅でお話を伺うと、子世帯は介護保険のサービスを活用し、デイケアセンター等の施設と連携しながら、介護をうまくマネージメントしています。
これからの二世帯住宅には在宅介護への配慮が求められているのです。

加齢配慮・4つの移動ルートを確保する

加齢配慮の提案として、介護期の寝室を中心とした4つの移動ルートの確保を提案しています。
その4つとは、①トイレ、②リビング、③道路、④庭です。

 

加齢配慮・4つの移動ルートを確保する

①自立ルート 一人でトイレに行ける

トイレに一人で行けるのは自立の基本です。できれば車椅子になっても自分で行けるように、寝室に専用のトイレがあるのが理想です。

②リビングルート 家族との交流

家族との交流を積極的にはかるために、寝室からリビングへの移動は重要です。

③お出かけルート道路への移動・デイサービスとの連携

デイサービスなどを利用するとき、送迎の車までスムーズに行けない点が問題となることがあります。家の中の段差はなくせても、道路とは必ず段差があるからです。その段差をどのように通過するかが、配慮が必要なポイントです。
スロープだけではなく、ワイドステップと呼ばれる車椅子でも介助しやすい階段や、ポーチの広さの確保など、様々な手法を開発しています。

ルート

車イス図

④ガーデンルート 庭・ベランダへの移動

室内に閉じこもらず自然に触れあう機会をつくることも重要です。
外部のデッキとの段差をなくしたり、フラットなサッシ枠を使うことで、車椅子でも庭に出られるようになります。

生活空間の分離が在宅介護時代にフィット

生活空間が分かれた二世帯住宅は、外部からのサービスを受け入れやすいという特徴があります。水回りが分かれていないと、ヘルパーさんは同居家族と同じ水回りを使わなければならず、様々な気兼ねが生じてしまいます。
介護サービスで立ち入り範囲を明確にし、カギを掛けられるようにするなど、細かな配慮が求められているのです。

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