top line
AsahiKASEI旭化成ホームズ株式会社

印刷はこちら

News Letter 平成27年12月25
旭化成不動産レジデンス株式会社
 

敷地利用権が錯綜する複雑な団地の建替えスキームを構築
「池尻団地建替え」が都市住宅学会で業績賞受賞
 

  旭化成不動産レジデンス株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:渡辺 衛男)は、当社が実施した東京都世田谷区の池尻団地建替え事業(2014年竣工)において、公益社団法人都市住宅学会が“都市住宅学、都市住宅計画・事業、都市住宅政策等に関する優れた業績”を表彰する「2015年都市住宅学会賞業績賞」を受賞しましたのでご報告します。(11月28日に表彰式開催)

  池尻団地は所有権と借地権が錯綜していたため、全員合意で権利関係の整理をすることは実質的に困難な状況にありました。今回の受賞では、マンション建替法の組合施工による建替えにおいて再建マンションを所有権のみに一本化するために、全員同意ではなく多数決で借地権を解消できる新たな手法を構築したことが評価されました。審査においては、『マンション建替組合と共有者の管理行為としての借地権の解消を組み合わせて、複雑な権利関係を処理した点で大きな法的独創性を持つものであり、また、類似の事例における法的処理のモデルとなるものである。』とのコメントをいただきました。

  この11月に公開された国土交通省の試算では、全国の住宅団地約5000件(約195万戸)のうち、築45年を超える老朽住宅団地は現在約300件ですが、10年後の2025年には5倍の1500件に急増する見込みです。このような状況下、当社では今後も団地をはじめとする老朽マンションの建替え事業に取り組む中でノウハウを蓄積し、今回のような汎用性のあるスキームを工夫するとともに、これらの情報を広く社会に還元してまいります。

※今回の賞は、ウェルブライト法律事務所 村辻義信氏と当社の連名で受賞しています。



建替え前の「池尻団地」
建替え後の「アトラス池尻レジデンス」

◆公益社団法人 都市住宅学会HP  http://www.uhs.gr.jp/annai/gsyo/15_gjusyo.html

 
  以上
 

<本件に関するお問い合わせ先>
〒160-8345 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル
旭化成ホームズ株式会社 広報室
(電話)03-3344-7115 (FAX)03-3344-7050 (メール)j-koho@om.asahi-kasei.co.jp
 
 

<ご参考:池尻団地建替えの概要>


○複雑な権利関係とそれによる問題点
  池尻団地では、住宅の区分所有者の敷地利用権は所有権、事務所・店舗のそれは借地権と、権利関係が錯綜した状況でした。また、住宅区分所有者は底地権者でもあるため「自己借地権」と呼ばれる権利形態にありましたが、旧借地法では自己借地権は禁止されており、法的に不適格な状態にもなっていました。このような状況もあり、区分所有者の方々は建替えにあたって複雑な権利関係の解消を希望していました。
  また、池尻団地では区分所有者の多数が「マンション建替法」による組合施行による建替えを希望していましたが、同法では従前と同じ権利にしか権利変換できないため、権利変換計画の決議前に敷地利用権を整理し、借地権を解消して所有権化する必要がありました。

○建替え組合が購入することで権利変換前に借地権を消滅するスキームを構築
  この問題を解決するために、次のようなスキームにより権利変換計画前に権利の所有権化を可能としました。
①マンション建替法による建替組合設立後、同組合の決議により借地権者から借地権付建物を購入
②借地権者となった同組合が決議した上で借地権の解消を土地所有者(共有者)に申し入れ
③土地所有者は管理行為として、過半数の同意により借地権を解消

建替組合による借地権解消の流れ
1
建替組合設立
2
土地所有者が、借地権を組合に譲渡することを承諾(土地価格の過半数)
3
組合が借地権者から借地権付区分所有建物を購入(組合の決議、組合員の過半数)
4
組合が総会で借地契約の合意解約を決議し土地所有者に申し入れ(組合員の過半数)
5
土地所有者が借地契約の合意解約を決定(土地価格の過半数)


【参考情報へのリンク先】
アトラス池尻レジデンス竣工時のニュースレター
マンション建替え研究所HP「池尻団地建替え事業」ご紹介のページ
再建建物「アトラス池尻レジデンス」ご紹介のページ