アパート経営の目的を明確にする
アパート経営を検討する背景には、必ず土地資産に対して抱えている問題があります。
まずは、そのお悩みやこうしたいという希望を明確にします。そして、土地資産をさまざまな角度から検討・分析し、さらにご家族の将来も考えあわせて最適な決断をすることが第一歩です。その答えは「アパート経営」とは限りません。「アパート経営」だけを答えにするのではなく、最初にさまざまな可能性を考えてみることをお勧めします。
下記に、土地オーナーによくあるアパート経営の目的をまとめました。事業計画は目的によって変わってくる場合もあります。ご自身のケースと照らし合わせて、参考にしてください。
1.土地の有効活用
土地は有効活用してこそ価値の高まるものです。現状より有効な活用方法がないだろうか?とお悩みの方も多くいらっしゃいます。特に都心の土地であればなおさらです。また、アパート経営による土地活用は、その地域や社会の活性化にも繋がり、一つの社会貢献とも言えるでしょう。
2.相続対策
相続税の節税対策の一つは、相続資産の評価額を下げることです。例えば、更地にアパートを建設すると、その土地の評価額が下がるので、相続税の節税対策としては有効なのです。また、賃料収入を納税資金として確保することも、相続対策の一つです。
3.老後の私的年金
この先の年金制度もどうなるか不安がある中、今後の長寿の時代に備えておきたいのが、私的年金です。長期的に安定収入が得られるアパート経営であれば、賃料収入が私的年金として活用できす。
4.老朽アパートの建て替え
築年数の古いアパートでは、なかなか昨今のニーズを満たすのは難しく、空室が出ると次の入居者がなかなか決まらないこともあります。また、その状態で相続が発生してしまうと、引き継ぐ相続人に多大な負担をかけてしまうことにもなりかねません。
さらに、老朽アパートは耐震性の問題もあります。この先高い確率で起こると言われる大地震が原因で、老朽アパートが倒壊し、入居者がケガを負った場合、オーナーの責任が問われることさえあるのです。
5.固定資産税対策
下がり続けていた地価も、回復の兆しを見せています。場所によっては、上昇を始めているところもあります。そうなると気になることの一つが固定資産税。特に遊休地や青空駐車場になっている場合は、固定資産税が高くなります。そこで、アパートを建てることで固定資産税の負担を軽減することができます。
6.自宅建て替え費用の負担を軽減
自宅を建て替えたいが、建築資金やローンの返済負担を軽減したい、といった場合は、自宅併用のアパートを建てることで、賃料収入をローン返済に充てることができます。
アパート経営のメリット
次に他の土地活用や他の事業と比べた場合の、アパート経営のメリットについて考えてみましょう。
1.小資本・小規模な敷地でも経営できる
条件によっては、全額借入れでアパートを建築できますので、小資本でスタートすることができます。
また、狭小敷地や変形敷地でも、プランを工夫すれば効率的なアパートの建築は可能です。
2.人件費や専門知識がいらない
他の事業のように人を雇う必要はなく、初めての方でも実際の運営は管理会社が行うケースが多いので、専門知識が必ず必要という訳ではありません。また一括借上げの場合は、管理会社がオーナーに代わって貸主となり、一切の管理・運営を代行するため、管理業務に煩わされず経営できます。
3.長期的に安定収入を得ることができる
他の投資と比べてもミドルリスク・ミドルリターンと言われる不動産投資。アパート経営も、エリアのニーズを満たし、事業計画をきちんと立てれば、長期の安定収入が見込めます。
4.相続税や固定資産税を大きく節税できる
前の項でも述べた通り、相続税、固定資産税の大きな節税効果が見込めます。
例えば固定資産税では住宅用地の場合、1戸あたり200㎡までは「小規模住宅用地の軽減」が適用され、アパートを建てた場合、更地と比べて固定資産税評価額が6分の1になります。相続税に関しては、「相続・贈与の基礎知識 財産評価の引き下げ編」をご覧ください。
また、アパート経営開始後の数年は帳簿上赤字になることが多く、サラリーマンなどで他に所得がある場合は、損益通算といって所得を相殺でき、所得税・住民税の節税効果があります。