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アパートオーナーのための火災保険の基礎知識

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2015年8月18日

アパートオーナーのための火災保険の基礎知識

アパート経営の防災対策の第一歩とも言えるのが、火災保険と地震保険です。そこで、9月の防災月間を前に、アパートオーナーにとって必要な保険の基礎知識を解説します。また、火災保険料については10月から料金が改定になります。その背景と注意点を見ていきます。

10月1日より火災保険料が値上げ!契約期間も最長36年から10年に!

近年では、ゲリラ豪雨や大型台風をはじめ、ひょう、竜巻など異常気象による自然災害が多発しています。また、いつ来てもおかしくないと言われる大地震も懸念されます。こうした自然災害などからアパートを守るのが損害保険ですが、さまざまな自然災害に対応している損害保険を総称して、火災保険といいます。どんな自然災害に対応しているかは商品によってさまざまですが、基本となる火災保険に特約を付けることになります。地震保険の場合は、必ず火災保険とセットで加入します。

さて、この火災保険ですが、今年の10月1日から大きな二つの料金改定が行われます。
一つが、火災保険料の値上げで、全国平均で2〜4%の値上げになります。(建物の構造や地域によって、保険料が下がる場合もあります)
二つめは、契約期間が10年を超える火災保険の新規契約の廃止です。これまでの長期契約期間は、最長36年でした。保険料は契約期間が長いほど割安になるよう設定されており、例えば、36年だと31%程度、10年で18%程度の割引率になります。ですから、これも実質的には値上げということになります。

改定の理由は、冒頭に述べたように豪雨や台風の多発で建物被害が増加傾向にあることです。損害保険料算出機構のデータを見ても、台風災害で支払った保険金は、前回保険料を改訂した平成16年度以降増えています。また、台風以外の風ひょう災や雪災による保険金の支払いも同様に増加しています。
さらに建物の水漏れ災害の増加も、料金改定の一因となっています。冬季の凍結や老朽化などで水道管等に生じた水漏れ事故による保険金の支払金は年々増えており、前回の改定前と比べると4倍程度も増加しています。

台風災害による支払保険金の改定前後での比較

水漏れ損害による支払保険金の推移

10月1日の火災保険料改定で、保険料が全国平均で2〜4%値上げ、保険期間は最長10年になる。

入居者が加入する保険は「家財保険」「借家人賠償責任」「個人賠償」

賃貸住宅には、オーナーが加入する火災保険と入居者が加入する火災保険があります。基本は「建物」を補償する火災保険はオーナーが、「家財」を補償する火災保険は入居者が加入します。そしてそれぞれ、基本の火災保険の内容にプラスして必要な特約を付ける必要があります。

■賃貸住宅に必要な保険

まずは、入居者が加入する保険について解説します。
基本となるのが「家財保険」です。もし、入居者が火災を起こしても重大な過失がない限り、その入居者は損害賠償責任は負いません。これを「失火責任法」といいます。逆の見方をすると、隣室からの火災によるもらい火で自分の家財が燃えても、失火者に弁償してもらうことはできません。自分の家財は自分で守る必要があるので家財保険で備えることになります。
一方、入居者は賃貸借契約により原状回復の義務がありますので、オーナーに対しては損害賠償責任が発生します。そこで「借家人賠償責任」の特約を付けると、原状回復費用が補償できます。また、火災では賠償責任を問われませんが、水漏れを起こした場合に、被害を与えた相手に対して補償する「個人賠償責任」特約もつけると安心です。

入居者が加入する保険料や内容については、各社それぞれです。不動産管理会社が用意していますので、オーナーとしても改めて内容を確認しておくと良いでしょう。

入居者が入る保険は「家財保険」。「借家人賠償責任」、「個人賠償」特約をつけると安心。

オーナーが入る保険は「施設賠償責任」「家賃補償」

オーナーが入る火災保険は、「建物」を補償する保険です。火災以外にも、さまざまな自然災害が多発する昨今では、想定される自然災害に対し、いかに対応しているかをチェックする必要があります。

アパートの場合、自然災害以外の不測の事態にも備える必要があります。例えば、先に述べたように、配水管が老朽化などで水漏れ事故が発生し、入居者の家財を汚してしまった場合は、オーナーが損害賠償責任を負うことになります。それを補うためには、「施設賠償責任」の特約が必要です。水漏れ以外にも、外階段灯が落下して入居者がケガをしてしまったり、塀が壊れて通行人にケガをさせてしまったりした場合にも補償されます。万が一の様々な事故に備えるために必要な特約なのです。
さらに、火災が起こった場合に困るのが、建物が復旧するまで家賃収入が途切れてしまうことです。そこで、本来得られたはずの家賃を補償するのが「家賃補償」の特約です。

また、支払われる保険金額の設定には「時価」と「新価(再調達価格)」があります。「時価」は、アパートを建設した当初の価格から、経過年数によって劣化した分の価値を差し引いた保険金額となります。これだと古いアパートは建て替えや修繕に必要な金額が補償されない場合があります。「新価」は建て替えや修繕に必要な金額が補償されます。その分、「新価」の方が保険料が高くなりますが、その後もアパート経営を継続させることを考えると「新価」の方がお勧めです。

■「新価」と「時価」の保険金額の違い(イメージ)

オーナーが入る火災保険には「施設賠償責任」「家賃補償」の特約を付けると良い。また、保険金額は「新価(再調達価格)」で設定するのがお勧め。

地震保険も来年19%値上げ! アパート事業のリスク対策には必須!

もう一つ大切なのが「地震保険」です。阪神・淡路大震災以来、加入率は少しずつ増加していますが、2013年度の世帯加入率は全国平均27.9%と決して高い加入率とは言えません。都道府県別に見ると、宮城県では50.4%、愛知県で37.9%、東京都で34.9%、神奈川県33.1%が上位となっています。

保険料の高さが普及率の低さの要因と言われていますが、さらに保険料の値上がりも予定されています。地震保険料は、2014年7月に上がったばかりですが、早ければ2016年の秋から上がる見通しです。全国平均で19%、太平洋側の一部では50%もの値上げも検討されています。これは、南海トラフ地震など巨大地震の発生確率を想定した上でのことですから、それだけ危機感が増していることの表れでもあります。

地震による火災は火災保険では補償されません。たとえ耐火構造でも、近所の火事によって窓から火が入って内部が延焼してしまうことがあります。アパート経営は事業ですので、リスク対策の観点からも、加入するのがベストでしょう。なお、地震保険の契約期間は最長5年です。

また、アパート経営上、震災が起こった場合の法的な問題点について解説したバックナンバー「震災でどうなる!?アパート経営Q&A」も合わせて参考にしてください。

地震保険も値上げが計画されているが、長期安定経営には必須の特約。

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