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借地の相続を考える-前編

借地

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2013年12月 3日

借地の相続を考える-前編

土地の相続で厄介なのが借地の場合です。借地とはいえ都心部では大きな資産価値があり、相続税がかかる場合もあります。あわせて地主との関係もあり、いろいろと注意が必要です。あらためて借地の相続について考えて見たいと思います。

借地とは? 底地とは?

まず、借地とは何かについておさらいしておきましょう。

借地とは、文字通り自宅など自己所有の建物を建てるために借りた土地のことで、その権利を借地権といいます。借地権には「地上権」と「賃借権」の二つがあります。「地上権」は、地主の所有権の次に強い権利で、地主の承諾なしに、土地を譲渡したり貸したりすることができます。しかし、地主にとっては非常に不利な設定のため、地上権はほとんど例がありません。一般的には借地権のほとんどが賃借権です。これから出てくる借地権は、賃借権として解説します。

借地権をもう少し細かく見ていくと、次の三つを要件とした権利となります。
1.建物の所有を目的とすること。
2.土地の賃貸借契約を結ぶこと。
3.地代を払うこと。

駐車場や資材置場など建物のないものは借地権には該当しません。また、既存の建物を利用する以外は、勝手なことはできません。仮に借地人(及びその相続人)が、借地権を譲渡したり、建物を建て替えたりする場合には、地主の承諾が必要となり、承諾料が発生します。

相続した土地が借地の場合、中には価値がないと思っている方も少なくありません。しかし、都心など地価の高いエリアでは、この借地権が大きな資産価値となります。
一方、借地権が設定された土地を底地、その権利を底地権といいます。地主には借地人からの地代収入がありますが、その土地を利用することはできませんし、賃貸借契約を解約するには、余程の正当事由がないとできません。自由に活用することができない土地のため、底地の資産価値は非常に低いのが現実です。

借地とは? 底地とは?

借地は、建物の所有を目的に借りた土地であるが、借地権には資産価値がある。しかし、地主の承諾なしに譲渡したり、また建て替えたりできないなど制約もある。

借地の相続評価はどう計算するのか?

このように借地権は、資産価値が高く相続・贈与の対象となります。相続にあたっては、地主の承諾は必要ありません。時に、相続時に名義書換料や承諾料を求められることもあるようですが、基本的には払う必要はありません。地代や契約内容も、そのまま相続しますので、新たに賃貸借契約を取り交わす必要もありません。地主に相続した旨の報告をするだけで良いでしょう。
ただし、遺贈の場合は法定相続ではありませんので、地主の承諾および承諾料が必要となってきます。

借地権の相続評価は、自用地(更地であるとした場合の評価額)に借地権割合を乗じて求めます。借地権割合とは、国税局が地域ごとに定めたもので、路線価図を見るとA(90%)〜G(30%)の記号で表示されています。商業地など利用価値の高い地域がAの90%、住宅地は70%〜60%です。一方、底地権の評価は、借地権割合を引いた割合を乗じて求めます。

借地権の相続評価額=自用地評価額×借地権割合
底地権の相続評価額=自用地評価額×(1−借地権割合)

例:自用地の評価額が1億円、借地権割合が70%の場合
  ○借地権の相続評価額=1億円×70%=7,000万円
  ○底地権の相続評価額=1億円×(1−70%)=3,000万円

借地権も相続・贈与の対象となる。相続評価額は、自用地評価額に借地権割合(路線価図に表記)を乗じた額。

借地の自宅を相続したらどう活用するか? 

借地に建っている自宅を相続したが、実際どうすれば良いか分からず戸惑う方は多くいらっしゃいます。借地の自宅を相続した場合、どのように財産を活用・維持したらよいか考えて見ます。

(1)売却する

売却する場合、まず考えられるのは、第三者に譲渡する方法です。借地は、所有権の物件と同じように不動産市場では売買されていますが、利用価値が高ければ欲しい人はたくさんいます。地主の承諾や譲渡承諾料が必要になってきます。
売買価格については、先の相続評価額をイメージされるかもしれませんが、これはあくまで相続評価額で、実際の売買価格とは違います。実際は底地と借地を合わせた評価額の半分以下というのが実態のようです。
また、地主に買い取ってもらい、借地権を返還する場合は、建物を解体し、更地で返還するのが原則です。

(2)住み続ける

相続人がそこに住みたい場合は、そのまま住み続けるのが良いでしょう。先に述べたように借地権も賃貸借契約もそのまま相続できます。ただし、リフォームしたり建て替えたりする場合は、地主の承諾が必要です。

(3)自宅を賃貸する

相続人がすでに他で独立していて、自宅が空き家になるケースではどうでしょう。そのままでは、地代だけを払い続けることになり、負の資産となってしまいます。
自宅の状態が良ければ、自宅を賃貸するという選択肢もあります。貸せるように整理する煩雑さがありますが、売却する場合でもそれは同じことです。建物を第三者に貸すことに関しては、地主の許可は必要ありません。「借地権の転貸」というのがありますが、これは借りた土地に建物を建てずに第三者に貸し、第三者が建物を建てた場合で、この場合は承諾が必要です。

もう一つの選択肢が、自宅を賃貸住宅や賃貸併用住宅に建て替えて活用するという選択肢です。この方法については、次回詳細を解説します。

■借地を相続した場合の選択肢
■借地を相続した場合の選択肢

借地を相続した場合もさまざまな活用法があるので、状況を見て判断する。

借地のアパートを相続した場合は?

借地にアパートが建っているケースも少なくありません。中には土地を持っていない人が、アパート経営をするのに、借地権を買い取り、アパートを新築することもあります。もちろん、地主の承諾など、それなりにハードルは高いですが、投資効率からすれば普通の土地を購入するよりは利回りも期待できます。

借地のアパートの相続は、経営の状態がどうかが、まず大きなポイントになります。経営が順調なのであれば、そのまま相続しアパート経営を継承するのが良いでしょう。
しかし、相続の場合は、アパートは老朽化が進み、空き室が目立ち、修繕費もかさむ、といったケースが多いかと思います。相続前から対策を考えていないと、相続人が後で苦労することになります。具体的にどんな問題が起こり得るのか、それを回避する方法については、次号で解説することにします。

借地でもアパート経営で有効活用ができる。相続する場合は、経営状態を見極めて相続前から対策を考える。

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