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今春の首都圏家賃動向!着工数増加の影響で変化

市場動向

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2013年5月21日

今春の首都圏家賃動向!着工数増加の影響で変化

不動産情報サービスのアットホームより、3月の賃貸市場動向が発表されました。そのデータを参考にアパート経営にとって繁忙期である春の家賃動向を解説します。先頃発表された公示地価や昨今の景気浮上期待から、不動産市場は活況を取り戻しています。果たして、家賃相場にもその影響は出ているのか、賃貸物件の成約数も含めて解説していきます。

成約数は前年比10カ月連続増加!

3月の首都圏の賃貸物件の成約数を見ると、前年同月比で4.2%と前年比10カ月連続のプラスとなりました。1年間を通してみても、5月以外はすべてプラスです。2012年3月は震災の影響で17.2%増でしたが、今年3月はそれを上回りました。グラフを見てもわかる通り、年間通じての繁忙期である1、2、3月も増加しています。これは、賃貸市場そのものが活発に動いているということの表れです。

3月の成約数をエリア別に見ると、東京都下が唯一3.8%減少しました。東京23区も0.2%と微増にとどまっています。東京都下、23区を物件の構造別に見るとどちらもマンションは微増ですが、アパートがともにマイナス。都下のアパートは8.3%のマイナスで、1月・2月は上昇していただけに今後の動向が注目されます。

一方、好調なのは埼玉県11.4%増、千葉県20.2%増です。千葉県は1月13.8%増、2月14.0%増に続く大幅な上昇です。東京都よりも、市場は活発に動いているようです。構造別に見てもマンション・アパート共に増加しています。

賃貸物件の成約数が増えていることは、賃貸市場が活性化できているということです。その反面、競争の激化も予想されます。エリアの市場がどう動いているのか観察し、淘汰されないように気を付けなければなりません。

■居住用賃貸物件成約数および前年同月比の推移(首都圏)
住居用賃貸物件成約数および前年同月比の推移(首都圏)

■居住用賃貸物件所在地別 成約数・前年同月比

 

1月

2月

3月

全体

マンション

アパート

東京23区

0.5%

6.0%

0.2%

0.4%

▲0.7%

東京都下

6.5%

2.2%

▲3.8%

0.2%

▲8.3%

神奈川県

▲0.4%

3.0%

5.4%

5.4%

5.4%

埼玉県

6.1%

10.7%

11.4%

12.1%

14.4%

千葉県

13.8%

14.0%

20.2%

23.2%

17.5%

首都圏計

2.3%

5.8%

4.2%

4.2%

4.4%

首都圏の賃貸物件の成約数は増加傾向にあり、賃貸市場は活性化している。しかし、同時に競争が激化しているので注意が必要。

成約賃料はマンション・アパート共に上昇

成約数は顕著に推移していますが、賃料はどうでしょうか?
新築・中古別に賃料を見ると、マンションの新築が3カ月ぶりに前年同月比で4.3%と増加、中古は変動なし。アパートの新築は3カ月連続の増加ですが、中古は35カ月の連続下落となりました。エリア別に見ても中古物件は下落傾向にあり、新築は好調をキープし二極化が見て取れます。

成約賃料で特に大きな伸びを示したのが千葉県のマンション新築10.5%増、東京都下のアパート新築9.8%増、東京23区のマンション新築7.7%増、神奈川のアパート新築7.0%増です。
東京都下では、マンション新築がマイナス3.9%ですが、アパートは大幅なプラスになりました。アパートには、軽量鉄骨造も含まれますので、グレードの高い新築アパートが賃料を押し上げた要因かもしれません。
成約数では鈍化の傾向も見られた東京ですが、賃料は都下を除く新築物件は堅調に推移していると言えるでしょう。一方、成約数が好調だった千葉県、埼玉県に関しては、千葉県のマンション新築以外は、さほど大きな伸びは見られませんでした。競争が激化し、賃料の競争につながったとみることができます。

■3月の新築・中古別平均成約賃料・前年同月比(1戸あたり、カッコ内は賃料・単位:万円)

 

マンション

アパート

新築

中古

新築

中古

東京23区

7.7%(10.88)

1.7%(9.55)

3.2%(8.41)

▲1.8%(6.51)

東京都下

▲3.9%(7.85)

0.3%(7.04)

9.8%(7.96)

▲3.0%(5.50)

神奈川県

1.4%(9.54)

▲0.8%(7.46)

7.0%(7.79)

▲1.0%(5.66)

埼玉県

2.8%(7.64)

▲3.0%(6.87)

▲3.5%(6.83)

1.5%(5.31)

千葉県

10.5%(8.45)

▲0.4%(6.93)

▲1.9%(6.86)

0.6%(5.21)

首都圏計

4.3%(9.87)

0.0%(8.30)

2.8%(7.68)

▲1.4%(5.77)

新築物件の成約賃料の上昇が顕著に。一方、中古物件は下落しているエリアもあり、二極化が続いている。

成約面積別では、カップル向け・ファミリー向けが好調

間取りを表す1戸あたりの成約面積を見てみると、埼玉県のマンションを除き、すべてプラスになっています。広さを求める入居者ニーズは、まだまだ拡大傾向にあるようです。賃料が堅調なのも、この面積の拡大が一つの要因と思われます。

ただし、単に部屋の広さが大きくなったのかというと、それだけではないようです。面積別の成約数を細かく見てみると、マンションもアパートも30m2未満のシングルタイプの成約数は伸び悩んでいて、カップル向けの30〜50m2未満、ファミリー向け50〜70m2の物件の成約数が伸びています。入居者ターゲットが単身向けからカップル向け、ファミリー向けにシフトしていると考えられます。

■1戸あたり成約面積および前年同月比(3月)

 

マンション

アパート

成約面積

前年同月比

成約面積

前年同月比

東京23区

33.49m2

3.3%

24.05m2

0.3%

東京都下

33.55m2

2.0%

27.55m2

3.0%

神奈川県

35.65m2

0.9%

29.60m2

0.9%

埼玉県

39.77m2

▲1.8%

34.56m2

4.2%

千葉県

38.86m2

1.9%

34.26m2

3.6%

成約賃料上昇の一つの理由が成約面積の拡大。カップル向け、ファミリー向けの1LDK以上の成約数が堅調に。

着工数増加の影響で賃貸市場が活性化

これまで、成約数、成約賃料を見てきましたが、一部のエリアを除いて、全体的には堅調だと言っていいでしょう。その要因は、これまでも述べてきたようにグレードの高い新築物件の増加と見ることができます。

東京都の貸家の住宅着工数を見ると、3月は前年同月比10.2%増で3カ月ぶりの増加となっています。戸あたり面積も前年同月比で5.6%の増加です。平成24年4月〜平成25年3月の1年間で見ても、7月、1月、2月はマイナスですが、年間を通すと6.3%の増加です。これは、持ち家、分譲住宅よりも大きい伸びとなっています。

賃貸住宅の新築が伸びているのは、周知の通り来年4月から予定されている消費税の増税、そして今年度の税制改正で大幅増税が決まった相続税の改正や低金利の影響だと思われます。特に土地オーナーは、相続税の増税により、あらためて相続対策を検討する必要に迫られています。そして、効果が期待できる土地活用、つまり賃貸住宅の建設をするタイミングとして、史上最低と言われる低金利を活かした資金計画と、消費税増税前の駆け込み需要が起きているのが現状です。
この傾向は、今年の9月まで続くと思われます。なぜなら、今年の9月末までに契約したものが消費税5%となるからです。もちろん、来年の3月31日までに引き渡しが完了していればよいのですが、需要増による着工集中により完成時期が遅れることが予想されますので、消費税5%にこだわるのであれば、9月末までに契約をしたほうがよいでしょう。

今は、景気回復の機運も高まっていますので、不動産市場は活況を呈しています。しばらくは賃貸市場も新築物件が増加し、市場は活性化していくでしょう。しかし、それは同時に競争も激化し、競争力のない物件は淘汰されていく危険性も含んでいます。賃貸オーナーは、市場の動向に注意して、安定経営のための対策を取ることも必要となってくるでしょう。

相続税増税、低金利で新築物件増加、そして消費税駆け込み需要はこれからが本番。しかし、同時に賃貸市場では競争も激化。

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