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景気回復がもたらす住宅業界の現状と今後の見通し

市場動向

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2014年4月15日

景気回復がもたらす住宅業界の現状と今後の見通し

アベノミクスによる景気回復、復興需要の継続、東京五輪招致、加えて消費税増税による駆け込み需要と地価上昇など、住宅業界を取り巻く環境は活況を呈しています。一方、建設の現場では人手不足や資材の高騰による様々な問題も出てきています。果たして、現状はどうなっているのか、今後の見通しはどうなのか、土地活用を考えているオーナーにとっては、気になるところです。住宅業界の現状を見てみることにいたします。

建築現場の人手不足が深刻化!

今、東北の被災地で懸念されているのが、東京五輪開催準備の影響による復興事業の遅れです。その大きな懸念材料の一つが、人手不足。現状でさえ復興住宅建設やインフラ整備に人手が足りないのに、東京五輪の準備に人手がとられ、復興が遅れるのでは、と言うものです。
しかし、建築現場の人材不足は被災地や東京だけではなく、全国に広がっているのが現状です。震災復興需要や東京五輪以外にも、災害対策として安倍内閣による「国土強靱化計画」などで建築需要は一気に高まりを見せています。

現在の人手不足は、単に建築需要が高まったことだけが原因ではありません。根本的な要因は人材そのものが減少しているということ。建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少をはじめ、2012年には503万人になっています。ピークから182万人の減少です。日本全体の人口減少に加え、建設の仕事自体に人材が集まりにくい現実もあります。
特に2011年の震災復興が始まってからは、鉄筋コンクリートの躯体工事に必要な型枠工や鉄筋工の不足が顕著になっているようです。

この人手不足をどうやって補うか? 一つが外国人労働者の採用です。実は被災地でもそうですが、地方の農林水産業の現場では、既に外国人労働者で保たれているのが現状です。建設業の現場に限らず、第一次産業全体の就労者が既に人手不足なのです。外国人労働者は、「外国人技能実習制度」を利用して働きますが、最長でも期間は3年間で帰国しなければなりません。そこで安倍政権は、外国人労働者の受け入れを拡大する方針を決め、実習後に追加で2年間働けるようにするほか、いったん帰国した人も最長3年間再入国して働けるようにすると、先日4月4日に発表しました。
建設業界の人手不足はまったなしの状況です。「外国人技能実習制度」の拡充は建築業界からも強く切望されていて、それを受けての今回の決定のようです。もちろん、建設業界に限らず、農林水産業、介護などの業界にも有効だと大きく期待されています。

建築の需要増で、建築の現場は深刻な人手不足の状態。建設業に限らず、人口減少による第1次産業を中心とした労働市場は外国人労働者に頼らざるを得ないのが現状。

人手不足が招く様々な影響

深刻な人手不足は、まず人件費の高騰を招いています。建設物価調査会によると2005年の人件費を100とした場合、2014年1月現在で、「普通合板型わく工」で153、「鉄筋加工組み立て工」で151、「アスファルト防水工」で128となっています。

人件費の高騰は、建築工事の採算性を悪化させます。建設会社では、受注高は増加しているものの、利益は減少しているという業績不振に陥っているのが現状です。合わせて人手不足は、納期の確約も難しい状況に追い込まれています。
それを象徴しているのが、公共事業の「入札不調」です。東京都の不調の発生率は、2011年度で7.2%、2013年度上期末で9.4% だったと言います。東京の築地市場豊洲移転工事の建設工事の入札が不調に終わり話題となったのが昨年の11月、今年の2月に予定価格を6割以上も積み増しして、ようやく決まりました。もちろん、「入札不調」は東京都だけではなく、被災地をはじめ全国の自治体で増えているようです。

また、新しい動きとしては木造や鉄骨造の建築物の増加があります。小学校の校舎や病院などで、鉄筋コンクリート造から鉄骨造に切り替えている例も多いと聞きます。これも、前述の型枠工や鉄筋工などの人手不足が原因です。

人手不足は、人件費高騰、納期の遅れ、建築費の上昇を招いている。

住宅価格の上昇は必至

マンションなど住宅販売は、消費税の駆け込み需要、住宅ローン控除の拡充により、依然、好調のようです。
不動産経済研究所によりますと、2013年の全国マンション販売戸数が6年ぶりに10万戸を超えたとのことです。2014年は2013年比4.5%増の11万戸になるとの見通しです。10万戸を超えるのは、2007年の「不動産ミニバブル」と言われた時以来で、引き続き高水準を維持すると予測しています。
消費税増税後の影響が懸念されますが、ローン控除の拡充により、増税後に購入したほうが得なケースも多く、さほど影響はなさそうです。

しかし、当然これまで見てきた、人件費や建築資材の高騰は、住宅価格に跳ね返らざるを得ないでしょう。不動産経済研究所によりますと、2013年の首都圏マンション価格は1戸あたり平均価格4,929万円で前年比8.6%アップです。直近の2014年2月は5,064万円、平米単価は70.8万円となっています。

■首都圏新築マンション価格の推移 (不動産経済研究所) 首都圏新築マンション価格の推移

建築費の上昇は、住宅価格にも反映される可能性が高い。

史上最低水準の金利で、土地活用には良好な環境

ここで、土地オーナーとして懸念されるのが、これからの土地活用です。来年、相続税増税が実施されることから、新たな土地活用や相続対策として、アパートの建築を検討しているオーナーも少なくないでしょう。しかし、建築価格がアップすれば、採算が取りにくいのではと、懸念してしまいます。

しかし、今は一般住宅も含めて、アパート建築のチャンスとも言えます。その大きな理由は、史上最低水準の金利です。今後もマンション需要が底堅いと予測する理由は、住宅ローン控除の拡充もありますが、金利が大きなポイントなのです。そして、低金利がもたらす恩恵は、土地活用においても同じです。
さらに、約1年半後の2015年10月には消費税は10%に増税される予定です。これに対応するには、今回同様、増税半年までの建築請負契約、つまり2015年3月末までの契約が条件になります。この1年が、決断の時とも言えるでしょう。

さまざまな懸念事項もある建設業界だが、史上最低水準の金利で土地活用によるアパート建築には好環境が続く。

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