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平成28年路線価も全国平均8年ぶりに上昇!

市場動向

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2016年7月19日

平成28年路線価も全国平均8年ぶりに上昇!

7月1日、国税庁より相続税・贈与税の土地評価の算定基準となる路線価が発表されました。今年3月に発表された公示地価では、三大都市圏で3年連続の上昇となりましたが、路線価も同じく上昇傾向が鮮明となりました。相続・贈与税への影響も必至です。

全国平均で8年ぶりに前年比プラス

路線価は、公示地価の80%を目安に評価されます。今年の公示地価でも三大都市圏を中心に上昇傾向が鮮明になりましたが、それを受けて路線価も上昇しました。路線価の全国平均は、前年比0.2%のプラス(昨年は▲0.4%)で、平成20年のリーマン・ショック以来、8年ぶりの上昇となりました。

主要都道府県の対前年比の変動率が上昇に転じたのは2年前です。この3年間で見ると上昇傾向は衰えず、堅調に推移しています。特に東京では上げ幅も拡大し、他のエリアと比べ一極集中の様相を呈しています。地価上昇の要因は、訪日外国人増加によるホテルなどの再開発、都市部の堅調なオフィス需要の高まりや、金融緩和を背景とした不動産投資の拡大などがあげられます。

この傾向は地方にも広がり、北海道、広島県、福岡県、熊本県も前年の横ばいや下落から上昇に転じ、プラスは14都道府県になりました。地方都市では、外国人スキー客が増加した北海道ニセコ地区や、仙台駅前青葉通りなどの上昇が目立ちます。その他でも、外国人に人気の観光地は上昇しています。
一方、秋田県は▲3.9%、愛媛県は▲2.1%と下落しています。下の表でも兵庫県は、下落幅は減少しているものの、いまだに下落しています。地方と都市圏の格差も広がっています。

■主要都府県の標準宅地の対前年変動率の平均値(単位:%)

東京圏の動向ー都内下落地点はゼロ、バブル期に迫る地点も!

東京都の平均路線価は2.9%の上昇で、3年連続上昇、上げ幅も拡大しました。税務署別の最高路線価は、47地点で上昇、1地点で横ばい。下落地点はゼロでした。これも3年連続です。

全国でも最も高かったのは、中央区銀座5丁目、ニュースでも必ずと言っていいほど登場する鳩居堂前です。路線価は前年比18.7%上昇で3,200万円です。これは、リーマン・ショック前の3,184万円を超え、バブル末期1992年の3,650万円の9割に迫る価格です。銀座は、訪日外国人の急増に応じ、商業施設等再開発が相次いでいます。今年に入って、数寄屋橋交差点の「東急プラザ銀座」がオープン、松坂屋銀座店の跡地も大型商業施設が開業する予定です。

上昇率2位の渋谷区宇田川町は商業施設・オフィスの集積地、ホテルの再開発が進む新宿区新宿3丁目、高級住宅街の港区北青山3丁目などが高い上昇率となりました。東京圏でいうと、8位までが10%以上の上昇です。
都心以外でも、昨年との比較で上昇率の伸びが大きかったのは、練馬区千川通りが昨年の2.2%から9.7%、世田谷区玉川通りが同4.0%から10.4%と倍以上の伸びとなりました。玉川通りの路線価を見てみると、183万円から202万円、その差は19万円です。200m2の土地で計算すると、一気に3,800万円上がったことになります。

多摩地域の上昇率が高かったのは、立川駅北口大通りが前年比9.1%、武蔵野市吉祥寺サンロードが6.9%、府中駅前通り5.9%です。いずれも高い上昇率となっています。再開発は都心に限らず、郊外も盛んに行われていることが要因の一つです。

■東京圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米当たり)

名古屋圏の動向ー名古屋駅周辺の開発ラッシュ続く

名古屋駅周辺では、平成39年のリニア新幹線開業(予定)を控え、高層オフィスビルなど再開発ラッシュに沸いています。全国でもいち早く地価上昇傾向を見せたのは名古屋でした。
路線価が最も高いのは、名古屋市中村区名駅の名駅通りです。昨年、都道府県庁所在地の最高路線価で、横浜を抜いて全国3位になりましたが、今年も3位をキープしました。昨年は名古屋圏内での上昇率もトップだったのですが、今年の上昇率トップは、名駅通りの北側に位置する広井町線通りです。24.6%の上昇率は全国の税務署別でも3位の伸び率です。名古屋駅周辺では、昨年大名古屋ビルヂング、JPタワー名古屋が開業し、来春開業予定のJRゲートタワーも含め約2万人の就労人口が生まれる見通しとのことです。

また、名古屋の中心繁華街である栄エリアでも久屋大通り14.7%、大津通り10.4%と大きな上昇を見せています。さらに名古屋へのアクセスが良い尾張一宮駅前通り、勝川駅前広場通りも路線価が上昇、上昇率は横ばいですが自動車関連産業の就業人口が多い豊田市などの西三河地区は住宅需要が堅調なようです。

■名古屋圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米当たり)

大阪圏の動向ー訪日外国人増加で路線価も高騰、マンション開発も進む

今回の路線価で関西一位の上昇率だったのが、大阪・ミナミの道頓堀に架かる戎橋北側の心斎橋筋で39.6%もの上昇でした。大阪は、東南アジアからの訪日外国人に非常に人気が高く、ホテルの稼働率は予約が困難とされる85%前後で推移し、今年の3月には、全国トップの87.8%でした。2020年までにミナミ周辺で約30軒、梅田、天王寺などを含めると大阪市内で約50軒のホテル建築計画があるといいます。

また、住宅需要も堅調でマンションの建設ラッシュも続いています。大阪市西区の四つ橋ではタワーマンション874戸が完売、またコインパーキングが賃貸マンションになるなど土地活用も盛んに行われています。路線価も13.4%上昇しました。西区ではファミリーマンション増加による児童の急増で、小学校の教室が数年後には足りなくなると懸念されています。東京の湾岸エリアでも同様の問題があります。再開発で大規模マンションができると、街の様子が一変してしまうのは共通の課題のようです。

京都もホテル・マンション開発が盛んで、地価を押し上げています。路線価は昨年と比べると東山区の四条通で7.3%から21.6%、中京区の河原町道が5.1%から17.0%、下京区の四条道が5.3%から16.9%と3倍ほどの上昇幅となり、路線価は急騰しています。

■大阪圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米当たり)

今後の動向ー訪日外国人や世界経済の動向と地価はどうリンクするか

大都市および地方の観光都市への訪日外国人の増加、堅調な住宅需要、金融緩和による不動産投資の拡大などが、地価上昇の要因と考えられています。今回の路線価の上昇率を見ると、大都市の中心部では、昨年と比較すると大きく上昇幅が拡大し、過熱感も否めません。すでに、土地の売買が実勢価格を大きく上回るなど、ミニバブルの様相も呈しているとの声も聞かれます。東京都心部などは、それでも海外の都市よりは割安と見られ、海外マネーによる投資も旺盛とのことです。

しかし、イギリスのEU離脱を端に発した円高や世界経済の不透明感から、訪日外国人や海外の投資マネーが、今後どう変化するのか注目されています。これらが減速すれば、再び地価は下降トレンドを示すことも考えられるでしょう。
一方、世界経済の流れとは関係なく、都市部では再開発ラッシュが続きます。今後も地価は上昇するという声もあり、今後の動向予測は読みづらい局面を迎えています。

先行きの不透明感はありますが、都市部においては、地価は上昇トレンドに入っています。土地活用などタイミングの見極めが難しい状況になってきましたが、アパート・土地オーナーにとっては、相続対策を含めた資産管理・運用をより綿密に計画的に考える必要がありそうです。
路線価の上昇は、将来の土地相続での負担増につながる話です。商業地に限らず、住宅地でもこの3年間で路線価が上昇し、資産評価が高くなったのではないでしょうか。路線価は国税庁のホームページで調べることができますので、確認するとよいでしょう。

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