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平成29年「基準地価」、商業地10年ぶりに上昇!

市場動向

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2017年10月 3日

平成29年「基準地価」、商業地10年ぶりに上昇!

国土交通省から、7月1日時点の基準地価が発表されました。1月1日時点の公示地価、路線価では地価上昇トレンドが勢いを増し、地方中核都市も上昇、東京都心ではバブル再来との見方もあります。それから半年、地価はどうなったのか? 三大都市圏の地価動向を見ていきます。

京都上昇が加速、地方中核都市の上昇も続く

今回の基準地価では、商業地の全国平均が0.5%上昇しました。昨年はほぼ横ばい(0.005%上昇)で、上昇は10年ぶりのことです。公示地価や路線価はすでにプラスに転じていましたので、基準地価もそのトレンドを受けての上昇となりました。住宅地の全国平均はまだマイナスですが、下落幅は8年連続で縮小しています。

三大都市圏の商業地は依然好調で、上昇幅も年々大きくなっています。今回は、訪日外国人で賑わう大阪、京都が含まれる大阪圏が4.5%の上昇を示しました。全国の商業地で上昇率トップ10のうち京都が5カ所も入ったことが大きいでしょう。住宅地は、プラスで推移しているものの、この数年間横ばいです。商業地が伸びた大阪圏も、住宅地は3年連続0%で横ばいです。

また、グラフを見ても明らかなように、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)は、三大都市圏と比べても、この数年大きな上昇を続けています。商業地で7.9%の上昇と、三大都市圏の3.5%を大きく上回りました。住宅地でも2.8%上昇です。日本銀行の大規模金融緩和による超低金利を背景に大都市圏に流れていた投資資金が、地方四市にも流れているようです。地方四市の共通点は、三大都市圏同様、訪日客の増加によるホテルや商業施設の開発の増加です。九州最大の繁華街、福岡・天神では、建物の高さや容積率を緩和する「天神ビッグバン」プロジェクトが11のエリアで始まっています。

■基準地価の変動率推移

東京圏の動向ー最高基準地価バブル超え、住宅地は城東エリアが上昇

全国で最も高い基準地価となったのは、12年連続の銀座2丁目「明治屋銀座ビル」です。1平方メートルあたりの地価は3,890万円。公示地価の「山野楽器銀座本店」、路線価の「鳩居堂前」に続き、バブル期のピークを超えました。この数年の都心の地価上昇トレンドからすると、想定内と言えるでしょう。

今年、銀座で大きな話題となった再開発は、松坂屋跡地にできた銀地6丁目の「ギンザシックス」です。東京圏の商業地変動率のトップで21.8%と大きく上昇しました。ギンザシックスには観光バスが乗り入れられるツーリストサービスセンターが併設され、訪日外国人を含め観光拠点となっています。4月の開業以来、集客も売上も順調のようで、地価上昇を牽引しています。
その他、東京都の商業地変動率は全てのエリアで昨年を上回っています。特に銀座を含む区部都心部は7.1%の上昇でした。

東京都で、変化が見られたのが住宅地です。これまで、都内の上昇率でトップ10に入っていた千代田区、中央区、港区の地点がなくなり、上昇率がトップとなったのが南千住6.3%、次いで西日暮里6.1%です。その他トップ10には北区中里、足立区綾瀬が見られます。南千住などは駅前も再開発が続き、イメージも一新されています。
都心3区の住宅地は価格が高止まりし、その分地価の割安感があり都心への交通の利便性が比較的良い周辺エリアでのマンション開発などが盛んなようです。

■東京圏(東京都・神奈川県)の地域別変動率 (単位%、カッコ内は前年)

■東京圏住宅地

※国土交通省「土地総合ライブラリー」より 詳細はコチラ

■住宅地変動率上位ー東京圏(単位%) ■住宅地変動率上位ー多摩地区(単位%)

名古屋圏の動向ー商業地最高価格、大阪市を抜く

2027年のリニア中央新幹線開通へ向けた再開発が進み、全国でもいち早く地価が上昇した名古屋駅周辺。一昨年は45.7%、昨年は32.3%も上昇した地点がありました。そこからは落ち着きはしましたが、それでも「名駅古川ビル」の上昇率は28.8%で、全国でも3番目の上昇でした。
また、同ビル近くの愛知県最高価格の「大名古屋ビルヂング」は15.4%上昇し、1平米あたり1,500万円となり、大阪の「グランフロント大阪」を抜きました。これにより、都道府県庁所在地別の最高価格で、名古屋市が大阪市を5年ぶりに抜き全国3位から2位に浮上しました。

名駅東地区には、今年4月に「JRゲートタワー」「JPタワー名古屋駅」が全面開業し、オフィスもほぼ埋まり賑わいを見せています。地価上昇は名古屋駅周辺の栄、伏見、丸の内に広がりを見せています。

住宅地は名古屋市で1.4%の上昇で、上昇率自体はさほど高くはありませんが、中区、東区でマンションの売れ行きが好調とのことです。変動率上位 5 地点全てを名古屋市の地点が占めました。
また、愛知県内の市町村別で見ると住宅地の平均価格が上昇したのは30市町、下落が19市町村、横ばいが5市町でした。

■商業地変動率上位ー名古屋圏(単位%)

■名古屋圏住宅地

※国土交通省「土地総合ライブラリー」より 詳細はコチラ

大阪圏の動向ー上昇率トップは京都、インバウンド効果続く

赤い鳥居がトンネルのように立ち並ぶ「千本鳥居」で有名な京都伏見稲荷大社。この付近の地点が、全国商業地の上昇率トップで29.6%でした。この他にも全国変動率トップ10には、祇園など5カ所がランクインしています。都道府県別に見ても全国で京都が1位となり、これまで2年連続1位だった大阪は2位になりました。
訪日外国人の増加が続く京都の中心部ではホテルの開発ラッシュが続いています。ただ、京都は建築規制が厳しい中、小規模な宿泊施設や店舗の開業も多く、街並みが変わってきているという声も聞かれているようです。

大阪の商業地ではミナミの「クリサス心斎橋」が29.1%上昇。全国上昇率で2位です。大阪の訪日外国人は、今年初めて年間1,000万人を超えると予測されていて、インバウンド効果は今後も続きそうです。
一方、最高価格の梅田「グランフロント大阪」の上昇率は昨年の20.0%から10.6%と大きく鈍っていて、そろそろ頭打ちのようにも見えます。

住宅地は、大阪府が4年連続で0.0%と横ばいでしたが、その中で北区は5.1%、福島区は3.7%と高い伸びを示し、マンション建設が目立ちます。
商業地で堅調だった京都は、住宅地では京都府で0.3%下落。京都市は1.0%と上昇率が拡大しましたが、府北部や南部などでは過疎化が深刻で地価は下落しています。

■商業地変動率上位ー大阪圏(単位%)

■大阪圏住宅地

※国土交通省「土地総合ライブラリー」より 詳細はコチラ

訪日外国人効果は今後も続く。住宅地は都心に近い城東エリアが人気に。

地価上昇の要因の一つは訪日外国人の増加です。直近のデータによると、今年1月〜8月の訪日外国人の推計は約1,891万人で、昨年と比べて17.8%もの伸びを示しています(日本政府観光局)。訪日外国人の増加に伴い、ホテルや商業施設の開発が三大都市圏のみならず、地方の中核都市にまで及び、地価を押し上げています。

また、先頃日銀は大規模な金融緩和政策を維持することを決めました。この政策により投資資金が不動産に流れ込んでいるのも地価上昇の一因とも見られています。投資マネーは海外からも流れていて、ギンザシックスのオフィス部分の権利を米投資ファンドが200億円以上で買い取ったという報道もありました。

東京都心部はバブルの様相を呈していますが、2020年東京オリンピックまでは地価が下がる要素は見当たらないともいいます。一方、東京都心は高値で推移していることもあり、今回は京都・大阪に投資マネーが流れ込んでいることが地価の上昇からも見て取れます。不動産投資の観点でよく聞かれるのが、海外との比較です。海外の主要都市と比べれば、まだまだ日本は収益性が高いといいます。今後も東京、大阪、京都はもちろん、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)へも投資マネーは流れていくものと思われます。

住宅地は、東京での現象が状況をよく表しています。つまり、都心3区は値段が天井に近づき、これまで地価が安く都心に近いエリアに開発がシフトしています。商業地は一旦火が付くと天井知らずになることもありますが、住宅地は地価が上がりすぎると個人では手が出なくなります。今後も、城東エリア(台東区、荒川区、墨田区、江戸川区、江東区)への人気が高まり、再開発が進むと思われます。

土地オーナーにとって、地価動向は相続税への影響もありますので、気になるところですが、外部要因も含めた経済動向、地価動向に注視したいところです。

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