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2023年春、コロナ収束後の家賃は上昇傾向

市場動向

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2023年5月25日

2023年春、コロナ収束後の家賃は上昇傾向

ようやくコロナも収束の兆しを見せた、2023年春の繁忙期の家賃動向が、不動産情報サービスのアットホームから発表されました。昨年あたりから家賃相場の回復傾向は見られましたが、今年はさらに上昇基調の強さが見て取れます。またエリアのニーズは郊外人気が定着する一方で、都心回帰も見られます。2023年繁忙期(1月~3月)の最新家賃動向を見ていきたいと思います。

東京圏-都心も郊外も家賃は上昇基調

2023年繁忙期(1月~3月)は、どのタイプも大幅な回復基調を見せています。
コロナ禍では郊外人気により、ファミリー向けを中心に郊外の家賃上昇が目立ちました。一方、都心のシングルはやや低調でしたが、ここにきて都心回帰の動きも見られ家賃も回復してきました。
今の賃貸市場にはコロナの影響はほとんどなく、インフレが大きな影響を及ぼしていると言えるでしょう。一般的にはインフレになると、遅れて家賃も上昇すると言われています。建築費が上がれば家賃も上げざるを得ませんし、分譲マンション価格は依然高騰していますので、ファミリー層が賃貸に流れているのも家賃上昇の要因の一つだと思われます。
エリアごとに今春繁忙期の家賃動向を見ていきます。

■東京23区-ファミリーが好調、シングルも復調

2023年3月の平均家賃は、全面積帯で前年同月比を上回りました。
特にファミリー、大型ファミリーは昨年の夏ごろから大きく上昇し、コロナ前の家賃指数も大幅に超えています。2022年度の東京23区の分譲マンション平均価格は9,899万円と1億円に迫り(不動産経済研究所調べ)、今も高騰を続けています。賃貸市場にもその影響が出ていると思われます。
カップルも今年の繁忙期は好調で4カ月連続で上昇、2015 年1 月以降最高値を更新しました。 
心配されていたシングル向けは、コロナ前の水準には戻っていないものの、今年に入って上昇傾向が見られます。経済活動の正常化に伴い、一部都心回帰が見られるようです。

【東京23区】マンション平均家賃指数の推移

■東京都下-郊外人気も後押し、全面積帯で堅調

東京都下の家賃指数は2015年以来低迷が続いていましたが、コロナ禍での郊外人気に後押しされ、昨年から家賃指数は100を超えるようになってきました。
カップル、ファミリー、大型ファミリーは昨年から上昇を続けています。平均家賃2023年3月の前年同月比はカップル4.8%、ファミリー6.8%上昇し、共に2015年1月以降で最高値となりました。シングルは3月下落したものの、コロナ前の水準は超えています。

【東京都下】マンション平均家賃指数の推移

■神奈川県-カップル、ファミリー堅調に推移

神奈川県では大型ファミリーがコロナ禍に入ってから上昇し、本厚木駅が「LIFULL HOME'S」の「借りて住みたい街」のランキングで1位になるなど、郊外人気を象徴するエリアもあります。2023年3月の平均家賃は全面積帯で前年同月比を上回りました。
特にカップル、ファミリーは2015年1月以降最高値です。今年に入ってからも家賃は連続して上昇しています。

【神奈川県】マンション平均家賃指数の推移

■埼玉県-ファミリーの平均家賃は前年同月比で9.9%上昇

コロナ禍に入ってから全面積帯の家賃指数は100を超え、昨年から上昇トレンドが顕著になり、今年に入ってからも上昇基調は衰えていません。
こちらも郊外人気の影響か、大型ファミリー、ファミリー、カップルが強く、平均家賃の前年同月比は上昇、特にファミリーは9.9%の上昇で家賃は9,309円もアップしています。シングルが、今年に入って下落していますが、コロナ前の水準は超えています。

【埼玉県】マンション平均家賃指数の推移

■千葉県-カップル、ファミリー上昇トレンド衰えず

2023年の公示地価では東京圏住宅地の変動率ベスト10のうち8地点が千葉県でした。神奈川県同様、コロナ禍になって家賃は上昇し郊外人気を表しています。今年に入っても上昇基調は衰えず、大型ファミリー、ファミリー、カップルの2023年3月の平均家賃は全面積帯で前年同月比を上回り、2015年1月以降最高値となりました。
シングルが埼玉県同様、今年に入って軟調です。コロナ前の水準は上回っているものの、都心回帰の影響が出ているのかもしれません。

【千葉県】マンション平均家賃指数の推移

名古屋市、大阪市-全面積帯で家賃は上昇

職住環境が、東京圏とは少し違いますが、平均家賃は名古屋市、大阪市ともに今年の繁忙期で、さらに上昇しています。

■愛知県名古屋市-職住近接、シングルが堅調に推移

職住が近接している名古屋市では、シングルの家賃指数が一番高く、他の大都市圏にはない家賃相場です。昨年繁忙期を過ぎてから上昇を初め、今年の3月は前月比で若干下落したものの、前年同月比では上昇しています。
その他の面積帯も今年に入って、一段と上昇基調が強くなっています。カップル、ファミリーは2015年1月以降最高値です。

【愛知県名古屋市】マンション平均家賃指数の推移

■大阪府大阪市-三大都市圏の中で最も上昇基調が強い

大阪市では全面積帯で平均家賃の前年同月比が3%以上上昇し、三大都市圏の中では最も上昇基調が強いエリアとなりました。特に大型ファミリーは前年同月比12.7%、ファミリーは9.5%の上昇です。差額家賃でいうと大型ファミリー26,894円、ファミリー11,349円ものアップになります。
また、東京23区や名古屋市のようにシングルが好調なのも特徴的でコロナ禍からの経済回復の影響も要因の一つと思われます。

【大阪府大阪市】マンション平均家賃指数の推移

今後の家賃動向予測

もはやコロナ禍の直接的な影響は賃貸市場にはありませんが、コロナ禍で生まれたライフスタイルや価値観は一定の割合でニーズとして定着するでしょう。コロナが収束に向かい、在宅ワークから出社に戻っているようですが、業種によって在宅ワークは定着すると思われますし、郊外人気も衰えないと思います。賃貸市場にとってはエリアのニーズが広がり、市場の活性化が期待できます。

今後は、インフレの影響に着目する必要があるでしょう。分譲マンション価格もしばらくは上昇が続くと見られているようですが、そうなると家賃相場もファミリー向けを中心に上昇していくと考えられます。
様々な経済動向や周辺環境に留意し、今後も家賃動向への影響を探っていきたいと思います。

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