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入居者ターゲット別にニーズを見極める

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2015年11月17日

入居者ターゲット別にニーズを見極める

一言で入居者といっても、そのニーズはさまざまです。年齢層や性別などによっても間取りや設備のニーズが違い、近年ではその入居者層が多様化しています。入居者はどんな層に分けられるのか、また、それぞれの入居者層のニーズはどんなのがあるか。それらを見極めながら、プランを設計したり、設備投資やリフォーム計画を立てることが、長期安定経営につながります。

入居者ターゲットを細分化する

単身者かファミリーか、学生か社会人か、といった入居者ターゲットの分け方だけでは、最近の細かい入居者ニーズを見極めることはできません。まずは、どんな入居者層が存在するのか、属性、性別、年齢、ライフスタイルなどをポイントに細分化してみました。
ここに細分化しただけでも9通りの入居者ターゲットがあります。中には、間取りや設備が共通するものもありますし、さらに細分化ができるものもあります。まずはこの9つの入居者ターゲットのニーズについて見ていきたいと思います。

■入居者ターゲットの細分化

賃料最優先から設備重視まで、学生も二極化【単身者ー学生】

まず学生を見ていきます。
2014年度の首都圏新入生(大学・専門学校)の平均家賃は55,334円、管理費込みで57,986円です(大学生・専門学校生のための物件情報サイト!「学生ウォーカー」調べ)。この家賃で都内近郊で物件を探すと、人気駅から1〜2駅外れた駅の、築年数が古く、3点ユニットの狭いワンルーム、人気の駅であれば、徒歩10分以上の立地になります。

学生入居者の希望家賃は特にリーマンショック以降、下落傾向にあります。学生向けの賃貸住宅は、まず家賃が最大のポイントになります。学生の他に、入居者ターゲットでこの家賃相場にマッチするのは、社会人の20代前半くらいになるでしょう。この家賃相場の物件は、市場全体から見ると、競争が激しく優位性を見出すのは難しくなります。

ただし学生といっても、医大生や音大生、女子学生となると、家賃の相場も違ってきます。先の調査でも8万円以上の学生も僅かですが2.4%ほどいます。その場合は、家賃よりも設備・仕様が重要なニーズになります。例えば、医大生は資料が多いから広めの部屋が必要だとか、音大生は防音性を重視するとか、女子大生はセキュリティを重視するといったニーズです。

学生が物件を選ぶポイントの一つは、通学の便が良いかどうかですが、最近では毎年のように大学移転のニュースがあります。ひと頃、大学は郊外へ移転していましたが、今はその逆で、都心回帰が起こっています。2016年度の主な大学移転を並べると、大妻女子大学が今年埼玉県狭山市、来年多摩から半蔵門の千代田キャンパスに学部を移転、杏林大学が八王子から三鷹に大学・大学院を移転、東京理科大学経営学部が埼玉県久喜市から神楽坂に移転などがあります。どれも数千人単位の学生や職員が移動することになりますので、周辺の賃貸市場にも少なからず影響は出てくるでしょう。

学生入居者は賃料重視だが、学部や男女によっては、家賃より設備・間取りを優先するなど二極化している。大学の都心回帰で、賃貸市場も大きく変化することに注意する。

社会人も年齢によってニーズが違う【単身者ー社会人】

単身社会人は近年、20代、30代、40代と幅広いターゲット層が形成されています。年代の違いは、経済力の違いでもありますので、求める家賃の上限や設備などのニーズが分かれてきます。

20代前半は、まだ経済的にも余裕がなく、家賃相場も学生プラスアルファといったところです。そこで、注目すべきは30代以上です。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、単身世帯は一般世帯が減少に転じる2020年以降も増えて2030年まで増加するとされ、特に30代は、家族世帯と比べ単身世帯の割合が上昇していくと予想しています。

30代になると、大概は経済的にも余裕があり、賃貸住宅暮らしも経験豊富で住まいにもこだわりがあり、多様なニーズを形成しているのが特徴です。
この層をターゲットとした新築物件では、分譲マンション並の設備が整っています。オートロック、TVモニター付インターフォン、二口コンロのシステムキッチン、浴室乾燥機、温水洗浄便座などです。さらに競争力を付けるとすれば、ウォークイン・クローゼットや宅配ボックスなどの設備でしょう。特に宅配ボックスは賃貸住宅ではまださほど普及していないので、不動産会社もアピールしやすいといいます。

そして、30代女性の場合に、アピールできるのがセキュリティです。一般的な設備に加え、防犯カメラやホームセキュリティなど分譲マンションと同クラスのセキュリティが求められています。さらに、差別化を図るには、「あんしん感」をカタチにすることです。弊社の調査では、入居者の防犯に対する安心感を高めるのは設備だけではなく、入居者同士のゆるやかなコミュニティから得られる「あんしん感」が大切だということが分かってきました。直接のコミュニケーションは避けたいが、住人同士の顔が分かり、出会えば挨拶をするくらいの関係に安心を感じる層が多数存在することが分かったのです。

この「あんしん感」をカタチにした防犯強化賃貸住宅「ヘーベルメゾンNew Safole」は、バックナンバーで詳しく紹介していますので、ご参考にしてください。
マンスリーレポート「設備+"あんしん"で防犯機能を強化する最新賃貸とは?

社会人は20代と30代男性、女性にターゲットが分かれ、それぞれに多様なニーズを展開する。注目は30代男性・女性。特に女性は、防犯強化賃貸住宅に高いニーズがある。

ファミリー層は、新婚か子育て世帯【ファミリーー新婚・子育て世帯】

今、多くのエリアで、供給不足といわれるのが新婚層をターゲットとした広めの1LDKです。40m2以上で、ウォークインクローゼットなどの収納が豊富なタイプが人気です。間取りとしては広い1LDKのほうが好まれるため、築年数の古い2DKを1LDKにリフォームするケースも見られます。また、同じ1LDKでも30m2後半のタイプは、30代社会人に人気がありますが、一部のエリアではすでに30m2後半の1LDKタイプは供給過剰との声も聞かれます。エリアの供給状況には注意が必要です。

もう一つファミリー層で注目なのが、子育て世帯です。最近は、乳幼児のいる子育て世帯で、住まいに対して新しいニーズが見えてきました。人間関係が希薄な都市部での子育ての不安や悩みを解消するため、入居者や地域をも巻き込んだコミュニティが求められているというのです。そのためには、間取りや設備などにも、ちょっとした工夫が必要です。お母さん同士が気兼ねなくコミュニケーションが取れるよう、中庭に面してリビングと玄関が配置されていたり、気軽に集まれるスペースを設けたり、さらに、コミュニケーションを活性化させるイベントをしかけたりなど、配慮された子育て世帯専用の賃貸住宅が人気を集めています。

お母さんステーション/中庭に面したリビング/土間空間

子育て世帯に特化した子育て共感賃貸住宅「母力」は、バックナンバーで詳しく紹介していますので、ご参考にしてください。
マンスリーレポート「キャンセル待ちが出る、子育てコミュニティ賃貸住宅

今、多くのエリアで必要とされているのが1LDKの間取り。30代単身社会人から新婚まで、幅広いニーズがある。また、子育て世帯には独特のニーズがあり、コミュニティのある賃貸住宅が最近は人気。

ペット共生には確かなニーズ、今後は高齢者にも注目

ファミリー層では、ペット共生も昔から高いニーズがあります。管理面の煩雑さから賃貸オーナーは敬遠しがちですが、どのエリアでも必ずといっていいほどニーズはあります。
供給数が少ないことから、常により希望にあった物件を探す層があって、ペット専用の賃貸紹介サイトや口コミサイトなどでは、優良物件はキャンセル待ちが出るといいます。
また、ペット中心のライフスタイルを求めているので、公園など散歩コースが近い立地であれば、駅からの距離は問われないといいます。

ペット共生物件のポイントはコミュニティと管理です。空き部屋になったからという理由で、単にペット可にしたものではなく、はじめから全世帯がペットを飼うという前提で、ペットと共生していくというコンセプトが必要になってきます。ペット共生型賃貸住宅では、子育て共感賃貸住宅と同様にゆるやかなコミュニティが形成され、入居者同士がペットを通じて顔なじみになります。このコミュニティが入居者には好評で、中には分譲マンションから引っ越してくる入居者もいるほどです。分譲マンションでは、ペットを飼っている人とそうでない人が混在しています。そしてどちらかというと、ペットを飼っている人が、気を遣いながら生活しているのが実態で、トラブルも多々あるといいます。ペット共生型賃貸住宅には、それがないのが、一番の魅力だと言うのです。
実際に、一般の賃貸住宅に比べてペット共生型賃貸住宅は住まいへの満足度が高いというデータも出ています。

■ペット共生賃貸住宅と一般ペット可賃貸住宅の満足度の比較

管理面ではペット専門の業者に管理を任せるのがベストです。入居時にはペットの審査、入居後もしつけ教室の開催など、専門家ならではのノウハウを生かした管理体制が、トラブル防止のポイントになります。
ペット共生型賃貸住宅「プラスわんプラスにゃん」は、バックナンバーでも紹介していますので、ご参考にしてください。
マンスリーレポート「ゆるやかなコミュニティでペット共生型賃貸住宅が人気!

また、今後は確実に賃貸住宅においても高齢の入居者層が増加すると予想されます。高齢者ニーズもさまざまですが、特に注目したいのが、アクティブシニアと言われる層です。介護の手厚い老人ホームやサービス付き高齢者住宅は増えてきましたが、元気な高齢者向けの賃貸住宅は少ないのが現状です。
駅から遠く広い自宅をもてあまし、駅近くの程良い広さの賃貸住宅へ引っ越すなど、元気な高齢者の潜在的ニーズは今後も増加するでしょう。単身から夫婦まで、アクティブなシニアをターゲットとした賃貸住宅にも今後は注目です。

ペット共生型の賃貸住宅には確かなニーズがあり、駅から遠い立地でも競争力がある。コミュニティの形成と専門の管理体制づくりが入居者満足度アップのポイント。

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