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部屋探しに見る家賃と入居者ニーズ2016

入居者トレンド

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2016年10月18日

部屋探しに見る家賃と入居者ニーズ2016

(株)リクルート住まいカンパニーの「2015年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査(首都圏版)」から、部屋探しの実態を見ていきます。調査によると、入居物件の家賃平均が過去3年で最も高くなるなど、入居者動向にも昨今変化が見られるようです。ニーズは入居者層によっても差があり、それぞれに部屋探しの動向も違います。入居者層ごとの賃貸ニーズを探っていきます。

入居物件の平均家賃が、過去3年で最高に。

「2015年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」は、2015年4月1日から2016年3月の間に入居した、1都3県の入居者を対象に行っています。有効回答数は636サンプル。毎年、(株)リクルート住まいカンパニーが発表しているものです。

今回、特に注目すべきなのは家賃です。入居物件の家賃平均は83,787円と、過去3年で最も高い家賃となりました。2013年度78,755円、2014年度79,633円と年々増加しています。全体の平均家賃の上昇をけん引したのが、「二人暮らし」と「ファミリー」です。
世帯構成別に見ると、二人暮らしの平均家賃が93,959円、ファミリーでは102,519円となっています。二人暮らし・ファミリーともに7万〜10万円未満の家賃帯の割合が最も多いのですが、全体値と比べて特にポイント差が大きいのが、10万〜13万円未満の家賃帯です。つまり、条件さえ合えば、高めの家賃でも十分にニーズがあるということになります。
以前、「増える共働き夫婦に人気の賃貸住宅とは?」でも取り上げましたが、共働きの新婚ニーズが増加していて、この層は経済的にも余裕のある層だと考えられます。その結果が、この調査の家賃にも現れているのかもしれません。

もう一つ家賃の上昇をけん引したのは、「女性社会人」です。最も多い家賃帯は7万〜10万円未満で、男性社会人や学生の一人暮らしと比べても高い家賃帯です。単身社会人も20代と30代では、そのニーズに大きな違いが出ています。30代となると経済的にも余裕ができ、住まいへのこだわりを実現できる年代になってきます。特に女性は、利便性や居室の広さ、セキュリティ設備などにこだわり、多少家賃が高くても入居を決める傾向にあるようです。

ただし、学生や男性社会人に関しては、今回の調査では家賃重視の傾向が見てとれます。学生の平均家賃は59,329円と6万円を切りました。5万円未満の家賃帯も少なくありません。しかし、ボリュームゾーンの家賃帯よりも高い家賃帯の入居者も一定のニーズがあります。学生でも23.5%は7万〜10万円未満。男性社会人は同27.1%で、7万円以上のカテゴリーの合計は39%です。平均値に惑わされることなく、どの層を入居者ターゲットとするのかを明確にし、そのニーズを満たす設備・仕様、家賃設定をすることが大切になってきます。

■入居物件の家賃(管理費除く)

平均家賃が過去3年で最も高い結果に。ファミリー、二人暮らし、女性社会人が、家賃上昇をけん引。他の入居者層でも高家賃帯に一定のニーズがある。

部屋探しに費やす期間は年々早まり、内見数は平均3.1件

インターネットが普及したころから、部屋探しはパソコンやスマートフォンで内見する物件をある程度にしぼって探すようになりました。その結果、部屋探しに費やす期間は年々短くなり、今回の調査では平均22.1日、約8割の人が30日(1カ月)未満で契約しています。

不動産会社への訪問は平均で1.6店舗です。驚かされるのは、「訪問していない」が9.9%もいることです。つまり、10人に1人は一度も不動産会社を訪れずに部屋を決めたということになります。さらに、内見に関しても、0件が10.2%、つまりネットの写真や間取りだけで決めたことになります。
内見0件は2013年の6.1%から年々増えています。内見数の平均は3.1件で、件数別では、1件が17.6%、2件が16.4%、最も多かったのが3件21.7%でした。世帯構成別に見ると、女性社会人が3.4件と最も内見数が多く、男性社会人が2.8件と最も少ない結果になりました。

インターネットの物件紹介では、豊富な写真、周辺の環境などが細かく情報として入手できます。Googleのストリートビューを見れば、駅までの道の様子も分かります。ただ、最近は写真のクオリティが向上し、写真では広い部屋に見えたのに、実際見ると狭かった、というケースもあります。入居者は、自分の目で確認し、納得するために内見しているようです。

■部屋探しの際に見学した物件数

部屋探しの期間は平均22.1日。不動産会社への訪問数は平均1.6店舗。内見の物件数は平均3.1件。部屋を内見しないで決める割合は年々高まっている。

内見動画の希望内容に見るニーズとは?

内見せずに部屋を決めるケースは、今後も増えていくことが予想されます。その際、供給サイドとしてポイントとなるのは物件写真や動画の豊富さです。特に今後は動画です。今でも家賃の高い低いに関係なく、動画が増えてきました。むしろ、築年数の古い物件や低家賃の物件でも、動画でアピールしているケースはたくさんあります。写真よりもリアルに部屋の詳細や雰囲気が分かりますので、ワンルーム程度の部屋数なら、確かに内見は必要ないと思わせる内容です。

調査では、どのような内見動画を希望するかを聞いています。その結果から、入居者のニーズを探ってみたいと思います。
1位は「部屋の中を実際に移動し、動線が分かる動画」、次に「リビング、各居室全体を映した動画」、「キッチンや水回りの設備を稼働させてる動画(例:ガスコンロの火・シャワーの水圧等)」と続きます。
これを踏まえると、実際内見したかのように見えるかどうかがポイントとなってきそうです。「キッチンや水回りの設備を稼働させてる動画」は、実際は厳しいかも知れませんが、それだけキッチン、お風呂などの水回りはしっかりチェックしたいということでしょう。世帯別に見ると、特に「女性社会人」「ファミリー」の支持が高かったという結果が出ています。やはり、水回りの設備・整備は注目度が高く、入居者入れ替えの際には、注意してリフォーム・メンテナンスをしたいところです。
また、「収納スペースの中を映した動画」もポイントが高く、収納設備についても関心の高さが伺えます。

■内見動画で希望する内容

部屋を実際に移動して内見したように見える動画のニーズが高い。できれば、水回りや収納も動画で見せられると良い。

家賃が上がってもほしい設備は?

次に「家賃が上がってもほしい設備」を見てみます。
上位は「エアコン付き」、「追い焚き機能つきの風呂」、「ディンプルキーなどのピッキング対策のカギ」、「TVモニター付インターフォン」、「宅配ボックス」となります。どれも人気設備ランキングでポイントの高い人気設備です。「追い焚き機能つきの風呂」は既存の物件に後付けするのは難しいかもしれませんが、二人暮らし、またはファミリー物件なら、必須の設備でしょう。
また、「宅配ボックス」も利便性が高く、防犯面からも喜ばれる設備の一つ。最近は小型のタイプもありますので、エントランススペースの広さによってはぜひ検討したいところです。

3位の「ディンプルキーなどピッキング対策のカギ」は、もはや必須の防犯設備と言って良いかもしれません。できれば2ロックあると喜ばれます。また、「無料もしくは安価なWi-Fi」も今後は人気が上がりそうです。ケーブルテレビ会社がセットで提供しているケースもあります。宅配ボックス同様、人気があっても設置されている物件は少ないので、設置できれば大きくアピールできる設備です。

■必要な設備や条件における許容範囲

防犯設備はどれも人気が高いので、設備投資して競争力を付けたい。「宅配ボックス」や「Wi-Fi」設備は、まだ少ないだけに、あれば差別化が期待できる。

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