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これから期待の郊外の賃貸ニーズ

入居者トレンド

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2020年3月 3日

これから期待の郊外の賃貸ニーズ

人口減少が大きな課題となる一方で、都心への人口集中は依然続いています。特に、昨今では都心部周辺の郊外など、これまでブランド力がなかったエリアが人気を集めています。人気の街ランキングや人口の流れから、注目の郊外エリアの賃貸ニーズを見てみます。

あこがれの街とリアルに住みたい街の違い

住みたい街ランキングが、さまざまな不動産会社などから発表されています。調査対象やコンセプトの違いから、顔ぶれは若干変わってきますが、首都圏でよく見るのは吉祥寺、恵比寿、横浜。また、関西圏では西宮、神戸といったエリアが、上位の顔ぶれです。
しかし、実際に住むことを想定した場合、買うにしても借りるにしても、かなり高額な費用がかかることを覚悟しなければならず、経済的に余裕のある人に限られます。つまり、あこがれとしての要素がかなり強いといった印象があり、それではリアルな居住ニーズは拾えないという一面もあります。

そこで、今回紹介するのは、入居者がリアルに住みやすいと感じる街をランキングしたものです。その一つが、まず「本当に住みやすい街大賞」です。住宅ローン会社のARUHIが調査したもので、「本当に住みやすい街大賞は、理想ではなく、実際にその地域で"生活する"という視点から」選定したとあり、住環境・交通利便・教育環境・コストパフォーマンス・発展性の5つの基準から選定しています。つまり、あこがれではなく、より多くの人が本当に居住エリアとして考えている人気の街と言えるでしょう。

「本当に住みやすい街大賞」、1位川口、2位赤羽!

では、「本当に住みやすい街大賞」のランキングを見ていきます。上位3つは、1位「川口」、2位「赤羽」3位「たまプラーザ」です。「たまプラーザ」は別として、これまではあまり見かけなかった、「川口」「赤羽」がトップ2です。

川口が特に評価されたのが発展性。再開発が進行中で2023年に駅前にタワーマンションが完成します。家賃など居住費は、埼玉県の大宮、浦和よりも都心に近いわりにリーズナブル。新宿まで25分、主要駅にも乗り換えなしで行けます。かつての川口は工業エリアのイメージがありましたが、今では街並みも明るく、商業施設も充実、公園も多くファミリー層にとっても環境がよいということです。

赤羽は、川口より一つ東京寄りの駅。人気の理由は、なんと言っても交通の利便性、6路線が利用可能で、東京駅へは約20分、新宿駅へは約15分です。大きな商店街もあり、子育て支援が手厚く、活気のある街です。下町のイメージがむしろ高評価で、「利便性が良く、庶民性もある"NEXT吉祥寺"にふさわしい街」と評価されています。

その他のベスト10ランキング内も、ほとんどが郊外のイメージの強い街です。スーモ、ライフルホームズの住みたい街ランキングも合わせて掲載しましたので、比べてみてください。
ちなみに関西の「本当に住みやすい街大賞」1位は「尼崎」。かつては「工業の街」のイメージが強かったのですが、再開発で街の表情は一変し、都心へのアクセスの良さから、人気があります。

住みたい街ランキング

これまで「住みたい街ランキング」で見かけなかった郊外の街が、再開発でイメージが一新され、人気の街に生まれ変わっている。

東京は多子化!?人気の街のポイントは"共働きと子育て"!

少子化が大きな社会問題となっていますが、実は東京都に関して言えば、15歳未満の子どもは増加し続けていて、少子化ではなく多子化と言える状況です。東京は大人と共に、子どもも人口が増えているのです。ニッセイ基礎研究所のレポートによると、子どもの増加は出生率との因果関係はなく、女性人口の増加によるものとしています。では、なぜ女性人口が増えるのか、それは大卒、高卒を含め女性の仕事があるからだと分析しています。以前のマンスリーレポートでも、今は共働き世帯が増加しているというデータを示したことがありましたが、首都圏では、よりその傾向が強まっていくと思われます。

では、次に「共働き子育てしやすい街」ランキングを紹介します。これは、働くママとパパを支えるWEBメディア「日経DUAL」が調査したもので、全国162の自治体が対象です。その中で、首都圏の自治体をピックアップしてランキングしてみました。評価の大きなポイントは、やはり保育ニーズへの待機児童対策です。その他にも、補助金やサービスなど細かい項目で評価しています。

「共働き子育てしやすい街ランキング」、1位葛飾区、2位松戸市

1位は「葛飾区」。2017年25位、2018年8位、そして今回1位と大躍進です。待機児童も少なく子育て支援が充実しています。人気の街は、亀有、新小岩、金町、お花茶屋、堀切菖蒲園等。どこも下町のイメージが強いですが、家賃のコストパフォーマンスや気取らない街並みが人気の理由です。

2位は「松戸市」。松戸市では市内全23カ所の駅前や駅の中に小規模保育施設を設置し、2017年時点では「2年連続 待機児童ゼロ」を達成しています。その他、放課後児童クラブは夜の7時までの預かりと、サポートがかなり充実しています。松戸駅はショッピングビルやモールが充実した繁華街です。

その他ランキングの中には、福生市、板橋区、厚木市、足立区といった郊外の街や下町が多いのが分かります。どの自治体も人口減少は死活問題で、子育て支援に力を入れるのも分かります。都心部でいうと、かつて豊島区が消滅可能性都市として名指しされました。2014年のことでしたが、今では子育てしやすい街にもランキングされていますし、ライフルホームズの「借りて住みたい街」では1位になっています。「女性にやさしいまちづくり」をコンセプトに街づくりをし、活気を取り戻したようです。各自治体は、女性や子育てに力を入れた街づくりを推進しているようです。

■共働き子育てしやすい街ランキング2019(首都圏のみ)

街の将来は、子育て世代の増加がカギとなるため、自治体も助成に力を入れている。子育てしやすい街は、今後も人気が高まることが予想される。

転入超過の注目エリア、さいたま市、川崎市

東京一極集中が話題になりますが、その他の都市はどうなのか、最後に人口の転入超過数で全国上位20位までを見てみます。

3位にさいたま市、4位に川崎市、どちらも人気のエリアです。さいたま市は大宮を中心にさいたま新都心として再開発が進み大宮や浦和が人気です。川崎市は、冒頭で紹介した川口と似ていて、かつては工業都市のイメージでしたが再開発や子育て支援でイメージが一新。今は人気のエリアです。
その他、20位まで見ても、ほぼ首都圏の郊外です。8位から11位まで千葉の都市が4市並びました。船橋も人気が急上昇した街です。人気の街、吉祥寺のある武蔵野市がランキングに入っていないことが意外ですが、その周辺の八王子市や西東京市がランキングしています。

都心に近い郊外への転入超過が進んでいます。都心へのアクセスも良い郊外は、元々ポテンシャルがあり、再開発などで街のイメージが一新されることで、一気に住まいとしてのニーズが高まっているのです。今後も、今回紹介したランキングにある郊外の街は、街の発展とともに賃貸ニーズの高まるエリアとしても期待が持てます。

■転入超過数の多い上位20市町村(2019年)

郊外にも人口の流入が進み、街が活性化している。今後も賃貸ニーズとして期待できる。

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