HOME > アパート経営・土地活用の知恵袋 > マンスリーレポート > 税務・確定申告 > 消費税とアパート経営-その扱い方は?
アパート経営・土地活用の知恵袋
マンスリーレポート 最新情報をレポートします

消費税とアパート経営-その扱い方は?

税務・確定申告

タグ :

2013年10月15日

消費税とアパート経営-その扱い方は?

ついに消費税増税が決定しました。2014年の4月1日より、消費税は8%となります。これによって、アパート経営をする上で気を付けなければならないことは何か? 何に消費税がかかって、何がかからないのか。また、経理上は消費税をどう扱えばよいのか。基本的な消費税のあれこれについて解説します。

アパート建築、リフォーム、大規模修繕、設備投資は課税対象

消費税増税によってアパート経営に大きな影響を与えるのは、まず建築費です。

一般的には、2014年4月1日以降に購入するものについては、消費税が8%になりますが、建物の建築など契約日から引き渡しまで時間がかかるものについては、経過措置がありました。8月のマンスリーレポートでもお伝えしましたが、9月末までの契約であれば、引き渡しが2014年4月1日以降でも消費税は5%のままでした。しかし、その経過措置は終わりました。もちろん、これからの契約でも、2014年の3月末までに引き渡しが終われば消費税は5%のままですが、これは現実的には難しいでしょう。今後建築するアパートに関しては、負担増は避けられません。

次に大きなものといえば、リフォーム・リノベーションです。空き室対策のため、2DKを1LDKにするなどの間取り変更は、費用と工期を要します。今後は駆け込み需要の影響もあり、着工や工期そのものが大幅に遅れることも考えられます。
また、外壁の塗り替え、屋根の防水などの大規模修繕も費用と工期がかかります。こちらも、駆け込み需要の影響を受けて、需要が増すことは必至です。

まだ来年の4月までは半年ほどありますが、3月末までに工事が完了しなくてはいけないことを考えれば、いずれも早めの対応が得策といえます。

リフォーム・リノベーション、大規模修繕などの工事で、消費税5%を適用したい場合は、2014年の3月末までに工事が完了しないといけないため注意!

居住用の家賃は非課税、事務所・駐車場は課税対象

アパートの建築については消費税がかかりますが、家賃は非課税です。この他、土地の譲渡・貸付(地代等)、切手・印紙なども、非課税取引となっています。
もう少し細かく見ると、賃貸経営に関しては課税と非課税が混在しています。住居としての家賃は非課税なのですが、事務所の家賃は課税対象となります。整理してみましょう。

■非課税対象
 ・居住用の家賃
 ・居住用賃貸の共益費、礼金・敷金
 ・駐車場賃料(アパートに付随したもので契約が一緒になっている場合)

■課税対象
 ・事務所、店舗、工場・倉庫の家賃
 ・事務所、店舗、工場・倉庫の礼金、共益費、敷金のうち返還しないもの
 ・駐車場(アパートに付随しない単独契約の駐車場。アパートの駐車場でも契約が別になっている場合)

つまり、一般的な居住用のアパートの場合は、家賃を含めほとんどが非課税です。
一方、事務所など商業利用の場合は課税対象ということです。また、駐車場は原則課税対象です。しかし、アパートの入居者用に貸し出し、契約も一緒の場合は非課税の対象となります。

一般的な入居者を対象としたアパートでは家賃、またそれに付随する礼金・敷金、共益費は非課税。商業利用の事務所や店舗は課税対象。

売上で得た消費税は経理上どう処理するのか?

では、アパート経営の他に駐車場経営もしていて、消費税を得た場合、その消費税はどう扱うのでしょうか。
消費税は、売上と仕入れにかかった消費税を相殺し、納税することになります。

(課税売上で得た消費税) ー (課税仕入れで支払った消費税) = 納税する消費税

ただし、消費税を納税する義務が生じる課税業者は、1年間の課税売上が1,000万円を超えた場合で、1,000万円以下は免税業者となります。免税業者の場合は消費税込みの金額で経理処理することになります。つまり、売上は消費税込みで計上し、仕入れも消費税込みで計上していきます。アパート経営の場合、設備投資などに消費税がかかりますので、消費税込みの金額を必要経費として計上します。

また、一階がコンビニなどの店舗併用マンションの場合は、店舗の家賃は課税対象となりますが、年間の家賃が1,000万円以下であれば、免税業者となりますので消費税の納税も、経理上も消費税を扱う必要はありません。
ただし、課税売上はすべての事業の合計となりますので、店舗以外に、コインパーキングを経営していたり、物販をしていたりすれば、それらの課税売上を合算して1,000万円以下かどうかを判断することになります。

消費税は、売上と仕入れを相殺し納税。ただし、課税売上が、年間1,000万円以下の場合は免税業者として納税しなくてもよい。

果たして消費税 10%は実施するのか!?

消費税の増税は、2015年10月1日に消費税10%とすることが、社会保障と税の一体改革に明記されています。もちろん、今回と同じように景気判断を仰いだ上でということになります。
政府は7年後の東京オリンピックの年に財政収支を黒字にすると目標を立てています。しかし、内閣府の試算ではそのためには消費税を15%にしないと困難としています。財政再建の方法は消費税増税だけではありませんが、それほど日本の財政は逼迫しているのです。世界市場は、特に日本の財政再建に注目していて、消費税増税を実施しないと財政再建に本気でないとみられ、日本の信頼が大きく失墜してしまう懸念もあります。

今の消費税5%から10%への増税を考えると、日常生活においてはかなりの負担です。アパート経営に関していうと、これまで見てきたとおり建築費や修繕費などに大きな負担が増すことになります。しかも、それを家賃に反映することはできません。

アパートの建築やリフォームに関しては、今回同様、経過措置があります。「工事の請負に係る契約」に関しては、2015年3月末までに契約を済ませておけば、消費税は2015年10月1日以降の引き渡しでも、8%が適用されます。

8月のマンスリーレポートでもお伝えしましたが、消費税増税に加えアパート建築費のアップも予想されています。特に今後は、東京オリンピック・パラリンピックの準備の影響で、建設業界全体の人手不足が懸念されています。アパートの建築計画は、タイミングがますます重要になってきそうです。

次の消費税増税(2015年10月1日)にも備え、経営環境に注意しながら、計画的なアパート経営を実施すること。特に建築計画はタイミングが大切。

土地活用・アパート経営の資料プレゼント

セミナー・イベント情報を見る

窓口・WEB・電話で相談する

▲ページトップへ

マンスリーレポートトップへ