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アパート経営の節税対策-所得控除編-その2

税務・確定申告

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2016年2月 2日

アパート経営の節税対策-所得控除編-その2

前回に続いて、所得控除の解説をします。所得控除の中には、節税対策として有効なものもあります。また、税制が改正されやすいところですので、今後予定されている税制改正動向も踏まえながら解説します。

社会保険料控除、60歳以上でも国民年金基金に加入できる

社会保険料控除は、サラリーマンの場合は会社で処理されますので、ほとんど意識する必要はないでしょう。賃貸経営専業、つまり個人事業主の主な社会保険料の内訳は次の通りです。大きく分けると健康保険関係と年金関係です。従業員がいる場合は労災保険も加わります。支払った分は全額、社会保険料控除になります。

・国民健康保険料
・介護保険料
・後期高齢者医療保険料
・国民年金保険料
・国民年金基金の掛け金
・確定拠出年金の掛け金

社会保険料は、自分と生計を一にする家族の分を支払った場合も、この社会保険料控除に加えることができます。家族は配偶者や子どもだけではなく、生計を一にしている親の後期高齢者医療保険を支払っている場合は、それも加算できます。

また、個人事業者が国民年金に加えて加入する国民年金基金ですが、平成25年4月から、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方も加入できるようになりました。任意加入とは、通常、国民年金の払い込みは20歳から60歳までの40年間ですが、諸事情で払わない期間があり、年金受給権がない場合や年金額を増やしたい場合に、65歳まで払い込むことができる制度です。それに合わせて、国民年金基金も65歳まで加入することができます。保険料は全て所得控除になりますので、節税メリットが期待できます。国民年金基金の掛け金の上限は、月額6万8,000円、年間で81万6,000円です。

社会保険料控除は、自分と生計を一にする家族の分の合計。親の後期高齢者医療保険も対象になる。また、国民年金に任意加入している場合は、60歳以上65歳未満でも国民年金基金に加入できる。

節税効果の高い小規模企業共済とは

小規模企業共済制度は、賃貸オーナーのような個人事業主にとって節税対策としても、相続税対策としても人気で、高い効果が期待できます。

小規模企業共済制度は、個人事業主の退職制度と呼ばれています。個人事業主や小規模企業などの会社役員が廃業・退職した際に共済金が支払われます。
掛け金の上限は月7万円、年間84万円です。全額所得控除の対象となりますので、国民年金基金同様、大きな金額です。また、共済金は、中途解約しない限りは、掛け金を下回りません。65歳以上の方で15年以上加入した場合、または廃業した場合で共済金を一括受領するときは、退職所得として所得税が課税されますが、通常の所得税に比べて大きな所得控除を受けることができます。

賃貸経営の場合、廃業のケースはほとんどないと思われますが、共済金を受け取ることなく死亡した場合は、「退職手当金等」として相続財産になります。この場合、「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。法定相続人が4人いれば、2,000万円です。これは、生命保険とは別の非課税措置です。相続税対策としても、節税効果が高いといえるでしょう。

小規模企業共済制度は、節税対策としても相続対策としても効果が高い。

配偶者控除は今後の税制改正動向に注目

次に家族の扶養に関する控除を解説します。
まず、子どもについては前回のマンスリーレポートでも述べたように、平成23年度に中学生以下の子どもの「年少扶養控除(控除額は、所得税38万円、住民税33万円)」が廃止、さらに年齢が16歳以上19歳未満の人に対する扶養控除について上乗せ部分(25万円)が廃止されました。これは子ども手当の支給の代わりに廃止したのがその理由です。子育て対策は、国の政策にとっても重要課題ですので、新たな改正がまたあるかもしれません。

70歳以上の親(老人扶養親族)については、生計が一になっていれば同居の場合58万円、別居の場合は48万円の控除があります。別居の場合は、一定の生活費、療養費の送金が行われるなどすれば、老人扶養親族に認められます。賃貸経営もすでに引き継いでいて、親の収入は年金のみという場合は、老人扶養親族にしたほうが節税効果は期待できます。

そして、注目しておきたいのが配偶者控除です。
配偶者控除は、以前から廃止の声が出ていてずっと先送りになってきました。パートに出ている主婦は、給与が103万円を超えると配偶者控除がなくなり、税の負担が大きくなるので、それ以上働くのをセーブすることがあります。いわゆる103万円の壁です。これをなくしもっと柔軟に働きやすくしようというのが、廃止が検討される理由です。

賃貸経営の場合、配偶者に青色事業専従者給与を支払っているケースもあるでしょう。この場合は、配偶者控除が受けられませんので、配偶者控除が廃止されても影響はありません。逆に支給できるのに、していない場合は検討したほうが良いでしょう。配偶者控除は38万円ですので、廃止されると大きな負担になります。

配偶者控除がなくなった場合は、代わりに夫婦控除を新設するなどの案も出ています。今後、税制改正の注目ポイントとなりますので注意しましょう。

扶養控除は国の政策によって、税制改正がよくある。今後は配偶者控除廃止の動きに注目。

青色申告特別控除と専従者給与も所得控除

確定申告書では、「所得から差し引かれる金額」ではなく、右の「その他」の欄にありますが、専従者給与(控除)、青色申告特別控除も、所得控除です。

専従者給与(控除)青色申告特別控除

専従者給与(控除)は、青色申告の場合の「青色事業専従者給与」、白色申告の場合の「事業専従者控除」です。青色事業専従者給与は、労働の対価として認められれば給与に上限はありません。白色の事業専従者控除は上限で86万円です。いずれも、支給した場合に配偶者控除38万円は受けられませんが、給与を支給した分は全て所得控除、つまり必要経費となりますので大きな節税効果があります。

青色申告特別控除も要件を満たせば65万円、満たしていない場合は10万円です。これも同じように大きな効果があります。
例えば65万円には、最低でも所得税(5%)32,500円、住民税(10%)65,000円の税金が課せられます。仮に所得税率が20%の場合は、所得税130,000円、住民税65,000円が課せられます。

●65万円に課せられる所得税と住民税の概算
・所得税率5%の場合  合計97,500円
 ※所得税(65万円×5%)32,500円+住民税(65万円×10%)65,000円
・所得税率20%の場合  合計195,000円
 ※所得税(65万円×20%)130,000円+住民税(65万円×10%)65,000円

青色申告特別控除など、青色申告については、次回にまた解説します。

青色申告特別控除も専従者給与(控除)も所得控除。節税効果が大きいだけに積極的に検討したい。


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