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アパート経営の節税対策-必要経費編

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2017年2月21日

アパート経営の節税対策-必要経費編

アパート経営では、どんなものが必要経費になるのか。どんなに小さいものでも、細かく計上していくことが節税への王道です。また、経費として認められないもの、減価償却しなければならないものもあります。間違いやすいポイントも含めて必要経費について解説します。

開業初年度の必要経費

確定申告は、1年間(1月1日〜12月31日)に得た家賃収入等の収入から必要経費等を差し引いて所得を求め、その所得に対する所得税を計算し申告することです。昨年開業した方は、原則として今年の2月16日から3月15日までの間に、確定申告および納税を行うように定められています。

アパート経営の場合、どんな費用が必要経費になるのでしょうか?特に開業時には、アパート建設にかかわる様々な費用がかかります。例えば、建設費の他に測量費や地鎮祭の費用、場合によっては建て替え前の貸家の解体費用などです。これらの費用に関しては、資産として建物の取得価額に計上し減価償却するものと、その年の必要経費になるものがあります。

「資産として減価償却をする」というのは、その費用を一度に必要経費に計上するのではなく、減価償却費を計算して、毎年一定の割合ずつ必要経費として計上するということです。

なお、減価償却の考え方については、「確定申告の基礎知識:初心者編」で詳しく解説しています。
建設時にかかわる主な費用について、表にまとめましたので参考にしてください。

■アパート建設にかかわる初期費用の扱い

開業初年度の支出には、資産計上して減価償却する費用(測量費、地鎮祭等)と初年度の必要経費(不動産取得税、立ち退き料等)になる費用があるので、注意が必要。

アパート経営ならではの必要経費とは?

アパート経営は、一つの事業です。事業にかかわった費用は、基本的には全て必要経費に計上することができます。

アパート経営における大きな必要経費としては、まず建物・附属設備の減価償却費があります。
仮に建物本体の価格が6,000万円、耐用年数27年、定額法償却率0.038の場合の減価償却費は、
●6,000万円×0.038=228万円
となり、毎年228万円が減価償却費として、必要経費になります。さらに、附属設備も減価償却費を求め、これに加えます。この減価償却費が必要経費の中でも最も大きい金額となるでしょう。
ちなみに、附属設備は平成28年4月1日以降に取得した建物については、定率法は選択できず、定額法のみとなりましたので注意してください。

次に大きいのが建物・附属設備の取得に要したローンの利息です。仮に建物・附属設備合わせて8,000万円を全額ローン、元利均等30年返済、固定金利2.5%の場合、初年度の年間の支払利息は約198万円になります。これもアパート経営では大きな必要経費の一つです。
この他、固定資産税や事業税などの租税公課、修繕費、不動産会社への仲介料・管理料などがあります。また、青色事業専従者給与も必要経費と同じ考え方になります。アパート経営に関する必要経費は「確定申告の基礎知識:初心者編」で一覧表にしてありますので、そちらもご覧ください。

アパート経営の必要経費で大きいのは建物・附属設備の減価償却費、ローン利息。その他、租税公課、修繕費などがあり、原則は事業に費やした費用は全て必要経費となる。

必要経費として認められないものとは?

必要経費として認められないもので、間違いやすいのは家事消費との区別です。つまり、個人的な支出なのか、事業のための支出なのかということです。
例えば、アパートの見回りに車を購入した場合の費用は必要経費となるでしょうか?仮に100%巡回用に使用するのなら、全額必要経費になりますが、現実的には個人使用と併用するケースがほとんどでしょう。その場合は、事業用に使用した分と個人使用の分を按分して費用に計上する必要があります。按分の仕方は、走行距離を一定の間記録し、それを基準に按分するのが合理的です。また、車は減価償却資産ですから、法定耐用年数6年で減価償却費を算出し必要経費に計上します。車の維持費も同様に按分します。

交際費は法人の場合、限度額がありますが、個人事業主の場合はありません。だからといって、むやみに計上できる訳ではありません。交際費は「事業に関係ある者等に対する接待・慰安・贈答などのために支出するもの」とあります。社会通念上、妥当と思われる範囲としか言えませんが、領収書に相手の会社名・名前をメモするなどしたほうがよいでしょう。

租税公課も間違いやすい必要経費です。租税は税金、公課は町内会などの公の費用です。固定資産税は必要経費になりますが、所得税・住民税は必要経費にはなりません。下記一覧を参照してください。

■租税公課

また、福利厚生費も従業員がいない個人事業主の場合は必要経費にすることができません。従業員が親族だけの場合の福利厚生費についても家事消費、個人的な支出と認定される場合があります。

事業に費やした支出は必要経費だが、家事消費と紛らわしいものは社会通念上、妥当と判断できるかどうかが大切。

間違いやすい修繕費の扱い

もう一つ判断が難しいのが、修繕費と資本的支出です。
資本的支出とは、その修繕によってあきらかに価値が増加する場合です。例えば、2DKを1LDKに間取り変更をした場合などです。資本的支出の場合は、全額を必要経費にするのではなく、減価償却によって一定額を必要経費に計上します。
アパート経営では、よく外壁の塗替えが話題になります。15年や20年のスパンで塗り替えた場合、技術の進歩によって以前より性能がアップし、耐用年数も延びることはあきらかです。先の考え方に従えば、これは資本的支出になってしまいます。かといって、以前と同じグレードで塗り替えることは不可能ですし、ある程度決まった修繕サイクルでの塗替えであれば、修繕費として認められるケースが多いようです。

修繕費か資本的支出か判断に迷った場合は、金額に照らして考えます。
まず、支出した金額が20万円未満か、およそ3年周期の修繕であるか。
次に、金額が60万円未満、もしくはその資産の取得価額(前年末の帳簿上の価額)のおおよそ10%以下であるか。どちらかに該当する場合は修繕費です。これにも該当しない場合は税務署の判断を仰ぐことになります。

修繕費と資本的支出

また設備投資などは、もちろん修繕費ではなく資本的支出となりますが、青色申告をしている場合は、30万円未満の設備投資等であれば一括して必要経費に計上できます。ただし、その事業年度に取得した設備等の資産の合計で300万円が限度となります。つまり、一つ30万円弱の資産なら10個が限度ということになります。(平成30年3月31日まで)

原則としては元の状態に戻す修繕が「修繕費」、元より資産価値が高まる修繕が「資本的支出」。

65万円の必要経費にはいくらの節税効果があるのか?

そもそも、必要経費が増えるとどの程度、節税効果が生まれるのか、知っているようで知らない方も少なくないでしょう。よく経費で落ちるからとむやみに支出するケースがありますが、支払った金額がまるまる節税になるという訳ではありませんので、注意してください。

例えば青色申告特別控除の65万円が適用可能になって所得金額が65万円減ったとします。これを所得税と住民税で考えてみます。所得税は累進課税ですので、最低税率の5%と10%、20%の場合で考えて見ます。
・5%の場合:650,000円×(所得税5%+住民税10%)=97,500円
・10%の場合:650,000円×(所得税10%+住民税10%)=130,000円
・20%の場合:650,000円×(所得税20%+住民税10%)=195,000円
これ以外に、国民健康保険や、事業税などにも節税効果が表れてきます。もちろん、所得税率が高い場合は、さらに効果は高まります。

小さな経費でもコツコツコと積み上げれば、その分節税効果は高まります。専従者給与の支払いや青色申告特別控除の利用を含め、計上できるものは見落とさないようにしましょう。

必要経費が増えて所得金額が減ると、所得税、住民税、国民健康保険、事業税などで節税効果が生まれる。

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