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アパート経営の節税対策-専門用語編

税務・確定申告

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2018年2月 6日

アパート経営の節税対策-専門用語編

確定申告をする際、賃貸住宅オーナーにとって、帳簿の作成は乗り越えなければならないハードルの一つです。特に初めての場合、専門用語が出てきたり、簿記ならではの概念で会計処理したり、理解するまでには多少の時間がかります。しかし、帳簿の正確な作成は節税対策の第一歩です。今回は、初心者が戸惑いやすい専門用語などについて解説します。

控除-所得控除と税額控除はどう違う?

「控除」という言葉を聞いても、ピンとこない方もいらっしゃると思います。税務は、部分的に覚えるより、体系的に理解したほうが覚えやすいので、まず所得税を計算するしくみについて、下記の確定申告書と照らし合わせながら解説します。

■確定申告書

まず押さえたいのが「収入」と「所得」。収入とは、いわゆる売上です。賃貸経営でいうと、家賃、礼金などの一年間の合計金額になります。確定申告書でいうとAの緑色の箇所です。この収入から、事業に費やした必要経費を差し引いたものが所得になり、Bの不動産の項目に金額を記入します。
さらに、その下の赤い部分Cに「所得から差し引かれる金額」とあります。これが「所得控除」です。細かく見ると14の所得控除があります。医療費控除や生命保険料控除、配偶者控除などです。また、右の下のオレンジ色の枠で囲った欄に「青色申告特別控除」があります。収入から必要経費と青色申告特別控除を引いたものが所得(B)になります。
所得(B)から、所得控除(C)を差し引いたものが、右上のDに記載される「課税所得」です。この課税所得に所得税率を掛けて、所得税がいったん算出されます。
つまり、「所得控除」は所得税の計算上は、必要経費と同じ意味だと考えて構いません。所得控除が増えれば、必要経費が増えたのと同じ節税効果があるのです。

所得税がいったん算出されますと述べましたが、その所得税からさらに差し引くことができるのが「税額控除」です。代表的なものが住宅ローン控除です。
税額控除は、算出した所得税から直接その金額を差し引くことができます。10万円の税額控除があれば、所得税が10万円安くなるということです。

ここまでの所得税の計算の流れをまとめると次のようになります。2の工程で「所得控除」を4の工程で「税額控除」を差し引きます。

■所得税の計算のしくみ

所得税の計算の流れの中で「所得控除」「税額控除」を理解すること。どちらも節税効果を高める大きなポイントとなる。

源泉徴収-給与所得と不動産所得がある場合は?

給与や報酬は所得税が差し引かれたものが支払われます。会社などの支払者が差し引いた所得税は、いったん納税されます。これを源泉徴収といいます。納税額は、想定される金額で、年末に精算し払いすぎている分は還付、足りない分は徴収されます。

賃貸経営の場合、誰にも給与を支払わなければ、源泉徴収は必要ありません。ただし、配偶者などに青色事業専従者給与を支払う場合は、源泉徴収しなければならないケースが出てきます。それは、月の給与額が88000円を超えた場合です。差し引いた源泉所得税は、毎月(届け出を提出していれば年2回まとめて)納税します。

また、オーナー本人がアパートの収入以外に給与をもらっている場合は、給与をもらっている会社から源泉徴収票を入手して、不動産所得と合算して確定申告をします。
確定申告書の所得金額の欄に、不動産所得と給与所得の金額を記入します。給与所得の金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に明記されている金額です。

■源泉徴収

給与所得がある場合は、不動産所得と給与所得を合算して確定申告する。青色事業専従者給与を88,000円以上支払う場合は源泉徴収して納税しなければならない。

事業主貸-自分の給与はどう処理する?

初めての帳簿付けで、自分の給与の扱いが分からない方が少なからずいます。
法人化している場合は、自分に給与を毎月一定額支給するようになり、残った利益は会社のものとして内部留保していきます。帳簿上、給与は経費に計上し、会社の利益とは別になります。

個人事業主の場合は、法人とは異なり経理上、事業主の給与という概念がありません。賃貸経営で得た利益は全て自分の利益で自由に使って構わないのですが、帳簿上そのままにしていると利益がどんどん積み上がっていくことになります。
そこで、給与に代わる帳簿上の処理として「事業主貸」という勘定科目を使います。聞き慣れない言葉ですが、文字通り事業主にお金を貸したという勘定科目です。ただ、これは便宜的なもので貸したからといって返す必要はありません。
また、法人の給与とは違いますので経費にはなりません。青色事業専従者給与のように、誰かに給与を支払った場合は経費になります。

必要に応じて、事業主貸を生活費などに使うこともできますが、毎月一定の額を給与のような形で事業主貸に振り替えたほうが管理はしやすいでしょう。

また、この逆に「事業主借」という勘定科目もあります。これは、利益がない場合に、自分のお金を持ち出したときに使います。

個人事業主が自分に給与を出す場合は、「事業主貸」という勘定科目を使って帳簿上処理する。この場合は、経費にはならない。

減価償却-資産計上するとはどういうこと?

経理に慣れていないと理解するのに時間がかかるのが、「減価償却」です。
減価償却とは、建物や設備などについての経費の計上の仕組みのことです。建物や設備など高額なものは、一度に全額を経費にはできません。決められた年数で、その価値が目減りした分だけを経費として毎年計上していきます。これが、資産計上するということです。決められた年数のことを法定耐用年数といい、エアコンは6年、電気設備は15年というように決められています。建物も構造などの違いで耐用年数が決められています。

■減価償却のイメージ(定額法)

この減価償却で間違いやすいのが、修繕費との見極めです。
建物や設備を維持するための修繕費は全額、必要経費になります。ただし、リノベーションのような、間取りの変更や新たな設備投資、またその修繕によって本来の資産のグレードが高まった場合は、減価償却しなければなりません。これを「資本的支出」と言います。
例えば外壁の塗り替え。現在の吹付け剤は、修繕サイクルが15年から30年と長いことから、新築時と同じ品質の塗装はなく、性能がアップしているケースがほとんどでしょう。そうなると価値が高まったとして資本的支出と見なされるケースもあるようです。多少のグレードアップであれば修繕費で認められることもありますが、最終的には税務署の判断を仰ぐことになるでしょう。

修繕費か資本的支出か判断に迷った場合、金額に照らして考える方法もあります。
まず、支出した金額が20万円未満か、およそ3年周期の修繕であるか。
次に、金額が60万円未満、もしくはその資産の取得価額(前年末の帳簿上の価額)のおおよそ10%以下であるか。どちらかに該当する場合は修繕費です。どちらにも該当しない場合は税務署の判断を仰ぐことになります。

修繕費と資本的支出

この他、「少額減価償却資産の一括損金算入」という特例があります。
設備投資などは、もちろん資本的支出となりますが、青色申告をしている場合は、30万円未満の設備投資等であれば一括して必要経費に計上できます。ただし、その事業年度に取得した設備等の資産の合計で300万円が限度となります。つまり、一つ30万円弱の資産なら10個が限度ということになります。(平成32年3月31日まで)

建物や設備などの費用は、一度に全額必要経費にはできない。減価償却費を計算して、決められた年数の間、毎年必要経費に計上していく。

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