2012年不動産市場を占う

manet image東日本大震災の影響で不動産市場に不透明感が強かった2011年でしたが、 (財)日本不動産研究所が2011年11月24日に発表した「第25回不動産投資家調査」では、「不動産への新規投資意欲に積極的」という回答が79%を占め、不動産投資家も積極的に新規投資する意向が見えてきました。さらに、東日本大震災の影響は、「ほとんど影響はない」「影響はすでに消えている」という回答が43%を占め、市場の回復感を期待する投資家が増えつつあります。彼らが注目しているのは、省エネ・CO2排出削減など環境配慮に関する取り組みがされている環境不動産(グリーンビルディング)。改めて住環境の安心・安全をアピールすることが、入居率アップのカギとなるようです。

回復しつつある不動産投資

(財)日本不動産研究所が実施している「不動産投資家調査」は、不動産投資の現状と動向を占うものとして注目されてきました。東日本大震災の影響から2011年前半の不動産市場は、強い不透明感がありました。2011年5月31日に発表された「第24回不動産投資家調査」では、新規投資にネガティブな影響があるとする回答が62%となり、震災により不動産投資市場に影響が残る期間として1年程度が41%、2~3年程度が21%と比較的長期間に及ぶとの見通しでした。

しかし、2011年11月24日に発表された「第25回不動産投資家調査」では、「不動産への新規投資意欲に積極的」という回答が79%と、新規投資に積極的な投資家が大半を占めています。東日本大震災の影響についても「ほとんど影響はない」または「影響はすでに消えている」という回答が43%となり、不動産市場が早期に震災の影響を克服していると投資家は判断しているようです。

全国的な下落傾向が進む中古マンション

一方、中古マンション市場では販売価格の下落傾向が進んでいます。全国47都道府県のファミリータイプの中古マンションの流通事例価格を月次集計している東京カンテイの「中古マンション価格天気図」2011年10月度データでは、全国的に中古マンションの価格下落傾向が鮮明となってきています。首都圏では、1 都3 県すべてで下落傾向が明確になり(東京都:前月比0.2%下落し8 ヵ月連続の下落、神奈川県:0.5%、千葉県: 0.4%、埼玉県: 0.8%の下落)、近畿圏や中部圏でも下落が進んでいます。これは、マンションの買い替えが進んでいないことや、中古マンションそのものが販売不振であることの表れとみることもできるでしょう。

さらに、アットホームが発表した2011年10月期の首都圏の居住用賃貸物件成約数は、前年同月比9.1%増加と6ヵ月連続で増加しています。住宅需要そのものに変化がないとすれば、「購入」から「賃貸」へのシフトが起こっていることを示しているといえるでしょう。

2012年の注目は環境不動産

このように不動産投資が回復し、市場が活性化する兆しがみえてきた2012年、注目されるポイントは何でしょうか?「第25回不動産投資家調査」では、昨今話題となっている「環境不動産(グリーンビルディング)」についてもアンケートを実施しています。「環境不動産」とは省エネ・CO2排出削減など環境配慮に関する取り組みがなされている不動産のことで、CASBEE(*1)やPAL(*2)、DBJ Green Building認証(*3)等によって環境評価がなされたビルを指します。環境不動産の将来の市場価値には、75%の投資家が長期的にプラス評価されると回答。その理由として優良テナントの確保や、将来の法律・条例等での規制強化への対応を挙げています。オフィスビルや商業ビルが環境を重視するようになれば、その傾向は住宅にも反映され、入居者が物件を決定する重要な判断要因の1つとなります。またオーナー側からすると、他の物件との差別化要因として注力すべきポイントとなるでしょう。

不動産投資で重視される建物性能では「設備等の適切なメンテナンスや更新がなされているか」「健康被害・環境被害型(シックハウス症候群等)材料を使用していない」「バリアフリーに配慮している」「災害やトラブル発生時にある程度設備の機能が維持できる(自家発電設備や蓄電池等)」等が重視されています。

今後は賃貸物件でも住環境としての建物性能を確認・強化し、積極的にアピールしていくことが、優良な入居者獲得につながることになるのではないでしょうか。

*1:Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency(建築環境総合性能評価システム)省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価するシステム。評価結果は「Sランク(素晴らしい)」から、「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」と5段階のランキングが与えられています。

*2:Perimeter Annual Loadの略で、建物の断熱・遮熱性能を単位面積当たりの年間熱負荷で示す指標。PALが小さい(PAL低減率が大きい)ほど「建物の断熱性能が高い」と評価されています。

*3:DBJ(日本政策投資銀行)が独自に開発したスコアリングシートへの回答・インタビュー等を踏まえ、「Ecology(環境)」、「Amenity(快適性) & Risk Management(防犯・防災)」、「Community(地域・景観) & Partnership(ステークホルダーとの連携)」の3つのカテゴリーの得点に基づき、環境・社会への配慮が十分な水準に達していると評価される不動産について、その評価に応じて、「Platinum(プラチナ)」、「Gold(ゴールド)」、「Silver(シルバー)」、「Bronze(ブロンズ)」の4段階の認証が付与されています。

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