共同住宅に義務付けられている法定点検

manet image共同住宅では、建築基準法、消防法等の法律に定められた定期検査を実施することが義務付けられています。検査をする人は有資格者に限られ、市区町村や消防署などの各機関に検査結果を報告することになっています。しかも、検査の時期がまちまちになっているので、つい忘れがちになるもの。そこで今回は、共同住宅の法定点検についてポイントを説明します。

■建築基準法上の法定点検

最初に建築基準法で規定されている法定点検です。建築基準法第12条には、建物のオーナーは定期に一級建築士または二級建築士等の有資格者に、建物の状況(設備や構造物の損傷、腐食等の劣化状況の点検)を調査させ、その結果を特定行政庁に報告することが明記されています。では、具体的にどういった建物にどのような検査が必要なのか、整理してみます。

●建築設備点検(年1回)

マンション・事務所・店舗などの一定の規模以上の建物は、利用者の人命と財産を守る為、原則として年1回の建築設備定期点検が定められています 。共同住宅(マンション)では、「階数が5階以上、かつ、共同住宅部分の延床面積の合計が1,000平米を超える」中規模以上の建物が対象です。検査内容は、換気設備・排煙設備・非常用照明装置・給排水設備で、点検した結果を監督官庁に報告する義務があります。点検費用は、20戸クラスのマンションで5万円程度、150戸クラスで10万円程度のようです。

●特殊建築物定期検査(3年に1回)

学校や病院、スーパーマーケットやホテルなど不特定多数の人々が利用する建築物を「特殊建築物」といいます。この特殊建築物は、維持管理が不充分な状態でひとたび火災や地震などが発生すれば、大きな事故・災害を招く恐れがあります。こうした事態を避けるために行われる検査が「特殊建築物定期調査」です。共同住宅(マンション)では、「階数が5階以上、かつ、共同住宅部分の延床面積の合計が1,000平米を超える」中規模以上の建物が対象です。3年に1回、国土交通大臣認定の特殊建築物調査資格者や一級及び二級建築士が検査を行い、その結果を監督官庁に報告する義務があります。点検調査費用は10万円から30万円程度のようです。

●エレベーター保守点検(年に1回)

エレベーターは年に1回、法定点検を行うことが義務付けられています。それは、多くのエレベーター事故の原因でもある「かご及び昇降機の全ての出入り口の戸が閉じていなければ、かごを昇降させることが出来ない」という基本的な安全機能が法律で規定されているからです。また法定点検以外にも、エレベーターは、未然の事故防止のために、通常1ヶ月~3ヶ月に1回の割合で点検を行います。エレベーターの保守契約は、POG(パーツ・オイル・グリース)契約と呼ばれる定期点検や管理仕様範囲内の消耗品の交換を含むもので部品取替え等を別にした消耗部品付契約や、昇降機機器の部品の取替え、機器の修理を状況に合わせて行うフルメンテナンス契約という契約形態とともに、メンテナンス業者にもメーカー系と独立系の2種類があり、当然メーカー系に比べ独立系の方が保守契約料は安価ですが、対応力に問題があるとの指摘も出ています。いずれにしても、金額だけで判断できない面もあり、安全に直結することなので、技術面も含んだ総合判断が必要でしょう。契約形態、メーカー・独立系によっても費用は異なってきますが、一般的には、エレベーター1台あたり年間20万円強から50万円程度が保守点検費用の中心価格帯となるようです。

エレベーターの保守点検は、ホームエレベーターでも同様です。ホームエレベーターの場合は、未然の事故防止のための点検は、通常年に1回か2回の場合が多く、しかも大半は設置されたエレベーターメーカーが点検作業を行うケースが一般的です。この場合は、エレベーターの大きさにもよりますが、年間4万円程度から10万円程度が保守点検費用となるようです。

■消防法における法定点検

共同住宅には、消防用の設備が多数設置されていますが、それらの消防設備は頻繁に使用されるものではなく、火災時にのみ使用されるものがほとんどです。だからこそ、いざという時その機能が発揮できるよう消防法では年2回、建物の規模に関わらず有資格者による消防設備機器の点検を行うように定めています。さらに年1回、実際に作動させる総合的なテストを実施し、その結果は、消防署へ届け出ることを義務付けています(消防法第17条の3の3)。消防法で規定されている法定点検について説明いたします。

●消防設備点検(機器点検は年2回 総合点検は年1回)

消防用設備は、消火設備、警報装置、避難設備、消防防水、消火活動上必要な設備に大きく分類することができます。これらの消防用設備の各機器の点検は6ヶ月に1回行なうことが義務付けられています。さらに消防用ポンプの状態、非常ベルや消火器の性能、消火栓からの放水とその圧力などは、年1回実際に作動、使用した総合的な検査と火災報知器や避難通路、避難ハッチの点検を実施します。また消防法は、条例で法律よりも厳しく規定されている場合もありますので、事前に管轄の消防署にも確認しておきましょう。点検費用の目安は、おおよそ2万円前後(~1,000平米)です。

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