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UC WAVE | No. 14 | 2013 Spring | これからの潰瘍性大腸炎治療とLCAPが果たす役割 長沼 誠先生

血球成分除去療法を実施した炎症性腸疾患患者に対するアンケート調査 兵庫医科大学内科学 下部消化管科 長瀬和子 先生、福永健 先生、横山陽子 先生、上小鶴孝二 先生、中村志郎 先生 参考文献:Nagase K et al., Therapeutic Apheresis and Dialysis 2013;17(5)490-497

血球成分除去療法(CAP)は有効性と安全性に優れた炎症性腸疾患(IBD)患者さんの治療法として、認知されています。しかし、CAPの実施には、通院時間の確保、穿刺による痛み、体外循環療法に対する不安など、ある程度、患者さんの負担が生じることが予想されます。そこで、当院でCAPを実施した患者さんを対象として、CAPにおけるQOL(quality of life)、安全性、有効性に関する患者さん自身の評価をアンケート方式で調査しました。

兵庫医科大学病院 IBDセンター

<対象と方法>
兵庫医科大学病院 IBDセンターでCAPを実施した240名のうち、2012年10月末現在、内科的治療を継続している155名を対象にアンケートを実施し(調査期間:2012年7~10月)、112名(72.3%)から回答を得た。疾患の内訳は、潰瘍性大腸炎(UC)86名、クローン病(CD)26名、性別は男性59名、女性53名であった。

Q1. CAPを受けた患者さんの年齢と社会的状況には、どのような特徴がみられますか?
  ―― A. 働き盛りの年代の患者さんが多く含まれました

年齢、社会的状況の割合

今回のアンケート調査の対象患者さんの年齢分布は、総務省統計局の労働力人口調査で労働力人口比率が8割を超える「25歳以上55歳未満」が77人おり全体の69%を占めました。さらにフルタイムで仕事をしている患者さんは52人で全体の46%を占めました。働き盛りの患者さんが調査対象に多く含まれていることがわかりました。

Q2. 患者さんはCAPのための通院の負担について、どのように感じているのでしょうか?
  ―― A. 「特に負担なし」、「やや負担あり」と答えた患者さんが大半でした

CAPのための通院の負担について、通院の負担を感じた理由

CAPのための通院の負担については、「特に負担なし」と答えた患者さんが43%、「やや負担あり」と答えた患者さんが52%でした。負担を感じた理由としては「休暇の調整が難しい」、「体調の悪い時に通院する負担」が多くあげられました。通院の負担として腹痛や下痢などIBDの症状が影響していること、しかし、休暇を取ることが難しいことから、症状悪化時でも通常の社会生活を送りたいという希望があることがわかりました。

Q3. IBD患者さんは、CAPの穿刺に伴う痛みについてどのように感じていますか?
  ―― A. 「特に気にならなかった」、「やや痛みがあった」と答えた患者さんが約8割を占めました

回答の割合

CAPの穿刺に伴う痛みに関して、「特に気にならなかった」と答えた患者さんが46人、「やや痛みがあった」と答えた患者さんが50人でした。これら2つの回答で全体の86%を占め、CAPの穿刺に伴う痛みは比較的軽度であると感じていることがわかりました。しかしながら、医療側はCAP導入前に穿刺について患者さんに十分に説明し、同時に患者さんのアフェレシスに対する適合性(治療期間中の穿刺に耐え得るか、IVHルートを使用する場合はリスクがどの程度あるかなど)を十分に検討してから導入することが重要だと考えられます。

Q4. IBD患者さんがCAPを負担に感じない時間はどれくらいですか?
  ―― A. 「1時間以内」であればCAPを負担に感じないと答えた患者さんが約5割を占めました

回答の割合

負担だと感じないCAPにかかる時間は、「1時間以内」と答えた患者さんが57人おり、全体の51%を占めました。一般的なCAPは約1時間で終了する治療法ですが、治療時間を短縮することで、患者さんの負担を軽減できることが示唆されました。また、CAPの負担を軽減する方法としては、「音楽を聴く」、「眠る」、「DVDやTVを見る」などが多くあがりました。

Q5. IBD患者さんはCAPの安全性についてどのくらい満足していますか?
  ―― A. 「非常に満足」、「比較的満足」と感じた患者さんが約8割を占めました

回答の割合

患者さんのCAPの安全性に対する満足度は、「非常に満足」が50人、「比較的満足」が49人でした。これら 2つの回答が全体の89%を占め、患者さんのCAPへの安全性に対する満足度が高いことがわかりました。CAPは血液の一部を体外へ連続的に取り出し、白血球を選択的に除去、その後血液を体内に戻す治療法です。血液を体外で循環させるため、不安に思う患者さんもみられますが、今回の調査では、CAPの安全性に対する患者さんの満足度が高いことが示されました。

Q6. IBD患者さんはCAPの有効性についてどのくらい満足していますか?
  ―― A. 「非常に満足」、「比較的満足」と感じた患者さんが約6割を占めました

回答の割合

患者さんのCAPの有効性に対する満足度は、「非常に満足」が35人、「比較的満足」が41人でした。これら2つ の回答が全体の68%を占め、患者さんのCAPの有効性に対する満足度が高いことがわかりました。また、UCとCD別では、UC患者さんの方が効果に対する満足度が高い傾向にありました。

Q7. CAP再治療を希望するIBD患者さんはどのくらいいますか?
  ―― A. CAP再治療を希望する患者さんが7割強を占めました

回答の割合

CAP再治療を「実施したい」と答えた患者さんが81人で、全体の72%を占めました。CAPの効果を実感した多くの患者さんが、CAP再治療を希望していることがわかりました。

まとめ

アンケート調査の結果、CAPに必要な通院の負担感はややあるものの、CAPにかかる時間を短縮することで、患者さんの負担を軽減できる可能性が示唆されました。また、患者さんのCAPの安全性・有効性に対する満足度が高いことがわかり、特にCAPの効果に対する満足度が高い患者さんはCAPの再治療を希望していることがわかりました。

最後に

IBDの治療法が多様化し、IBD患者さんが治療を選択できる時代になってきました。CAPはIBD治療において数少ない非薬物治療です。今回のアンケートでも、多くの患者さんがCAPの安全性を高く評価したように、非薬物治療ならではのメリットがあります。その反面、患者さんにとっては苦痛となり得る面がいくつかあり、その中には腹痛や頻回の下痢などIBD再燃時の症状が大きな要因となっているものが含まれています。CAPを実施する医療側は、これまで積み重ねられたエビデンスに基づいて寛解導入を目指すことはもちろんですが、患者さんの苦痛となり得る面を十分に把握、考慮したうえで実施することで、CAPは患者さんから「より選択される」治療になり得ると考えます。

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