安心して生活を送るために-看護師からのアドバイス-

第2回

安心して透析生活を送るために~透析治療の看護~

Q.1
自己管理がうまくできません。うまくやるコツとかありますか?

A.

 主な自己管理の内容は、「体重(水分)管理」と「食事管理」になります。ひとりだけですべてをやろうとする方よりも、家族、医師、栄養士、ソーシャルワーカーなどと協力しながらやっている方のほうが、自己管理が上手なようです。患者さん同士でコミュニケーションをとることも大賛成です。

 自己管理はほかに、手首のシャントの音を毎日聞くなどの「シャントの管理」や、「薬の管理」などもあります。

 透析治療の目的は社会復帰にあり、治療を順調に行なうためには、日常生活の正しい自己管理がとても重要になります。

Q.2
おふろは入れますか?何か注意することはありますか?

A.

 おふろには普通に入れます。ただし、透析を行なった日は、なるべく入浴を控えた方がよいでしょう。透析治療のときの針は太目なので、ふさがるのに時間がかかります。感染予防のためにも翌日の入浴を勧めています。温泉も大丈夫です。入浴の際は、シャント部分を強く擦り洗いしないよう注意しましょう。

 寝ているときなど、知らぬ間にシャントを引っ掻いてしまったりすることがあります。シャントの傷などを発見したらすぐ処置しましょう。シャントに違和感を感じたときも、かかりつけの病院を受診しましょう。

Q.3
透析中は何をしたらよいでしょう?

A.

 充分な透析を受けていただくために、ベッドの上で過ごしていただいています。そこでテレビを観ている方、音楽を聴いている方、読書をしている方、透析室のスタッフや患者さん同士で会話をされている方など、皆さん、思い思いにリラックスした状態で治療を受けられています。

Q.4
万が一、災害やストが起きた場合はどうしたらよいですか?

A.

 透析治療中に災害が起きたときは、透析室に常備してある緊急離脱セットを使用して、血液回路を切断し、腕から針を抜いていない状態で避難します。透析室のスタッフが安全な場所へ避難誘導したのち、避難先で消毒・止血を行ないます

 透析日でない日に災害やストが起きたときは、透析が数日できなくなる可能性があります。そのため、いつも以上に食事と薬のコントロールが重要になります。蛋白質や塩分、水分、カリウムといった日頃注意しているものを制限しましょう。カリウムについては、カリウム吸着剤(※)というものを内服する場合もあります。

 血圧や心臓の薬、インスリンなど避難時に持ち出せなかった場合は、早急に近くの病院を受診して、もらうようにしてください。

 常に内服している薬の名前は覚えておき、透析手帳や保険証と一緒に携帯するよう心がけましょう。日頃から、避難袋を準備してください。

 避難袋には以下のものを入れておきましょう。 <常備薬・ばんそうこう・ガーゼ・止血バンド・ウエットティッシュ・透析の保存食・ラジオ・懐中電灯・タオル・硬貨>

(※) カリウム吸着剤・・・腸管内でイオン交換によってカリウムを吸着し、腸管からの吸収を防ぎ、カリウム排泄を促進するためのものです。

Q.5
透析後、イライラがおさまりません。うまくおさえる方法はありますか?

A.

 イライラ」は、透析治療を受けている方を悩ませる合併症(※)のひとつです。透析不足により、尿毒素がたまっているなどの状況が考えられます。その場合は透析時間を長くするなど透析条件を変更したり、HDF(血液濾過透析)(※)という、より尿毒素が抜けやすい治療を検討したりします。透析条件を変えても効果が感じられない場合は、薬で治療する方法もあります。主治医とよく相談しましょう。

(※) 合併症・・・ある病気がもととなって別の病気や症状を引き起こすことです。

(※) HDF(血液濾過透析)・・・血液透析と同時に血液濾過も行う血液浄化法です。血液を濾過性能の高い膜(濾過膜)を通して濾過排出し、不足した水分、電解質を補う方法です。

Q.6
透析後、家に帰っても足がむずむずします。対処法はありますか?

A.

 カルシウムやリンがたまり、そういう状態になることがあります。ほかに、背中がかゆくなる場合もあります。主治医に相談してください。

Q.7
透析後、だるさがとれません。対処法はありますか?

A.

 透析不足、あるいは過剰透析、一回の透析で身体から水分を抜く量が多い、貧血、筋力の低下などの原因が考えられます。それぞれの原因に応じた対処が必要です。

 適切な透析のために、透析条件や、余分な水分を抜いた状態での体重(ドライウエイト)の再検討も必要です。一度に抜く水分量が多くならないよう、1日の体重増加はドライウエイトの3~5%以内にコントロールしましょう。

 貧血予防のために栄養のバンランスのよい食事をとり、適度な運動で透析治療に耐えられる体力を作ることも大切です。透析は、案外体力を要するものです。

Q.8
透析を受けることで、身体にどのような影響が出ますか?どのようなことに気を付けるべきでしょうか。

A.

 透析をはじめた当初の身体は、老廃物のたまった状態に慣れてしまっているため、透析で血液中の尿毒素などが急速に取り除かれると、それらの変化についていけないことがあります。そのため、頭痛、吐き気などが起こることもあります。これを不均衡症候群といいます。この状況は透析に慣れてくれば徐々に起こらなくなってきます。

 長期にわたり透析をすると、合併症が出てしまうこともあります。予防するためには、蛋白質、塩分、水分の制限を守ることが大切です。

 

安心して生活を送るために-看護師からのアドバイス-

第2回

安心して透析生活を送るために~透析治療の看護~

 
 
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自己管理がうまくできません。うまくやるコツとかありますか?
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 主な自己管理の内容は、「体重(水分)管理」と「食事管理」になります。ひとりだけですべてをやろうとする方よりも、家族、医師、栄養士、ソーシャルワーカーなどと協力しながらやっている方のほうが、自己管理が上手なようです。患者さん同士でコミュニケーションをとることも大賛成です。
 自己管理はほかに、手首のシャントの音を毎日聞くなどの「シャントの管理」や、「薬の管理」などもあります。
 透析治療の目的は社会復帰にあり、治療を順調に行なうためには、日常生活の正しい自己管理がとても重要になります。
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おふろは入れますか?
何か注意することはありますか?
 
 おふろには普通に入れます。ただし、透析を行なった日は、なるべく入浴を控えた方がよいでしょう。透析治療のときの針は太目なので、ふさがるのに時間がかかります。感染予防のためにも翌日の入浴を勧めています。温泉も大丈夫です。入浴の際は、シャント部分を強く擦り洗いしないよう注意しましょう。
  寝ているときなど、知らぬ間にシャントを引っ掻いてしまったりすることがあります。シャントの傷などを発見したらすぐ処置しましょう。シャントに違和感を感じたときも、かかりつけの病院を受診しましょう。
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透析中は何をしたらよいでしょう?
 充分な透析を受けていただくために、ベッドの上で過ごしていただいています。そこでテレビを観ている方、音楽を聴いている方、読書をしている方、透析室のスタッフや患者さん同士で会話をされている方など、皆さん、思い思いにリラックスした状態で治療を受けられています。
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万が一、災害やストが起きた場合はどうしたらよいですか?
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 透析治療中に災害が起きたときは、透析室に常備してある緊急離脱セットを使用して、血液回路を切断し、腕から針を抜いていない状態で避難します。透析室のスタッフが安全な場所へ避難誘導したのち、避難先で消毒・止血を行ないます。
 透析日でない日に災害やストが起きたときは、透析が数日できなくなる可能性があります。そのため、いつも以上に食事と薬のコントロールが重要になります。蛋白質や塩分、水分、カリウムといった日頃注意しているものを制限しましょう。カリウムについては、カリウム吸着剤(※)というものを内服する場合もあります。
 血圧や心臓の薬、インスリンなど避難時に持ち出せなかった場合は、早急に近くの病院を受診して、もらうようにしてください。
 常に内服している薬の名前は覚えておき、透析手帳や保険証と一緒に携帯するよう心がけましょう。日頃から、避難袋を準備してください。
 避難袋には以下のものを入れておきましょう。
<常備薬・ばんそうこう・ガーゼ・止血バンド・ウエットティッシュ・透析の保存食・ラジオ・懐中電灯・タオル・硬貨>
(※) カリウム吸着剤・・・腸管内でイオン交換によってカリウムを吸着し、腸管からの吸収を防ぎ、カリウム排泄を促進するためのものです。
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透析後、イライラがおさまりません。うまくおさえる方法はありませんか?
 
 「イライラ」は、透析治療を受けている方を悩ませる合併症(※)のひとつです。透析不足により、尿毒素がたまっているなどの状況が考えられます。その場合は透析時間を長くするなど透析条件を変更したり、HDF(血液濾過透析)(※)という、より尿毒素が抜けやすい治療を検討したりします。透析条件を変えても効果が感じられない場合は、薬で治療する方法もあります。主治医とよく相談しましょう。
(※) 合併症・・・ある病気がもととなって別の病気や症状を引き起こすことです。
(※) HDF(血液濾過透析)・・・血液透析と同時に血液濾過も行う血液浄化法です。血液を濾過性能の高い膜(濾過膜)を通して濾過排出し、不足した水分、電解質を補う方法です。
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透析後、家に帰っても足がむずむずします。対処法はありますか?
 カルシウムやリンがたまり、そういう状態になることがあります。ほかに、背中がかゆくなる場合もあります。主治医に相談してください。
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透析後、だるさがとれません。対処法はありますか?
写真
 透析不足、あるいは過剰透析、一回の透析で身体から水分を抜く量が多い、貧血、筋力の低下などの原因が考えられます。それぞれの原因に応じた対処が必要です。
 適切な透析のために、透析条件や、余分な水分を抜いた状態での体重(ドライウエイト)の再検討も必要です。一度に抜く水分量が多くならないよう、1日の体重増加はドライウエイトの3~5%以内にコントロールしましょう。
 貧血予防のために栄養のバンランスのよい食事をとり、適度な運動で透析治療に耐えられる体力を作ることも大切です。透析は、案外体力を要するものです。
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透析を受けることで、身体にどのような影響が出ますか?
どのようなことに気をつけるべきでしょうか。
 
 透析をはじめた当初の身体は、老廃物のたまった状態に慣れてしまっているため、透析で血液中の尿毒素などが急速に取り除かれると、それらの変化についていけないことがあります。そのため、頭痛、吐き気などが起こることもあります。これを不均衡症候群といいます。この状況は透析に慣れてくれば徐々に起こらなくなってきます。
 長期にわたり透析をすると、合併症が出てしまうこともあります。予防するためには、蛋白質、塩分、水分の制限を守ることが大切です。
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