血液の成分とはたらき

監修:北里大学北里研究所病院
炎症性腸疾患先進治療センター
センター長 日比 紀文 先生

潰瘍性大腸炎は、原因そのものはまだはっきりとしていませんが、白血球から炎症にかかわるさまざまな物質が放出されていることは分かっています。この炎症に関わる白血球を取り除くことで炎症をしずめることができるのではないかという考え方から、LCAP療法は開発されました。

ここでは、血液の成分とはたらきについての解説を交えながらLCAP療法について解説していきます。

血液の成分と白血球

血液は生命の維持に欠かせない栄養素や酸素を運ぶ一方、ホルモンや老廃物の運搬、生体防御(免疫作用)や体温調節など人体にとって重要な役割を果たしています。

血液の細胞成分を血球といい、これらをとりかこむ液体成分を血漿といいます。血球は赤血球・白血球・血小板から成り立っています。一般的に人の全血液の量は、体重の13分の1(6~8%、約5リットル)程度であるといわれています。

血液の構成図

血液の中の有形成分である血球は、大きく赤血球・白血球・血小板の3つに分けられます。
それぞれの血球の役割や血液中での構成の比率は異なっています。

血球主な役割
赤血球酸素を人体の各組織へ運び、二酸化炭素を運び去る役割
白血球 人体に侵入した異物を攻撃する役割
血小板 血管が傷ついたとき、素早く傷口をふさぐ糊のような役割

潰瘍性大腸炎の炎症に大きく関係しているのが白血球です。白血球は、リンパ球、単球、顆粒球の3つに分けられます。

炎症と白血球

白血球は、リンパ球、単球、顆粒球の3つに大別できます。

リンパ球

リンパ球

白血球の約36.5%を占め、免疫作用の主役を担う細胞です。

単球

単球

白血球の約5%を占め、3つの中で最大の細胞です。活発な食作用(外から侵入した異物を食べる)を持っています。

顆粒球

顆粒球

細胞内に、たくさん顆粒をもっています。細菌感染や寄生虫などから体を守る働きをしています。

 

わたしたちの体にはさまざまな免疫機能がそなわっており、外から侵入した異物から体を守っています。白血球は、この免疫機能の主役を担い、空気中の細菌やウイルスからわたしたちの体を守ってくれているのです。

白血球は異物が侵入するとこれを認識し、すばやく攻撃しようとします。自身の中に取り込んで消化したり、抗体(異物をキャッチするもの)を作り体の外に排除しようとするのです。その戦いの際に炎症が起こります。炎症が起こるということは、単に体に良くないというわけではなく、これら免疫機能のあかしでもあるのです。

潰瘍性大腸炎は、免疫機能に異常があって自らを異物とみなし攻撃をしかけてしまう、または過剰な炎症反応が起きるために炎症が生じてしまうと考えられています。白血球が活性化し、異常に反応したり大腸の粘膜を異物と認識し、これを攻撃しようとしてしまうのです。

活性酸素やたんぱく分解酵素などの炎症に関わるさまざまな物質がつくられ、大腸の粘膜が傷を受けるために炎症が起こります。そのうえ、さらに白血球からサイトカインという物質が放出され、炎症がひどくなったり長引いたりしてそう簡単に治まらない状態になっています。

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