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LCAP療法の作用メカニズムの解明が進みよりダイレクトな治療法の開発を促進
病態解明の進展(1)―炎症を引き起こす細胞と因子

渡辺守先生渡辺 炎症性腸疾患(IBD)の病態解明は、細胞・分子レベルでの解明作業が進められ、ここ10年で大きく進展し、治療法もさまざまに開発が進んでいます。そこで、まず潰瘍性大腸炎(UC)の病態解明の進展について話し合ってみたいと思います。

●病気を記憶する細胞の存在
金井 UCの病態の主な特徴は、「緩解と再燃を繰り返し、生涯にわたって炎症や免疫異常が続く」という点です。私たちはこれを“永続化”といっています。近年、このような病態に「病気を記憶する細胞」が関わっていることが明らかになりました。この細胞を「メモリーT細胞」といいます。つまり、UCという病態をしっかり記憶してしまったメモリーT細胞が永続的に体内に存在することがUCの原因の1つだと考えています。
 さらに、メモリーT細胞が体内で存在し、活動するためには「IL-7(インターロイキン7)」と呼ばれるサイトカインの存在が欠かせないことが明らかになりました。IL-7を阻害すれば、メモリーT細胞を阻害できるという考えから、現在、IL-7をターゲットにした治療戦略が検討されています。

●サイトカイン

体内の各細胞から産生される蛋白質で、特定の細胞に情報を伝達する役割を担っている。IL(interleukin:インターロイキン)は、サイトカインの1つで、リンパ球自身が産生し、リンパ球に働きかける“リンパ球間の情報伝達を担う蛋白質”の総称である。発見された順に1、2、3…と番号が付けられている。

●炎症を引き起こすサイトカインを生み出す細胞集団の発見
安藤 7、8年前に私たちが注目したのは、「炎症を引き起こすサイトカイン」の1つとして注目されていたIL-17です。炎症が起きている活動期のクローン病(CD)およびUCの腸粘膜を調べたところ、IL-17を主に産生する細胞とその細胞集団(“Th17”と呼ばれている)の存在を確認しました。
 その後、このTh17と呼ばれる細胞集団から、IL-17だけでなくIL-22も産生されていることを見出しました。IL-22も炎症を引き起こすサイトカインです。私たちは、CDとUCの炎症・免疫応答に、IL-17とIL-22を産生しているTh17の細胞集団が深く関わっていると考え、研究を進めています。

●炎症を引き起こすサイトカインIL-6と伝達経路の解明
光山 私たちは以前から炎症を引き起こすサイトカインの1つであるIL-6と、IL-6の情報を伝達する経路について研究を重ねています。
 IL-6は、先ほど安藤先生がお話しされた、炎症を引き起こすIL-17とIL-22を産生するTh17の細胞集団の発生にも深く関わっていることも明らかにされており、IL-6はIBDの病態解明や治療への応用のキーになるサイトカインの1つだと考えています。
 また、多くのサイトカインは「STAT」と呼ばれる細胞内の蛋白質を介して、目的とする細胞や臓器にサイトカインの作用(情報)を伝えます。このような経路をサイトカインの情報伝達経路といいます。
 私たちは、さまざまな基礎実験やIBDの患者さんを検討した結果、共通した伝達経路として「STAT3」があることを確認しました。IL-6と伝達経路STAT3(IL-6/STAT3)がIBDの病態形成に深く関わっていると考え、さらに検討しています。

●STAT(signal transducer and activator of transcription)

各サイトカインの情報をそのサイトカインが目的とする細胞や臓器に伝える役割を担う。現在、1〜6までのSTATが発見されている。

●免疫を担当する各細胞のバランスの変化
金井 IBDを考えるうえで私はもう1つ、免疫システムについて検討することも必要と考えます。私たちの体内には大きく分けて2つの免疫システムが備わっています。1つは、マクロファージが担当する初期の免疫反応である「自然免疫」。もう1つは、T細胞やB細胞の担当する慢性期の免疫反応である「獲得免疫」です。このうちの自然免疫の異常がIBDの発症に関与しているのではないかと考えています。
 約10年前、私たちは渡辺先生とともに自然免疫に関わるマクロファージに注目して積極的に研究を進めました。当時、世界的にマクロファージは「病原的な存在」として考えられていましたが、最近になりマクロファージには「病原的なマクロファージ」と「生体防御的なマクロファージ」の2つが存在していることが報告され注目されています。
 私は、IBD発症にはこの2つのタイプのマクロファージのバランスの崩壊、つまり病原的なマクロファージの増加なども関与しているのではないかと考えており、さらなる検討が必要だと思っています。

●マクロファージ

免疫を担う細胞の1つで、傷害を受けた組織や細胞、体内に侵入した細菌や異物を除去する。

●自然免疫

生体が生まれつき持っている免疫システム。生体内に侵入した異物は自然免疫により数分から数時間のうちに排除されることが多い。獲得免疫に先立ち発動する。

●T細胞、B細胞

免疫を担うリンパ球。胸腺(thymus)由来のリンパ球をT細胞と呼び、骨髄(bone marrow)由来のリンパ球をB細胞と呼ぶ。T細胞とB細胞はそれぞれ役割が異なっており、相互に作用し合っている。

●獲得免疫

細菌や異物などの病原体が体内に侵入するのに対し、生体が新たに作り出すか、あるいは増強させる免疫システム。多くの場合、同一の侵入物質に対し特異的な防御の記憶が残るため、再度同じ病原体が侵入したときより効果的な防御反応を示す。

2. 病態解明の進展(2)−炎症を抑える制御性T細胞