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LCAP療法の作用メカニズムの解明が進みよりダイレクトな治療法の開発を促進
LCAP療法の多彩な作用メカニズム
渡辺 UCの病態解明、分子標的治療の応用にはまださまざまな課題が残されているのが現状です。このようななか、白血球除去療法(LCAP療法)については、作用メカニズムの解明が進み、LCAP療法のターゲットとする細胞や因子が明らかになってきました。
 先ほど炎症を強めるサイトカインや病気の悪化につながる細胞が増えていること、つまり、それらのバランスが崩れていること、一方、病気を制御する因子については減少がみられることをお話してきました。そこで、それらの病気に関係する因子を中心に分子標的治療という視点から、LCAP療法について話し合ってみたいと思います。

●LCAP療法は免疫を担当する細胞のバランスを是正する
金井 自然免疫に関与する細胞の1つであるマクロファージはUCにおいて、「病原的なマクロファージ」と「生体防御的なマクロファージ」のバランスが崩れていると考えられています。私たちは、LCAP療法により「病原的なマクロファージ」がより多く除去されていることを確認しました。この結果から、LCAP療法は免疫のバランスを是正していることが考えられます。

光山 自然免疫に関与する細胞には「生体外の微生物を認識する因子(TLR:Toll-like receptorと呼ばれている)」があり、この因子のうちTLR4という因子の働きが活発になると炎症性サイトカインの産生が増強されます。私たちはTLR4に注目して検討したところ、LCAP療法後にTLR4を発現している細胞が減少していることを確認しました。

安藤朗先生安藤 私たちは、免疫異常に関与するTリンパ球についてLCAP療法施行前後で検討した結果、LCAP療法施行後にその数が減少していることを確認しました。さらに、UCの病態を記憶する「メモリーT細胞」の数も減少していることを見出しました。

金井 私たちも「メモリーT細胞」について安藤先生と同様の結果を得ています。また、私たちは「制御性T細胞」を検討しました。制御性T細胞は炎症を抑えるように働く細胞です。LCAP療法施行後、「制御性T細胞」がより多く除去されているということはありませんでした。この結果から、LCAP療法は炎症や免疫異常を引き起こす細胞をより多く除去し、免疫異常を抑える細胞は除去をまぬがれることが考えられます。つまり、LCAP療法が、免疫のバランスを是正するように作用し、そして免疫バランスがリセットされた結果、治癒の方向に向かうのではないかと考えます。

●炎症を引き起こすサイトカインとその情報伝達経路もLCAP療法のターゲット
光山 私たちは、LCAP療法施行前後の炎症を引き起こすサイトカインやその情報を細胞に伝える伝達経路の変化を検討したところ、LCAP療法施行後、炎症を引き起こすサイトカインの減少やその情報伝達経路の働きが低下することを確認しました。

●LCAP療法は炎症を引き起こすサイトカインの遺伝子にも影響を及ぼす
安藤 炎症を引き起こすサイトカインを分子レベルからさらにミクロの遺伝子レベルで検討した結果、LCAP療法施行後は炎症を引き起こすサイトカインの遺伝子の発現が減少していること、そして逆に炎症を抑えるサイトカインの遺伝子の発現が増加していることを示すデータを得ました。これは、LCAP療法がサイトカインに対し、遺伝子レベルで作用していることを示すものです。

●LCAP療法は血小板の数や機能を改善する
渡辺 LCAP療法は血小板に対する作用もあることが報告されています。それについてはいかがでしょうか。

安藤 活動期のUCでは「血小板の数が増加する」ことは報告されていましたが、その機能については報告されていませんでした。血小板の活性化は免疫系とも関係があるため、UCの病態の形成にも関与していると考え、私たちは活動期の「血小板凝集能」について検討しました。UCの活動期には血小板凝集能が異常に高くなること、そしてLCAP療法施行により正常化することを確認しました。同様の結果は他の研究グループからも報告されています。

●血小板凝集能

血小板は止血を担う血液成分である。血小板凝集能とは、血小板の最も重要な機能の1つで、血小板同士が結合し合い、連鎖反応的に凝集塊の大きさを増すことにより止血を形成する反応である。


●LCAP療法による腸粘膜の組織修復・再生の可能性
渡辺 LCAP療法による腸粘膜の修復や再生を示すデータも報告されています。

光山 私たちは、LCAP療法施行前後の「白血球数の推移」について時間を追って検討したところ、LCAP療法の施行開始から30分の間、白血球数は激減し、その後、徐々に増加し、LCAP療法終了後は正常値の2〜3倍に増加することを確認しました。このような現象を「オーバーシュート」といいます。増加した白血球を詳しく調べた結果、LCAP療法後に「骨髄から誘導された細胞」が存在することを確認しました。

金井 常識的に、免疫細胞などは骨髄で作られると考えられています。6年前、日本でも骨髄から誘導される細胞が傷ついた組織の修復や再生に関わることが報告されています。光山先生が話された、「LCAP療法後の骨髄から誘導された細胞」というのは、すなわち「修復・再生を促進している」ことを示すデータだと考えられます。つまりLCAP療法は、組織の修復や再生に関与する細胞を誘導している可能性があると考えます。

渡辺 LCAP療法がUCの治療法として承認されてから7年。この間にLCAP療法が、炎症を引き起こす細胞やサイトカインをより多く除去し、炎症を抑える細胞やサイトカインを増やすといった作用により免疫のバランスを是正すること、そしてその作用は遺伝子レベルでも影響を及ぼしていること、血小板の増加異常も改善することなどが明らかにされました。さらに、傷ついた腸粘膜の組織修復や再生にも関与している可能性が示唆され、LCAP療法への新たな期待として注目されています。
5. LCAP療法の作用メカニズムのさらなる解明が治療研究の一助に