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保険適用:日本で開発された画期的な治療法として評価

===2001年、白血球除去療法がUCに対して保険適用になりました。これは白血球除去療法の有用性が認められたからだと思います。当時、どのような点が評価されたのでしょうか。

日比 私が初めて白血球除去療法のことを聞いたのは、白血球除去療法の治験が始まる前、東京大学医学部第一外科教授(現:名誉教授)の武藤 徹一郎先生が班長を務めておられた難治性炎症性腸管障害調査研究班の班会議でした。兵庫医科大学での評価を受け、武藤先生がいらっしゃった東京大学でもステロイド不応の患者さんに白血球除去療法を施行し、著明な改善が得られたのです。この結果を受け、“これはみんなで研究を進めなくてはならない”という機運が高まり、1994年に研究班のテーマとして治験が開始されました。当時、ステロイドで効果が得られない患者さんへの治療選択が手術以外になかったため、どこの施設でも対応に苦慮していました。このような状況のなかで、中等症以上の活動期UCを対象とした白血球除去療法の治験が全国17施設で行われました。白血球除去療法とステロイド内服療法を行う2つのグループで白血球除去療法の有効性と安全性を比較検討した結果、白血球除去療法はステロイド内服療法と比べ改善率が高く、副作用発現率は低いということが報告され、白血球除去療法の有用性が認められました。
白血球除去療法が保険適用になった2001年頃、日本のUC患者さんは6万人強で、ステロイドで効果が得られない重症や難治性の患者さんをどうするか、ということが問題になっていました。そのようななか、白血球除去療法はステロイド抵抗性あるいは依存性の患者さん(バックナンバーvol.6-2)に効果があること、さらにステロイドからの離脱が可能な患者さんもいる、このような点が評価されたと思います。当時も、ステロイドの使用によるムーンフェイスや骨粗鬆症などの副作用が問題になっていましたが、中等症以上のUCでは治療の選択肢が限られていました。当時の厚生省(現:厚生労働省)も、日本で開発された治療法がステロイド治療に抵抗するUCに対して効果を有するのは画期的だとして、高く評価しました。抗凝固剤以外の薬は用いず、異物である薬剤を体内に入れない、ということが白血球除去療法の何よりの利点です。

澤田 白血球の除去について、感染症の増加などを心配する声もありましたが、白血球除去療法を行った当時の関節リウマチに対するデータ(白血球除去療法は関節リウマチ治療にも用いられます)では、感染症の増加は報告されていませんでした。白血球除去療法を開始すると、はじめの約30分間は血液中の白血球は一時的に減少しますが、その後、白血球は増加し始め、除去を止めると前値の170%に増加するオーバーシュート現象(恒常性維持の行き過ぎ)が起こる(バックナンバーvol.5-2)ことがわかりました。これは、除去された白血球の代わりに、骨髄などから新しい白血球(ナイーブ白血球)が動員されてくるためだと考えられています。これまでに白血球除去療法による重い感染症は報告されていません。UCでは、サイトメガロウイルス(CMV)感染の増悪が懸念されましたが、CMV感染による深い潰瘍がある患者さんに白血球除去療法を施行すると反対に改善が認められました。このことから、白血球除去療法に際してCMV感染はあまり心配する必要がないことが徐々にわかってきました。

●ムーンフェイス
満月様顔貌(まんげつようがんぼう)ともいいます。ステロイドの長期使用の代表的な副作用で、顔が満月のようにまんまるになる症状です。
●抗凝固剤
血液が固まらないようにする薬剤です。
●サイトメガロウイルス(CMV)
ヘルペス科のウイルス。一般的に弱毒性であるため、健康な人に感染しても発症することはあまりありません。しかし、糖尿病や悪性腫瘍、膠原病などの基礎疾患があったり、免疫調節薬などを使用していて感染症に対する抵抗力が低下している場合に、肺炎や肝炎などの重篤な病気を引き起こすことがあります。
3. 進展期:10年間のUC診療の進歩と白血球除去療法の作用機序解明